そりゃないぜセニョリータ『ホスピタル+ラッシュ』


エッセン新作がドカドカ入ってくる季節になり……大物で残るは『デウス』『工房の錬金術師』『春秋戦国』などなどまだまだ入る予定……『マッシリア』や『黄金時代』は来週には出荷となるかと。

そんな中本日紹介いたしますのは春発売のはずだったのが、エッセン新作となった
ホスピタル+ラッシュ
です。

というか、大作の陰に隠れがちなので、この狭間の商品は結構注意しておいた方がいいですよ!
ペガサス・シュピーレも伊達にエッセンにぶつけてませんぜ?

さて。
プレイヤーはインターンとなって病院勤めですが、このたびドクターの席が突如空いたために、その職を巡って右往左往するというものです。

そして職を得るためには、病院側から高い評価を得なくてはなりません。
この評価は主に退院させた患者によって異なる「評価ポイント」によって得られます。


患者はゲーム開始時に、4人表向きで並べられます。
ゲーム的には、これらの患者の治療に必要なリソースを集め、患者に配置して治療することになります。


患者には治療のために必要な薬(紫、橙、緑の3種)、絆創膏などが記されています。
この人のアレルギーの治療には、オレンジと緑の薬と、絆創膏(物理的手当て)が3つ必要で、評価は3貰えます。

システム自体はシンプルなワーカープレイスメント。
行えるアクションは、『治療』『薬の入手』『夜勤』『学習』『最終試験』『密告』の通常のアクションと、『妨害』と『賄賂』の裏のアクションがあります。
……おかしなアクションがあるね?

ゲームの進行は……

・アクションマーカーを置くステップが2回あり(つまりワーカーが2個)
・置いた後で、患者を退院させて、
・条件が満たされていたらゲーム終了処理

というオーソドックスなスタイル。
ワーカー2個なのは午前シフトと午後シフトかな?

アクションスペースは、1人しかワーカーを置けないアクションと、何人置いても大丈夫なアクションがあります。
で、先ほどのアクションですが……

1)治療

患者を自分の担当にして、薬や絆創膏などの獲得したリソースを割り振ります。
そう、薬や絆創膏は、病院から出すのではなく、プレイヤーが確保したうえで患者に与えなくてはならないのです。
薬や絆創は記載の数までタダで割り振れますが、お金を払えば追加で割り振ることもできます。
患者に記載され散る必要な薬や絆創膏が割り振られたら完治。
もちろん、患者が完治すると評価が上がるので大事だ。
重要なのは、患者に担当として着くことができるのは1人だけと言うこと。
担当をやめて他の担当になることもできますが、手持ちの薬や絆創膏で治療できる患者を確実に担当するためには、他のプレイヤーに先んじないとダメなわけ。

2)薬の入手

これで薬を獲得できます。
薬はもちろん患者の治療に必要となります。
しかし、薬や絆創膏は数に限界があります。つまり、自分の欲しい薬や絆創膏は他のプレイヤーよりも先に獲得しないと、確実に入手できるとは限らないわけ。

3)夜勤

夜勤をすると、お金が手に入ります。夜勤のスペースは4つあるのですが、一番乗りだとスタートプレイヤーになれるのも重要。
お金はもちろん、治療や薬の獲得など色々と役に立ちます。

4)学習

何しろインターンですので、技術を習得しないと……
技術は4つあり、それぞれが特殊な効果を持つので、ゲームを有利に進める手助けになります。
しかしながら、お金が必要となるので夜勤で稼いでおかないとダメなわけです。

5)最終試験

最終試験はお金を払って受けることができます。
これは、上で獲得した技術が評価点になります……患者の開いても重要ですが、こちらも大事と言うわけです。

6)妨害

他のプレイヤーからお金や薬を奪う不正アクション
先に説明した通り、薬や絆創膏は数に限りがありますので、患者を治療するために必要な薬がどうしても欲しい場合は、他のプレイヤーからちょろまかす必要があるというわけです。しかし、これにはリスクが伴います……

7)賄賂

金で評価を買うことができる不正アクション……金さえあれば何でもできる!
患者直しているヒマがあったら、病院のお偉いさんにお金を渡せばいいんだよ!!!
もちろん不正なので、上と同様にリスクが伴います。そのリスクとは……

8)密告

さて……御チュー進、と言うわけで上2つの不正アクションを告発するアクション。
告発した人にはお金が入り、不正者は金か評価が下がります。

患者を治すためのリソースは常に足りず、お金は割と上限なしに獲得でき、不正でリソースや点数は何とかできるけど、密告ペナルティは手痛い――という構造になっており、どの路線で評価を上げ、どうやって他の人の道筋を潰すのかがシンプルに悩めるゲームとなっているわけです。

そして、各プレイヤーはターン順に1個ずつワーカーを置き、全員がワーカーを2個置いたら、患者の完治判定をします。
治療判定は、担当患者に治療に必要なリソースを割り振っているかを見るだけ。

こうやって、患者を治療するか、賄賂をするか、試験に合格することで評価点を得て、いずれかのプレイヤーの評価点が10点を超えたらゲーム終了。
基本部分は実にシンプルなワーカープレイスメントでしょ?
フレーバーはおかしいですが。

それに加えて、各プレイヤーの受け持つキャラクターは、その設定に沿った個別の能力があります。
どれもルール的にはおかしくないのですが、設定はかなり変。

フレーバー部分は……コミカルでちょっと毒のある設定がなんか懐かしのアメゲー風?
考えてみれば、ペガサス・シュピールはSJGのゲームなどのドイツでの代理店なので、なんとなく納得な感じ。
しかしながら、基本はアクションと言うリソースを相手の色をかんがみてどう変換して最終的に評価値に変えていけばいいかということを悩む、かっちりと作られた軽めのワーカープレイスメントとなっており、初めてのワーカープレイスメントとしてもお勧めできるもの。


