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【6月の新シリーズ】書き下ろし短編付きキャラ紹介/1.リュミエルの場合【『邪神攻略者の戦技教導』】



5月31日(土)発売となるHJ文庫新シリーズにして、
落ちこぼれ部隊を最強へと導く次世代育成型バトルエンタテイメント
『邪神攻略者の戦技教導 部隊結成篇』



※ストーリーについての紹介記事はこちらから

本日はその中から、主人公・司を支える才色兼備なヒロイン
リュミエル=ディ=シュヴァリエをご紹介いたします!



ゴージャスな見た目に反して、まじめで一途な性格のリュミエル。
邪神という厄介な事情を抱えた司の役に立つべく、
常に傍に寄り添ってサポートしてくれます。

献身的に司を支えようとした結果、こんな姿も披露することに…!?



また騎士としても相当な実力者として知られており、
速さに特化した細剣【バルハード】から繰り出される剣戟はまさに神速!

そんな凛とした美しさを持つリュミエルが、
司に出会う前に何を思っていたのか――以下の短編でお楽しみください。


※こちらの【ちょこっと立ち読み】を先に読むと、よりいっそう短編が楽しめます!


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 リュミエルの父は、天世騎士ではない。
 だが警察官であり、常に民衆を守るための盾として、この激動の時代を生き抜いてきた。
 それは、法の番人としての役目を務めるだけに留まらない。侵獣襲来の際には誰よりも早く一般市民の避難誘導に動き、その後も逃げ遅れた者がいないか確かめるため、危険を顧みずに最後まで該当区域を見て回っていた。
 もしも何かあったら、と母はいつも心配していたが、そんな時、父は決まってこう返すのだ。

「それが大きくても小さくても、人には自分にしか出来ないことというものが必ず存在する。オレはそれをまっとうしているだけだ。簡単に死ぬつもりはないが、そのことに怯えて縮こまるわけにはいかない」

 虚勢を張っているわけではなく、また、使命感に陶酔しているわけでもなかった。
 父は、真摯に己で決めた生き様を、ただ純粋に貫こうとしていたのだ。
 だからリュミエルはその背に憧れた。
 いつか父のような人間になれたら。
 力ではなく、心で強く、気高く生きることが出来たら。
 そう思い、騎士となった後も、ただひたすらに己の使命に従い戦い続けた。

 だが、自らのサダメに生きるということは容易ではない。
 騎士として任務は厳しく、辛く、膝を折りそうなことが何度もあった。
 能力を評価され、新人としては異例の【白】の称号を与えられはしたが、自分がそれに見合う活躍が出来ているのかと疑問に思う日々が続く。
 侵獣との命を賭けた遣り取りを終えた後、ベッドに就く度、これから先のことを想って幾らか不安にもなった。

 だがそんな時、リュミエルはいつも、ある人物のことを思い出すことにしている。
 彼のことを考えると、些細なことで悩んでいる自分がひどくちっぽけな存在に思えて、負けてなるものか、と闘争心が湧いてくるのだ。
 初めてその人のことを知ったのは、寮に置かれていた新聞の記事だった。
 それは、巷を騒がせる【漆黒の守護者】について書かれたもの。
 各地に現れ、人々を守りながら、侵獣を一瞬にして殲滅する存在。
 黒衣を身に纏い、大剣を振るうその人物は、外見が十代程度の少年であるということ以外、素性の一切が謎に包まれていた。

 【円卓の騎士団】は彼を天世騎士ではないとしており、メディアは正体を追い求めて様々な憶測を並べ立てている。
 一体彼は何者なのか。リュミエルもまた、大いに興味を惹かれた。
 だがそれは、他の人間のように漆黒の守護者の持つ圧倒的な力に対してのものではない。
 自分と近い年齢でありながら、たった一人で侵獣に立ち向かうという過酷な道を選んだ、彼の心の内が知りたかったのだ。
 何を想い、何を考え、何を抱き、何の為に戦っているのか。
 もしそのことを知ることが出来れば、己の求める理想に一歩でも近づけるかもしれない。
 自分の中にある弱さを克服するための何かを、掴むことが出来るかもしれなかった。

 リュミエルはその日から、漆黒の守護者に関する記事を、どんな小さなものでも見逃さずに集め始める。
 そして、その度に彼の偉業に驚き、感動する中で、少しずつ、少しずつではあるが自分の中に変化が起こり始めた。

 漆黒の守護者に会いたい。会って話がしたい。

 焦がれる気持ちはいつしか、彼自身に惹かれる感情へと昇華していった。
 どんな生き方をし、何を信念として今まで歩んできたのか。
 それを、どうか、教えてほしい。
 そして、出来れば――自分のことを、導いて欲しい。
 だが依然として漆黒の守護者に関しての情報は少なく、リュミエルもまた、彼の足取りをかろうじて追うので精一杯だった。

 そんなある日。
 リュミエルは所属していた隊の隊長から呼び出しを受けた。
 彼は同時に、リュミエルの居る天世騎士達の基地、円卓の騎士団東京支部を統括する立場――即ち総隊長と呼ばれる人間でもある。
 総隊長は言った。今度、新しく分隊を創設する。ついてはリュミエルにその副隊長を担って欲しいと。
 突然過ぎる申し出に当惑するこちらに、彼は告げてくる。

「隊長の名は、六道司」

 それは、リュミエルにとって生涯忘れることが出来ないであろう瞬間。

「――漆黒の守護者と呼ばれている男だ」

 自らの運命(サダメ)が、動き出そうとしているのを感じた。


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明日は問題児な部下のひとり【ニア=ツィーヒト】をピックアップしてお贈りいたします。
どうぞお楽しみに!

(緑茶)