『新 科学する麻雀』のデータの「誤り」に関する調査結果について



〇経緯
『新 科学する麻雀』のデータについて、外部から「誤りではないか」との旨ご指摘をいただきました。
それを受けて、即時調査を開始し、一部パラメータが、「出版時に最適なもの」より1つ前のバージョンに設定されていたことを把握したため、急ぎ「間違いがありました」旨、インターネット上で周知するとともに、直ちに影響範囲を調査し、全ページの記載内容の整合性を精査してまいりました。
このたび調査が完了しましたので、結論等についてご報告いたします。


〇結論
事実、パラメータの設定に誤りがあったものの、書籍内容に問題は生じていませんでした。

具体的には、

以上から、大きな問題はなく、表や「問題と解答」そのものの訂正・修正の必要はないと判断いたしました。

パラメータ設定に初歩的な誤りがあったことは紛れもない事実で、関係各位には多大なご迷惑をおかけしましたことを謝罪いたします。
特に読者のみなさまへは、大変なご心配をおかけしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。


今回の誤り発見のきっかけとなった、外部からのご指摘部分に関する調査結果は、以下をご覧ください。
結果的にパラメータ設定の誤りを発見できましたので、大変有意義なご指摘でした。
ご指摘いただいたおかげで、検証することができました。本当にありがとうございました。



〇外部からご指摘いただいた点
「誤りではないか」と指摘された理由は、みーにん著『「統計学」のマージャン戦術』(竹書房,2017)のデータと、『新 科学する麻雀』)とを比較し、大きく異なる部分があるというものでした。

具体的には、

>両面ダマ4ハンの先制リーチとダマの間の局収支差について、『「統計学」のマージャン戦術』では、700点差であったのに対し、『新 科学する麻雀』では、約2,900点差となっており、結論が大きく異なる。

との旨でした。

※同一条件で比べたところ、『新 科学する麻雀』38ページ表1-1の該当のデータでは、正しくは結論の差異は、約2,900点差ではなく1,566点差でした。


〇差異が生じた点に関する調査結果(概要)
差異の最も大きい要因は、
でした。
『新 科学する麻雀』でのパラメータ設定の誤りによって、この「差異」は若干大きくなるものの、相対的に小さな要因でした。


〇差異が生じた点に関する調査結果(詳細)
(1)「先制リーチ」の定義の違い
『新 科学する麻雀』では、他家3人がリーチも副露もしていない状態を「先制リーチ」と定義しています。他方で、『「統計学」のマージャン戦術』では、他家3人からリーチはかかっていないが、副露されているかについては不明という状態を「先制リーチ」と定義しています。
この結果、同じ「先制リーチ」という言葉であっても、前者の方がリーチのメリットが高く出ています。

具体的なデータを示して説明させていただきます。下図をご覧ください。

data

これは、先制両面リーチ5ハンの手でリーチした場合の、アガリ率・放銃率・局収支を『「統計学」のマージャン戦術』と『新 科学する麻雀』のデータそれぞれで比較したものです。
値となっています。
『「統計学」のマージャン戦術』では、他家がすでに副露している状況も「先制リーチ」の定義に含んでいるため、他家の副露に放銃するケースが『新 科学する麻雀』の状況(他家はリーチも副露もしていない)と比較して多くなり、また、他家の副露のアガリによる自分のアガリ率減少にも寄与します。
その結果として、局収支で、『「統計学」のマージャン戦術』のほうが低い値が出ることとなります。
この「先制リーチ」の定義の違いによる差異は、中盤以降(8巡目・12巡目)ほど大きくなります。これは、たとえば8巡目や12巡目を迎えても、まだ他家の誰もリーチも副露もしていない状況での先制リーチは、一般的な状況よりも相当有利なためです。

(2)リーチ棒収入、赤によるアガリの考慮の有無
『「統計学」のマージャン戦術』では、他家の追っかけリーチ時のリーチ棒収入及び、25、58待ちの際の赤受けを考慮しておらず、アガリ時の得点が低く見積もられていると考えられます。
※今回の調査の中で、nisiシミュレータで追試して判明したことからの推測です。

たとえばリーチ5ハンの手について、
と(『新 科学する麻雀』での方法)、アガリ時平均得点が11700点でした。
追っかけリーチのリーチ棒や赤でのアガリを想定することは自然であり、この点については、『新 科学する麻雀』の結論の方が現実に即していると考えられます。

パラメータ設定の誤りの寄与を含めて、総合的に、先制リーチ関連のデータの一部では、
となっています。

パラメータ設定の誤りの影響も若干「差異」に寄与しており、至らぬ点がございました。
何卒、ご容赦いただけますと幸いです。

※先制リーチ関連以外のデータでは、基本的に状況が詳細化されており、『新 科学する麻雀』の情報が新しいデータになっているものと認識しております。