GAME JAPAN 特選ゲーム 「ストーンヘンジ」


「僕は子供のころトランプが大好きだった。1つのセットでたくさんのゲームがプレイできるということが最大の魅力だった。
僕は大人になりプロのゲームデザイナーになった。周りのデザイナーたちは、1つのゲームルールのためにコンポーネントをデザインしているという事実を知り失望した。子供のころ胸をときめかせたトランプのような、1つのセットでたくさんのゲームがプレイできるボードゲームはできないのだろうか?」

リチャード・ガーフィールドは、このゲームの序文でこう言っている。

この素朴な疑問に5人の有名デザイナーが集結して立ち上がった。そして、出来上がったアンソロジーボードゲームが、ストーンヘンジだ。

序文にあるとおり、このゲームは1セットのボード、駒、カードを共有して、5種類のゲームが楽しめる、アンソロジーボードゲームだ。彼らは、単に1セットで複数遊べるというだけでなく、ゲームのフレイバーも重視して作り上げている。「ストーンヘンジ」というのは、イギリス北部にある先史時代の遺跡で、その成立過程や目的もはっきりしていない謎だらけの世界遺産。この遺跡の形や神秘性がアンソロジーゲームの題材にぴったりということで、各ゲームにはそのテーマ性もしっかりと(?)生かされている。

それでは、このゲームを作った5人のデザイナーとそのゲームを簡単に紹介しよう。

Faidutti.jpg まず1番手はブルーノ・フェデユッティ。「操り人形(シタデル)」、「ブームタウン」、「ミッション・レッド・プラネット」などで知られるデザイナー。
彼がストーンヘンジを題材に作ったゲームが「上位ドルイド」。これは多数決のメカニックを使ったゲームで、ストーンヘンジをドルイドたちの学校に見立てて、年1回の上位ドルイド選挙を行うゲーム。

Garfield.jpgゲームの序文にも登場するリチャード・ガーフィールドは、「マジック:ザ・ギャザリング」や「ペッキング・オーダー」などの代表作をデザインしている。
彼は、ドルイドたちが魔法で石のブロックを持ち上げる競技をゲーム化した「ストーンヘンジの魔法」をデザインした。このゲームはリチャード得意のブラフのメカニックを使っている。

Ernest.jpgジェームス・アーネスト「キル・ドクターラッキー」などのCheapass Gamesのオーナー兼チーフデザイナーだ。このアンソロジーの企画自体は最初ジェームスが進めるはずだったが、彼が長期間放置していたと序文にある。(それでもボードや駒のデザインはジェームスがやったみたいです。)
かれは、ストーンヘンジを石の競売場だったということにして「オークション・ブロック」という入札ゲームをデザインしている。

Selinker.jpg「キーラルゴ」、「アクシス&アライズ」、「パイレーツ・オブ・スパニッシュメイン」などで知られるマイク・セリンカー。最近は上記のジェームスと組んで色々なボードゲームも手がけている。
彼は、ストーンヘンジは宇宙人たちのレースコースだったという大胆な推理をもとに「ストーンヘンジの戦車レース」というレースゲームをデザインした。

Borg.jpg最後を締めくくるのは「ブラフ」、「メモワール’44」、「バトルロア」で知られるリチャード・ボーグ
彼は、ウォーゲームのメカニックを使って、アーサー王の騎士の亡霊たちの戦いをゲームにした「アーサー王のゴーストナイト」をデザインしている。

5つのゲームは、それぞれ異なったゲームメカニックを使っているため、同じボード・駒・カードを使っていても全く毛色の違ったゲームに仕上がっている。また、それぞれのデザイナーの「ストーンヘンジ遺跡」への解釈の違いも面白い。

尚、このアンソロジーボードゲーム「ストーンヘンジ」には、今秋はやくも拡張セットの発売が予定されている。拡張セットでは、追加の駒+新たに加わった3人の有名デザイナーによる3つの追加ルールということで、楽しみはマダマダ続く。

このゲームは、
プレイ人数:3人~5人(ゲームによって若干違います。)
プレイ時間:30~60分(ゲームによって異なります。)