たった一つの限りある命を大切にしなさい『女海賊 鄭夫人』


さて、ちょっと発売が遅くなりましたがブルーノ・カタラとルドヴィック・モーブランのコンビによる新作、
女海賊 鄭夫人
が発売されましたので紹介いたします。

ゲームの舞台は19世紀の南シナ海で、海賊の鄭一の妻が鄭一亡き後に経営手腕を発揮して、部下は数万人規模という、巨大な海賊帝国を築きあげたという史実をもとにしております。

さて、プレイヤーはその鄭一嫂(鄭一の兄嫁の意)の部下として南シナ海を舞台に遠征を繰り返し、金品を稼ぎ、航海術や戦闘技術などを磨き、一番の部下となるのが目的です。

ゲームのシステムの根幹は、カードプレイとドラフトになります。

各プレイヤーは4枚の手札から、航海カード1枚を裏向きで出し、一斉に公開します。

数字の大きなプレイヤー順にターンを得て、航海の解決をします。

出したカードが、自分の前に並んでいるカードよりも大きな数字であれば航海は続きます。



同じ色ならそのまま左へ、違う色ならななめ左下へ船は移動です。

地図の端からはみ出る、もしくは小さい数字を出した場合は航海終了。今出したカードは次の航海開始のカードとなり、元の位置に戻ります。

その後、場に並んでいるカード(人数分あって1枚だけ非公開)から1枚を取ります。

航海カードは55枚あり、そのの色は6種類ありますが、色は1から5は白、6から25は青、といった具合になってるので、計画的に斜めに移動するのは難しいものとなります。

さて、この航海のルールはシンプルなのですが、得点や特殊能力などのルールが色々多くありまして……

1)技術カード
航海が終わった時、航海カードにあるアイコンが3つそろっていたら、もしくは4種各1つそろっていたら獲得できます。

これは得点にもなりますが、強力な効果も併せ持ちます。
たとえば『地図製作』は使うと航海カードを1枚引き、以降手札が4枚ではなく5枚になります(技術カードは複数枚使えますが、使うと裏返しに)。

つまり、技術の獲得のためにはうまくアイコンを公開の終了時にそろえることができるように、カードを並べていく必要があるわけです。


しかも、技術カードは『地図製作』『戦闘』『気象学』『夜間航法』『精鋭乗組員(ジョーカー)』があり、この4種類を最初にそろえると、鄭一嫂の海賊艦隊旗艦、『白磁の真珠号』の指揮を任されます。
そして、これがゲーム終了条件の1つとなっています。

2)任務タイル
航海が終わった時、今いる海域の数字より小さな数字で一番近い任務タイルを1枚獲得します。

当然大きな数字ほど報酬は大きくなっていますが、海域の数字はそこに行くために必要な航海カードの枚数×色の種類数となっていますので、なるべく斜めに動くことが必要となります。

結果得る宝物は、コインと宝石(3種類)があり、宝石は高価ですが、後述の遭遇カードで盗まれたり価格が上がる可能性があります。コインは安定して価値を発揮します。
任務タイルがすべて無くなったら、ゲーム終了です。

3)香港略奪

斜め下の最果ては、香港です。最初に到達した人はボーナスとして10点貰いますが、終了条件ではありません。

そのほかに、遭遇カードを、航海の結果(上の海域で発生する)や任務タイルで獲得できます。これらは基本手番中に1枚だけ使えますが、点数を補強したり、他のプレイヤーの邪魔をしたりできるものです。

最初の手札4枚のみでは香港まで到達する、もしくは高得点のタイルを獲得するのは難しく、航海を繰り返して良い遭遇カードを得たり、技術カードを確保していくことになると思いますが、毎ラウンドの手番は出したカードの数字の大きい順であり、並べられている補充カードに欲しいのがあっても、航海の都合がつかないなどと言うこともあり得ます。

最初のプレイではピンとこないと思いますが、2回目からはどの手順でのし上がっていくかの道筋を建てれるようになるし(先に技術か、早めに任務か、遭遇カードを充実させるか……等々)、他のプレイヤーの行動や点数なども見えて気にすることができるようになるので、そこからが本番と言った感じ。

プレイのテンポもよく、ルールは簡単だけど得点要素が多くてそれらが複雑に絡み合ったゲームが好きな人には、かなりオススメできます。

女海賊 鄭夫人(Madame Ching)
プレイ人数:2-4人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:30-45分
製作:Hurrican
デザイン:ブルーノ・カタラ&ルドヴィック・モーブラン
価格:6,000円+税