【実銃】グロックキラー「CZ P-10F & P-10C」の性能とは

 

 今やポリマーフレーム+ストライカーファイアのハンドガンといえば、メーカー各社がしのぎを削るカテゴリーといえよう。第5世代となった先駆者グロックの牙城を崩すべく、各社から数々の新モデルが投入されている。その中でGLOCK Killerなる称号で、じわじわと注目を浴びているのがCZ-USAのP-10シリーズだ。今回は19連マガジンのフルサイズであるP-10Fと、グロックG19の好敵手P-10Cを検証してみた。

 


 

 

 みなさんもご存じかと思うが、ロサンゼルス地域ではこのところキナ臭い事件が横行している。1992年のLA暴動の際ほど身の危険を感じることはないが、現実問題として自衛のためにルフプロテクション用にどのハンドガンをキャリーするかということを考えなければならない。

 筆者の場合、ハンドガンは比較的簡単に決まってしまう。他でもないグロック G19 Gen.5のトリジコン製RMRドットサイト付きをアペンデックスキャリー(右腰と臍の間でベルトの内側にホルスターをセットする)し、エクストラマガジンとして左のポケットにG17用の17連を1本というセットアップである。豊富な装弾数とトリガーを引きさえすれば必ず弾が出るという鉄壁の信頼性において、グロック以上のガンはなかなか存在しないからだ。

 だが、はっきり言って筆者はグロックのファンではない。グリップのアングルやバックストラップ下部の膨らみ、そして武骨で角張った愛想のないスライドなど、どうしても好きになれないのである。だが、完成度も高いことも事実なので、このG19に関してはもう少しこのままで使い込んでみようと考えている。

 

 さて、前置きが長くなったが、今回ご紹介するCZ P-10についてである。

 

CZ P-10C

 

キャリバー:9mmルガー マガジン装弾数:15 +1 フレーム材:繊維強化ポリマー ファイヤリング・メカニズム:ストライカー バレル製法:冷間鍛造 全高:4.02インチ 全長:5.2インチ 全幅:1.26インチ 重量:26オンス(約737グラム)

 

 2017年に初リリースされたP-10Cを見た際には「ああ、またグロッククローンが出たな」くらいの感想しか持っていなかったのを覚えている。グリップアングルやデザインはさすがに後発だけの秀逸さはあるし、トリガープルのリセット(発射後トリガーを戻す際、次弾を撃発できる位置までの距離、感覚、音など)の距離が短くてくっきりとしている点はいいなと思ったが、撃ち込んだわけでもなく、特に必要性も感じなかった、というのが正直なところだ。

 だから、競技射撃のシューティングバディであるデイヴィッドが、次のプロダクションガンマッチからはCZ P-10CとP-10Fを使うのだと持ち出してきたときは少々面食らってしまった。彼は道具にうるさく勝ちにこだわっているからこそ、P-10は試してみなければならないガンであるのは確実だと感じたものである。

 

元々のバックストラップの形状はCZ75系を彷彿とさせ、撃ちやすさに貢献している。テイクダウンラッチは、グロックよりはるかに操作しやすい。トリガーはHBインダストリーズ製に変更されている。バレルはCZ自慢のコールドハンマーフォージド製法(冷間鍛造)で作られている。バレル&スライドのフィッティングはかなりタイトだ

 

 P-10Cは4.02インチのバレルで15連マガジンが付属している。ここでお断りしておくが、今回の2挺はデイヴィッドによって競技向けの簡単なカスタマイズが施されている。まず、HBインダストリーズのThetaトリガーキット(アルミ製トリガーそのものとストライカースプリングが同梱されている)が組み込んである。これによってストックよりもプリトラベル(引き始めから最初の壁に当たるまでの距離)が短くなり、よりストレートなトリガー面を持たされている上、ストライカースプリングが15%軽いレートのものに交換されているため、オリジナルに比べるとトリガープルそのものも軽くなっている。スポンジー(腰がない)なグロックに比べると、よりスムーズかつクリスプで好感が持てる。また連射を前提とした場合、明らかにグロックより優れているのは前述したトリガーのリセットだ。戻す距離が短く、小気味よいタップ音とともに次弾の発射が可能となるのだ。

 

CZ P-10F

 

キャリバー:9mmルガー マガジン装弾数:19 +1 フレーム材:繊維強化ポリマー ファイヤリング・メカニズム:ストライカー バレル製法:冷間鍛造 全高:4.5インチ 全長:5.4インチ 全幅:1.26インチ 重量:28.2オンス(約799グラム)

 

 同じくデイヴィットから借りてきたP-10Fだ。オプティックカバーにも入れられたセレーションがカスタム感を醸し出している。フロントセレーションの同じ部分にも入れてくれるとさらによかったのだが。マガジンリリースボタンはこのORモデル以降アンビではなくなり、オーナーの好みで右か左を選べる仕様になった。グリップ部分はマガジンが長いため、ニョキっと長く見えてしまう傾向があるのは確かだ。それでも19 +1の装弾数は魅力的だ。また、P-10Cと同じく、HBインダストリーズのThetaトリガーキットを搭載。トリガーのキレはよくなっている。

 

CZ-USA KANSAS CITY, KSと入ったフレーム。一部の初期モデルにはマズルにクラウン(ライフリング部分の面取り)がなかったが、このモデルではくっきりとみることができる

 

 「月刊アームズマガジン9月号」ではCZ P-10シリーズを細かく紹介している。ぜひ、ご覧になってグロックキラーの姿を事細かく確認していただきたい。そして、後編のレポートではいよいよ実射を行なう。はたして、CZ P-10シリーズはグロックの好敵手となりうるのだろうか?

 

Text & Photos: Hiro Soga

 


この記事は月刊アームズマガジン2020年9月号 P.134~141より抜粋・再編集したものです。

 

レポート全編が読める
月刊アームズマガジン9月号のご購入はこちら