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【6月の新シリーズ】書き下ろし短編付きキャラ紹介/4.ユリアスの場合【『邪神攻略者の戦技教導』】

5月31日(土)発売となるHJ文庫新シリーズにして、 落ちこぼれ部隊を最強へと導く次世代育成型バトルエンタテイメント 『邪神攻略者の戦技教導 部隊結成篇』 ※ストーリーについての紹介記事はこちらから。 本日はその中から、主人公・司が隊長に就任した部隊の問題児のひとりこと ユリアス=ロットフィルトをご紹介いたします! 明るく協調性もあり、職務への忠誠心も高く、努力家なユリアス。 一見すると何の問題なさそうな少年なのですが……彼の抱える問題は、ずばり固有能力。 自らが生み出す大型回転式拳銃【バーンレイグ】の性能が、 他の騎士に比べて圧倒的に火力不足なのです。

しょぼい火力ですが、使い方によっては……?

そんなユリアスですが、ハンデを乗り越えるべく努力を続け、ほぼ必中の精密射撃を獲得! また、視野の広さと冷静な状況分析能力など、自分でも気づいてなかった才能が、 司との出会いによって開花していくのです。 では、ユリアスが司に出会う前に胸に秘めていた思いとは? それは以下の短編でお楽しみください! ※こちらの【ちょこっと立ち読み】を先に読むと、よりいっそう短編が楽しめます! ————————————  撃鉄を起こし、照準を合わせ、引き金を絞る。  ――着弾。  撃鉄を起こし、照準を合わせ、引き金を絞る。  ――着弾。  繰り返し、繰り返し、何度でも、何度でも。  指先の感覚がなくなるほど、目が霞むほど、頭が朦朧とするほど、立ち尽くした足が震える程。  訓練場で、的を狙い、中央を撃ち、また狙う。  譬え、撃ち放つ弾丸の力が、ひどく弱々しくとも。  狙った獲物を破壊することすら出来ない、無意味な代物だとしても。  そうすれば、嫌なことは忘れられた。  ――君の場合、天世騎士として決定的なものが欠落している  少なくともその時だけは、今目の前にあるものに没頭することが出来た。  ――意気込みは買うが、結果が伴わなければ意味がないんだよ  努力すれば。鍛えれば。弱点を補うことが出来れば。  ――悪いが、君を迎え入れる部隊は存在しない  いつかきっと、報われる。 「……そのはずであります」  故にユリアスは、諦めない。  たとえ己の中に居るもう一人の自分が、無駄なことであると忠告しても。  片時も休むことはなく、ただ銃を撃ち続ける。  自分にはそれしか出来ない。それ以外にとるべき選択がなかった。  手を止めれば――そこで全てが終わってしまう。  無力なユリアス=ロットフィルトという一人の男の真実が、露呈してしまう。 「絶対に……諦めない」  自分に今出来る全力を、全て注ぎ込む。  ――お前には失望したぞ、ユリアス  たとえそれが、ほんの小さなものだとしても。  ――もう二度と会うこともないだろう  手放さなければ、いつか報われることを、信じていた。 「そうであります。……姉上」  始まってもいない内から何もかもを捨ててしまうことなど、出来ない。 「全てを放り投げるのは、最後の手段」  それまでどんなに遠くても、足掻き続けたい。 「――だから、居場所が欲しい」  どんなに惨めなところでもいい。下の下の下でもいい。  ただ、自分の宿命を果たすべき場所が欲しかった。 「駄目なのでありますか……」  自分には、そんなものすら、与えられないというのか。  だからこんなところで、いつまでも留まり続けているのか。 「自分は……っ!」  撃鉄を起こし、照準を合わせ、引き金を絞る。  うんざりするほどの繰り返し。永遠にも思える同じ動作。  変化の兆しすら見られぬ、日々の輪廻。  いつか、そこから抜け出すことが出来れば。  その時こそ――。 『ユリアス=ロットフィルト隊員。総隊長からの呼び出しです。至急、隊長室までお越し下さい。繰り返します。ユリアス=ロットフィルト隊員――』  ユリアスは顔を上げた。呆然と放送を聞く。 「……総隊長が?」  その後、ゆっくりと視線を動かした先にあるもの。  的にわずかに傷をつけただけの、弾痕。  己にとって変わりの無さを証明するようなそれを、いつか真っ向から撃ち砕きたいという願いを込めて。  ――ユリアスは、再び引き金を引いた。 ———————————— 明日は司の幼馴染にしてエリート騎士【久瀬楓】をピックアップしてお贈りいたします。 どうぞお楽しみに! (緑茶)