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【6月の新シリーズ】書き下ろし短編付きキャラ紹介/5.楓の場合【『邪神攻略者の戦技教導』】



5月31日(土)発売となるHJ文庫新シリーズにして、
落ちこぼれ部隊を最強へと導く次世代育成型バトルエンタテイメント
『邪神攻略者の戦技教導 部隊結成篇』



※ストーリーについての紹介記事はこちらから

5日連続更新の最後となる本日は、主人公・司の幼馴染にしてエリート騎士でもある
久瀬楓(くぜかえで)をご紹介いたします!



司とはそれこそ家族同然で育った楓(ちなみに誕生日が少し早いため、お姉ちゃんぶる一面も)。
本当の家族以上に司のことを大切に想っているがゆえに、
素直な態度が取れないこともしばしば……そんな微妙な乙女心も彼女の魅力の一部です!


ちなみに騎士としての能力も非常に高く、名実共にトップクラスの実力を誇る楓
彼女の卓越した能力は――是非とも本編でお確かめいただければと思います!

手にしている武器はどうやら剣のようですが…?



それでは最後に、司が騎士団に所属する直前、
まだ司と再会できるとは知らない楓の様子を以下の短編でお楽しみください。

※こちらの【ちょこっと立ち読み】を先に読むと、よりいっそう短編が楽しめます!


————————————


「かえでちゃん、どうしたの?」

 泣いている自分に、声をかけてくる人がいる。

「大切なもの、壊しちゃったの?」

 足元に転がっている、割れた壺を見て、その人は言った。

「だいじょうぶだよ。ぼくが一緒にあやまってあげるから」

 そして太陽みたいな温かい笑顔のまま、こちらに手を伸ばすと、頭を撫でてくる。

「ぼくが、かえでちゃんのそばにずっといるから――」

 ただそれだけで、自分の中にあった悲しみは、消え去って行った。
 普段は泣き虫なのに。臆病なのに。自分がいないと何も出来ないのに。
 こんな時は、誰よりも、頼りになるように思えた。
 だから、彼の前でだけ、自分はいつもの自分でいられたのだ。
 ……それが、永遠ではないと、分かるまでは。

「……また見ちゃった」

 ベッドから起き上がった後で、楓は大きくため息をついた。
 ずっと昔。まだ父親も、兄も、そして――司も居た時の夢。
 もうこれで、何度目だろう。
 我ながら未練がましい、と思った。
 もう失ってしまったものに、いつまでも縋っていても仕方ない。

「分かってるんだけどね……」

 そう簡単に全てが切り替えられたら、こんなに楽なことはない。
 楓はそっと手を伸ばし、傍にあった物を引き寄せた。
 人気のキャラクターを象った枕で、抱き締めたまま就寝できるよう、大きく長く出来ている。いわゆる抱き枕というやつだ。

 あの時以来――。
 突然に大切な人と別れることになってからずっと、楓は何か大きなものを抱きしめていないと眠ることが出来なくなっていた。
 そうしないと、言いようのない不安が襲ってきて、じっとしていることすら叶わなくなってしまうのだ。
 我ながら子どもっぽいと思いながら、どうしても癖が治らず、今まで来てしまった。
 多分、数年前に味わった大きな喪失感が未だに影響し、無意識にそれを補おうとしているのだろう。
 それほど、楓にとってあれは、あまりに耐え難いことだった。

「……司」

 静寂の中で、名を呼ぶ。
 自分にとって家族同然の幼馴染。どんな時でも一緒に居た少年。
 当たり前のように隣に居て、当たり前のように話して、当たり前のように遊んでいたのに。

「どこにいるのよ、あなた……」

 枕に顔を埋め、嘆息した。
 ふと視線を上げると、そこにはベッドサイドに置かれた一枚の写真がある。
 数年前に、家族で撮ったものだ。
 自分と、父親と、兄と、司が映っている。
 皆が、幸せそうに笑っていた。

「……兄さんがいなくなって」

 それだけでも、身を引き裂かれるような悲しみに襲われたのに。

「何も、あなたまでいなくならなくてもいいじゃない」

 それも、自分には何も告げることなく。

「……帰って来たって、許さないんだから」

 たとえどれだけ謝ってきたとしても。
 あなたも事情があったのよね、などという大人の対応をとるつもりはなかった。

「絶対に、絶対に、怒ってやる」

 それはもう、彼が腰を抜かすほどの迫力で怒鳴ってやるつもりだ。

「……だから」

 写真を手に取り、見つめながら。

「だから、早く帰ってきなさいよ――司」

 楓は、そう言った。

「ずっと一緒にいるって……言ったじゃない」

声が震えてくるのに気付き、楓は唇を噛んだ。

「……嘘つき」

 小さく言って、額を写真に押し当てる。

「……あなたがいないと、泣いちゃうわよ」

 応える者などいないと知りながら。
 それでも、楓は希った。
 この想いが、自分の知らない、何処か遠くへ行ってしまった少年。

 ――六道司へと、届きますように、と。


————————————


5日間にわたる紹介記事はいかがでしたでしょうか?
彼らは司と出会うことにより、心身ともに大きく成長していきますので、
その勇姿にもどうぞご期待くださいませ!

さらに本作は店舗特典が盛りだくさん!

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