SHOT SHOW 2020 Summary

 

 世界最大規模の銃器展示会「SHOT SHOW 2020」は、1月21日(火)から25日(土)まで米国ラスベガスのサンズエキスポ・コンベンションセンターで開催されました。またその前日、ボールダーライフル&ピストルクラブで新製品の試射イベント 「インダストリーディ」が実施され、この1日で数十万発の銃弾が消費されました(数十万発というのは推測ですが、計算するとそうなります)。これら一連のイベントの様子は2月27日(木)発売予定の「月刊アームズマガジン4月号」および「月刊ガンプロフェッショナルズ4月号」でご紹介させて頂く予定です。特に「月刊ガンプロフェッショナルズ」では毎年、SHOT SHOW関連記事だけで60ページ前後を確保して、可能な限り詳しくその内容をお知らせします。

 今年のSHOT SHOWは、銃器中心の視点から見ると、非常に面白かったと言えるものでした。全く新しい 画期的な銃が登場したわけではありませんが(そんなものが出てくるのは極めて稀なことです)、興味深い製品が何機種も登場したからです。

 

 

 その一つは、コルトパイソンの復活です。パイソンは1996年に量産が終了、その後もパイソンエリートとして少数生産が続けられましたが、1999年にコルトがコンシューマー(一般消費者)市場向け製品を大幅縮小したことに伴い、生産終了となりました(この時、すべてのコルトDAリボルバーがカタログから消えました)。その後も2001年と2003年に少数生産がおこなわれ、2005年にはパイソン50周年記念モデルが限定生産されたのを最後に、まったく製造されていません。今回の製品化は約15年ぶりの復活というわけです。

  今回のパイソン再登場は数年前から予測されていました。2017年にコブラ、2019年にキングコブラが復活していたからです。しかし、それらはかつてのコルトダブルアクションリボルバーとは異なったものでした。特にコブラは往年の製品とは全く違います。過去のモデルの欠点が改善されているのは良いことなのですが、この流れから見て、パイソンが復活したとしても外観が大きく異なったものとなり、さらにこの新型DAメカニズムが組み込まれるのではないかと懸念していました。パイソンに限って言えば、昔の外観と伝統のDAメカニズムで復活して欲しいと思っていたのです。これは多くのパイソンファンも同じ気持ちだったでしょう。結果として、コルトは限りなく昔と同じ外観と、昔同様の松葉バネを用いたメカでパイソンを復活させてくれました。コルトにとってパイソンはやはり別格だったのでしょう。但し、完全に昔のままではなく、いくつかの改良が加わっています。これは歓迎すべき事だと感じます。この新生パイソンが市場からどう評価されるかは、しばらく様子を見る必要があるでしょう。

 

 

 今回、コンバットハンドガンのカテゴリーで新規に登場したのは、スタームルガーの57(Five Seven)です。FNがP90を発表したのが1988年、そのピストル版としてファイブセブンを製品化したのが1998年です。使用する5.7mm弾は優れた特性を持っているものの他社がこれを採用するケースはほとんどありませんでした。事実上、今回のスタームルガーによる5.7mm採用は大手メーカーとして初のケースです。ルガーの5.7mmもインダストリーディ実射もおこないましたが、製品としての完成度は非常に高いと感じます。

 

 

  アメリカ市場ではコンシールドキャリーガンが高い人気を誇っています。CCWパーミット(拳銃隠し持ち許可証)の発行は増加し続けており、その一方で誰でも許可なく銃を隠して携帯することが合法な州“アンリストリクテッドステーツ”も増えつつあります。だからサブコンパクトと呼ばれる携帯しやすい小型ハンドガンが人気なのは当然です。今回、発表されたコンシールドキャリーガンで注目したいのは、スプリングフィールドアーモリーのヘルキャットです。市場ではSIG 365が大人気で、その結果、P365がかなり品薄で手に入りにくくなっています。ヘルキャットはそんなコンパクト9mmハンドガン市場に登場しました。P365とノーマル状態で比較すると装弾数が1発多く、オプティックレディ仕様も最初から用意されているなど魅力的なスペックを持っています。

  オプティックレディといえば、これも新しいハンドガンにおける標準的なスペックになりつつあります。今回も多くのメーカーがそんな製品を発表しました。その反面、小型ドットサイトの装着プラットフォームがメーカーごとに違っており、これはとても不便です。アダプターを介することで汎用性が得られますが、その分、装着位置が高くなり、コウィットネスが難しくなってしまいます。しかし、多くのドットサイトメーカーが独自規格で進化させてきた関係で、統一規格化は難しいといえます。現状、Trijicon RMR規格とLeupold Delta Point規格が優勢で推移しており、これは今年も変わりませんでした。

 

 

  一方、アクセサリー装着スロットシステムの統一化は完全にM-LOKで決着がついたと感じます。昨年の段階ですでにM-LOKが圧倒的に優勢だったが、今年は各社製品のハンドガード等にあるスロットシステムはほぼM-LOK化したように思えました。

KeyModの製品もありましたが、それはごくわずかでした。写真はドレイクアソシエイツのアテーナ―プレシジョン シャシータクティカルライフルで、これもM-LOK 11/1オクロック レイルシステムを採用しています。

 


 

 相変わらず増殖中なのはARピストルです。ピストルといっても9mmや.45ではなく、5.56mmや.300BLK、さらには7.62mmのカービンからストックをなくしたもので、これにスタビライジングブレイスを装着し、一見するとショートバレルドカービンといえるものが数多くあります。一時はこれを肩付けして射撃することは違法だといわれ、スタビライジングブレイスの普及も失速しかかりましたが、「肩付け射撃となっても問題視しない」というATFの判断以降、かなり増殖、さらなる進化を遂げています。このSAINT EDGE EVACはその中でも面白い製品です。ショートバレルは簡単に外れ、スタビライジングブレイスも折り畳みができ、コンパクトに収納できます。もちろん素早い組み立ても可能です。

 同時に一時は死語と化すのではないかと思われた「PDW」という言葉も復活、ダニエルディフェンスのDDM4 PDWやスプリングフィールドアーモリーのSAINT EDGE PDWが登場しています。これもスタビライジングブレイスを装着したARピストルの発展型といえる製品でしょう。

 SHOT SHOW 2020は他にも面白い製品が数多く展示されました。詳しくは2月27日発売の「月刊アームズマガジン4月号」および「月刊ガンプロフェッショナルズ4月号」をご覧ください。

 

TEXT:Satoshi Matsuo

(月刊ガンプロフェッショナルズ副編集長)