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【6月の新シリーズ】書き下ろし短編付きキャラ紹介/2.ニアの場合【『邪神攻略者の戦技教導』】



5月31日(土)発売となるHJ文庫新シリーズにして、
落ちこぼれ部隊を最強へと導く次世代育成型バトルエンタテイメント
『邪神攻略者の戦技教導 部隊結成篇』



※ストーリーについての紹介記事はこちらから

本日はその中から、主人公・司が隊長に就任した部隊の問題児のひとりこと
ニア=ツィーヒトをご紹介いたします!



メンバー最年少・14歳にして、身体能力や固有能力においても天賦の才を持つニア。
しかしその能力の高さゆえに、他の騎士たちに対して反抗的な態度を取り、孤立していました。
そんなニアは司に出会ったことで、【自分よりも強い存在】を意識していくことに!

実は人付き合いが苦手なだけで、打ち解けるほどに可愛い表情を見せてくれる娘なのです


見た目はちっちゃくて可愛いニアの能力は、【ルナ・ソウル】という大型のナイフ
突き刺した部分から力を注ぎ込むことで内部から爆裂を起こし、敵に大ダメージを与えます!
また小柄な体躯と高い格闘センスで敵を翻弄するなど、アタッカーとして非常に優秀です。

そんなニアには、司に出会う前からひそかに尊敬している人物がいるようですが――
それは以下の短編でお楽しみくださいませ!

※こちらの【ちょこっと立ち読み】を先に読むと、よりいっそう短編が楽しめます!


————————————


 多くの場合、動物が群れを作るのは、個々の弱さを覆い隠すためだ。
 自らを害する者から身を守るため、彼らは徒党を組み、少しでも長く生き延びようとする。

 ……その行為自体は、愚かなことではない。

 子孫を残すという、命あるものの遺伝子に刻み込まれた使命を鑑みれば当然のことだった。
 だが何も、全ての生物が同じようにして集団に帰属する必要はない。
 望む者だけが互いに寄り添い、助け合っていけばいいだけの話である。
 独りで生きる力を持っている者というのも、確かに存在しているのだから。

 しかし――残念なことに。
 ほとんどの場合において誰もが、生まれ落ちた後は、群れの中で生きていくことを強いられる。
 特に、人という種はそうだ。

 物心がつく頃には学校へ行かされ、卒業をすれば今度は会社に就職。歳を経てようやくそこから抜け出せたとしても、社会という大きな枠組みの中に捉われていることは変わらない。
 集団の中で暮らし、能力もないのに立場だけが上の者にこき使われ、死ぬまで誰かの指示に従って日々を過ごす。

 その形を、良しとする者もいるだろう。
 あるいは仕方ないと諦めている者もいるだろう。
 しかしそれは、摂理ではなく、あくまでもただの選択の結果に過ぎなかった。

 ――なぜ才能のある者が若くして上に行くことが出来ないのか。

 ――なぜ能力の優れた者が、無駄に長く生きているだけの輩に従わなければならないのか。

 誰もがそのことに疑問を覚えつつも、ただなんとなく、深く考えないことを選んで生きている。
 考えたところでどうしようもないことだからだ。
 多少の理不尽はあろうとも、耐えられる程度の世界だからだ。
 従う必要がなければ、従わなくてもいいのではないだろうか。
 集団に属せずも生きていけるのであれば、無理に合わせることはないのではないだろうか。
 そんなことを思ったとしても、実行した際に生じるリスクを思えば、避けた方が無難なことである。
 故に誰だってそうしているし、そうするのが当たり前だと思っている。

 だが、自分は。
 ニア=ツィーヒトという人間は、皆と同じようにすることが出来ない。

 今まで生きてきた中で、自分以上に優れた者を見たことがなかった。
 この人になら命令されても構わないという者に、出会ったことがなかったのだ。
 だから、全てを拒絶した。
 それが損なことであると理解しながらも、受け入れることが出来なかった。
 すると案の定、様々なところから爪弾きにされた結果、不名誉な処分を受けることとなる。
 誰よりも強いというのに。何よりも有能だというのに。
 自らの実力を発揮する場所さえ、強制的に奪われてしまった。

 納得がいかない。
 意味もなく、理由もなく、誰かに頭を下げることなど出来なかった。
 誰かに使われるのなら、せめて、そうされる価値のある者の下で働きたい。
 常識という束縛に捉われたままで、機械のように命じられたまま動きたくなかった。
 それなのに――誰も理解してくれない。

「……ワタシは間違ってない」

 自分に言い聞かせるよう、呟いた。
 そうだ。譬え何を言われようとも、そのことは確かだ。
 自分より実力が上でなければ、たとえ決まりであったとしても、唯々諾々と従いたくはない。
 だが、このまま何も出来ないまま燻っているのは嫌だった。

 ――戦いたい。

 戦って、自分の力を示したい。
 そのためには、一体、どうすればいいのだろうか。

「……漆黒の守護者」

 ふと、口にした。
 自分にとって、特別な意味を持つその名を。

「彼のように、ワタシも……」

 想いを胸に、ニアは自室で佇む中、ふと視線を傾けた。
 壁に貼り付けられていたカレンダー。
 そこに載っていた日付を目にし、呟く。

「……ああ、そうか」

 今日は約束があった。
 先日、東京支部に新設された部隊に所属するよう指示があり、その隊長と対面しなければならなかったのだ。

「どうせ、同じなのに」

 また失望し、されるだけだ。
 こんなことを、何度繰り返せばいいのだろう。

「……そろそろ、かな」

 潮時かもしれない。そう思った。

「うん。……そうしよう」

 今日が終わった時、全てを決断しよう。
 自分の生き様は、誰でもなく、自分自身が作るのだ。
 だからもう、ここに留まっているのはやめよう。

「独りだって……大丈夫」

 きっと、自分なら、生きていけるはずだから。

「――行こう」

 今日とは違う明日を、歩むことを誓いながら。
 ニアは、足早に部屋を出て行った。


————————————


明日は問題児な部下のひとり【フィナ=クルストル】をピックアップしてお贈りいたします。
どうぞお楽しみに!

(緑茶)