自然な感じで増やす『リネイチャー』


毎年この時期はエッセンで行われるSPIEL(シュピール)の新作発表でもちきりになるのですが、今回紹介いたします
リネイチャー

は、新ブランドDeep Print Gamesの第一作となります、クラマー&キースリング作の“エッセンの新作”となります。
デジタルはやっていました。)

なお発表即日本語版発売という最速リリース。
さて……


ゲーム自体は荒廃した森に動物を呼び戻し、植樹をして自然を取り戻そう(Renature)というもの。タイトル通り。
全プレイヤーがドミノを全て置ききったらゲーム終了で、一番得点を獲得している人が勝者です。

ゲームでは10種類の動物から2つが描かれたドミノと木の樹木コマを主に使用します。

ドミノはこの組み合わせを意識しておくと良いのです……

樹木コマ……白と黒が多いのは、2人プレイでは1人が使うコマ数が多いので。

植物コマは「オーク」「杉」「低木」「芝」の4種類あって、それぞれ「価値」が異なります。

また自分の色のコマと中立色のコマがあり、受け取る数は4人だとオーク自色1/中立1、杉自色1/中立1、低木自色2/中立1、芝自色3/中立1。
つまり自分の色だけではなく中立の植物コマも受け取ります。

ドミノは4人だと13枚受け取り、手札として3枚だけ見ることができ残りは山にしておきます。

雲トークンはゲーム中に使用することでいろいろな効果を得られますが、ゲーム最後まで使わず持っていたものは点数になります。
受け取るのは各プレイヤー6個です。

こちらはゲームボード……

川で囲まれた各エリアにはランダムにエリアトークンが置かれます。
こちらは動物ドミノでエリアを囲むことで「封鎖」した時の点数に関係してきます。

ジョーカートラックの左端の「蝶」のところにマーカーを置きます……このトラックはどの動物がジョーカーであるかを表示しています。
これは後述。

雲トークンをゲームボード上の4か所のマスにも置きますが、プレイヤーがゲーム中に雲トークンを補充できるのはここだけです。

セットアップはこんな感じ。

ゲームの流れ自体はシンプルです。
手番では以下の手順を行います。
1) ドミノを置く
スタートマスからか……

隣接する動物の絵が合致するようにつながる、空いている場所に置きます。

エリア内や盤外にはみ出るようには置けません。ドミノを置けない(置きたくない)場合は、いずれか1個のドミノを箱に戻してください。
つまり毎手番必ず1枚は減っていきます。

2) 植物を置く
……置いたドミノに接する空いているマスに樹木コマを置くことができます……置かなくても構いません。

青が[カタツムリ|カエル]を置いたので……

隣接する空きマスに草をはやした。

このとき、置くマスに雲トークンがあるなら獲得できますが、自分のボード上には6個までしか保持できません。

エリアトークンはエリアが封鎖されるまでエリア内に置いておきます。邪魔にならないようにエリア内でよけておきましょう。

樹木を置いたら、置いた植物コマの価値と数で点数を計算します。
点数は、(置いたコマ+そのエリアにある置いたコマの価値以下のコマ)の個数に等しい点数を獲得します。
つまり後置き有利なんですが、かといってショボイ所に価値の高い樹木コマを使うかどうか……というのが悩み所。
前の例の場合、青が芝を置いたので、1点獲得……


この場合だとオレンジがオークを置いたので、8点獲得。
そしてエリアが封鎖されたら、エリアトークンの点数を、誰が獲得できるのか判定します(エリアの封鎖自体はエリアの辺がドミノふさがっているか、1マスだけでドミノが置けななくなったマス=孤立したマスであれば成立します)。


赤い四角で囲んだエリアは「封鎖された」ことになります。


周りはもう少しで封鎖されそうなエリアだらけ……

エリア内の木の価値を、色ごとに比べ、1番目のプレイヤーが主点数、2番目のプレイヤーが副点数を獲得します。1人だけなら両方の合計を獲得します。
先ほどのオレンジがオークを置いて8点取ったエリアも閉鎖されたのですが;
 オレンジ=合計8
 青=合計6
 白=合計7
 中立=4

この場合はオレンジ1位で13点、白が2位で6点です。

ただし合計数が同じ色どうしは数えません……価値0です。その場合、その下の数の色が繰り上がります。
中立色は独自に数えます。中立色が1番や2番になる場合もあります。
つまり、中立の樹木コマで邪魔な色の同点打消しを狙う作戦もアリ。

青が右端の[スッポン|イモリ]を置いたのだが、あえて中立の杉を置いた……置いたときの点は4点、黒と中立が相殺して青が独占でエリアトークンの9点を獲得だ!

エリアを封鎖したプレイヤーはエリアトークンを獲得します。

エリアトークン獲得……裏を見ると5点!
点数はランダムですが、だいたい表の点数が高いほうが高得点気味

このように、樹木コマを置いたときの点数と、エリアを封鎖した時の点数が主な得点源です。
つまり……中立色の樹木を置くのにも意味はあるし、ランダムに置かれるエリアトークンの点数とエリアの広さから重要なエリアを見積もる必要があるのです!

3) 手番の最後にドミノを山から補充します。
……これを全員がドミノを置き切るまで繰り返すことになります。

ちなみに雲トークンは手番中いつでも何回でも使用でき、使うとジョーカーの変更(2雲)、手番の追加(3雲)、植物コマの回収(自色でも、中立でも、価値に等しい数の雲)といずれもかなり効果的なので、効果的に使用したいところ。

例えば;

雲2枚はらって……

ジョーカーを変更し……

雲2枚はらって……

茂みを回収し……

[スッポン|キツツキ](キツツキはさっきジョーカーに変えた……ジョーカーは何に隣接させてもOK)のドミノを置いて、茂みを置いた。
樹木コマで2点、ここを封鎖できたので2点、そしてトークンも獲得だ。
(4点使って4点+α獲得なのでそんなにお得な手ではありません……あくまで例ということで。)

ゲームは全員がドミノを置いたら終了です。
ゲーム終了時に追加される点数としては……
先ほども説明しました集めたエリアトークンの裏面の点数。
封鎖していないエリアのエリアトークンの点数を封鎖したかのように得ます。ただし、エリアトークンは当然もらえませんので、できればゲーム中に封鎖はしたい……。
残っている雲トークンの数だけ点数を得ます……が雲トークン特殊効果の方が点数になるなら使ったほうがお得でしょう。
残っている植物コマの価値だけ点数を失います……つまり置き切りも意識しなくてはならないところとなります。

このように、基本的には「樹木コマの後置き」+「各エリアのマジョリティ争い」+「スペース獲得争い」なのですが、そのためにはドミノの配置が必要となりその駆け引きも重要となります。それぞれ脳の別の部分を使う感じ。

ルールの根幹となる「ドミノを置いて植樹」という部分はシンプルでありながら、点数をどこで得ていくのか、どこで駆け引きを仕掛けるかが悩ましく、プレイ時間も1時間前後とプレイしやすい時間となっており、基本を押さえたしっかりとしたユーロゲームをお探しの方にオススメいたします。

リネイチャー
プレイ人数:2-4人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:45-60分
製作:Deep Print games
デザイン:ヴォルフガング・クラマー&ミヒャエル・キースリンク
価格:5,600円+税

※初期配置のルールを一つ見落としておりましたのと、封鎖のルールで見落としがありましたので訂正いたしました。