サイズもこんな感じでコンパクトだし、初心者向けや軽めのワーカープレイスメントのゲームを探されている方や、場所をあまりとらないゲームをお探しの方(たぶん炬燵の上でもなんとかなるサイズ)、懐かしの(今でもか?)アメゲーっぽいユーモアが好きな方にオススメめいたします。

ホスピタル+ラッシュ(Hspital Rush)
プレイ人数:3-5人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:30-60分
製作:eggertspiele/Pegasus Spiele
デザイン:トマス・キョルビーラウルセン、コーレ・ストールガード、シュテーン・トムセン
価格:4,800円+税

翻訳者の各患者の推測メモが楽しいので、ここで紹介をしますと……
・Al Furry/アル・ファーリィ

『Furry』は『毛だらけ』。元ネタは字面からすると俳優アルバート・フィニー(Albert Finney)?

・Amadeus Tinnitus/アマデウス・ティナティス

『tinnitus』は『耳鳴り』……だれ?

・Bob Piggity/ボブ・ピギティ

病名は不明ですが、“Piggity-Wiggity Jiggity Jig”って絵本のキャラクター(子豚)が居るので”Piggity”は「子豚ちゃん」くらいの意味?
音からすると、“bomb diggity”(最高級に超スゴイ、的なスラング)の駄洒落?

・Bruise Wayne/ブルーズ・ウェイン

『Bruise』は『打撲傷、打ち身、アザ』。元ネタ『バットマン』シリーズの主人公ブルース・ウェイン(Bruce Wayne)から。

・Bruno Scars/ブルーノ・スカーズ

『scars』は『傷跡』。元ネタは歌手ブルーノ・マーズ(Bruno Mars)。

・Severus Scrape/セブルス・スクレイプ

『scrape』は『擦り傷』……さしずめ『セブルス・スリキズ』と言った感じ?
元ネタはハリーポッターのセブルス・スネイプ(Severus Snape)。イラストは映画版の演者アラン・リックマン。

・Homer Ludens/ホーマー・ルーデンス

『ホモ‐ルーデンス(Homo ludens・羅)から? 意味は『遊ぶ人』。

・Jacob X. Bully/ジェイコブ・X・ブリィ

『Bully』は『乱暴者』でイラストは『Bull(雄牛)』。元ネタは『トワイライト』シリーズのキャラクター、ジェイコブ・ブラック (Jacob Black)か?

・Jim Caries/ジム・キャリーズ

『Caries』は『虫歯』。元ネタは俳優ジム・キャリー(Jim Carrey)なので、ジムシバ・キャリーっといったところか?

・Leonardo DiAbetico/レオナルド・ダイアベティコ

『diAbetic』は『糖尿病』。元ネタは俳優レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)。

Lulu Vogel/ルル・フォーゲル

『Vogel』は独語で“鳥”……元ネタ不明。

・Malaria Croft/マラリア・クロフト

『Malaria』は『マラリア』。元ネタは『トゥームレイダー』シリーズの主人公ララ・クロフト(Lara Croft)。イラストは映画版の演者アンジェリーナ・ジョリー。

・Quentin Quarantino/クエンティン・クレンティーノ

『Quarantine』は『伝染病予防のための隔離、検疫』のこと。元ネタは映画監督クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)。

・Scarlet Fever/スカーレット・フィーバー

『Scarlet Fever』は『猩紅熱』のこと。元ネタは多分女優スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)。

・Sharon Gallstone/シャロン・ゲルストーン

『Gallstone』は『胆石』のこと。元ネタは女優シャロン・ストーン(Sharon Stone)。

・Mot Riddle/モート・リドル

病名ネタ無し。元ネタは『ハリー・ポッター』のヴォルデモート卿。本名トム・リドル (Tom Riddle)。鼻の無いキャラクターデザインがよくネタにされる件がイラストの元ネタ。イラストは映画版、変貌後)

・Woody Allergy/ウディ・アレルギー

『Allergy』は『アレルギー』。元ネタは俳優で映画監督ウディ・アレン(Woody Allen)。

・Moe Mento/モー・メント

多分『memento mori』→映画『メメント』(Memento)=健忘(症)と思われる
編)Mo-mentで瞬間かも。

・Walt Kidney/ウォルト・キドニー

『Kidney』は『腎臓』。元ネタはアニメーター/映画監督ウォルト・ディズニー(Walt Disney)。

Samuel Cold/サミュエル・コールド

『Cold』は『風邪』。元ネタは発明家サミュエル・コルト(Samuel Colt)。

・Rubella Swan/ルベラ・スワン

『rubella』は『風疹、三日麻疹』。元ネタは『トワイライト』シリーズのキャラクター、ベラ・スワン(Bella Swan)。イラストは実写版の演者クリステン・スチュワート。

・Antonio Bandageras/アントニオ・バンデージラス

『Bandage』は『包帯、絆創膏』。元ネタは俳優アントニオ・バンデラス(Antonio Banderas)。

・Sherlock Mumps/シャーロック・マンプス

『mumps』は『おたふくかぜ/流行性耳下腺炎』。元ネタは『シャーロック・ホームズ』シリーズの主人公シャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes)。

一部不明のキャラクターの元ネタがわかる方でtwitterアカウントがある方はメンション飛ばしてくだされ。