寄生虫めが!『フンタ:カードゲーム』


ここのところメジャータイトルのダイスゲーム化とか、カードゲーム化がはやっているのか、当社でも『ロール・フォー・ザ・ギャラクシー』や『私の村の人生』など、元のテイストは生かしてシステムを変えたゲームが続々出ていますが……

フンタ:カードゲーム

も往年の名作のカードゲーム化。

なお、「カードゲーム化」はこれだけじゃないよ。

元のゲームの方はと言うと、ODAが降ってきて、大統領が予算配分して、銀行に入金に行くか潜伏するか悩んで、不満が溜まったら政変狙ってクーデターをたくらむ輩が出て、クーデターは別途ボードを使って解決する……と言った感じでしたが、だいたい同じ。

『フンタ』では大統領以下権限の異なる各閣僚を指名して組閣していましたが、『フンタ:カードゲーム』では大統領とその他5人です。

『フンタ』では懐に入れたお金は(暗殺を恐れながら)銀行まで行ってスイス銀行に振込みしなければなりませんでしたが、『フンタ:カードゲーム』では仲介人のカバンの中に。
そのため、暗殺を避けて愛人宅に潜伏……などと言うことも無くなりました。

各プレイヤーの手札となるのは(比喩的にも)、
・影響力
・建物
・介入

影響力は、各種政治団体や支持層で、票数と戦力があり、票数は議決時に、戦力はクーデター時に使う数値。

また、それぞれ特殊な能力を持つものもあります。

マルクス主義者、政治的には無力もクーデターでは暴れる模様。

建物は、それぞれが掌握している施設。
こちらは影響力と違って、場に出しっぱなしで効果を得ます。

『フンタ』の役職っぽい?

銀行に支配が及んでると、100万ペソは毎回予算が組まれるようになる。
もちろん、全員のヘイトを買うかもしれないが。

介入は使い切りのアクションカード。

暗殺したり爆破したり決議をひっくり返したり。

邪魔な建物を爆破工作!

ゲームの流れは、もとの『フンタ』を簡略化した感じ。

まず、ODAが降ってくるので、

人数+1枚引く。
4人プレイだと5枚……お金……お金……

お金は100万、200万、300万、400万ペソとあり、おつりは出ない仕組み。

大統領は予算案(懐に入れる額と、他の閣僚に分ける額)を提示する。
この時、提示額の合計は、もらったODAの合計を超えてはいけない
もちろん、全員に割り振る必要はない。
受け取る側も、実際に受け取る額は低いかもしれない(提示より上がることはない読み違えてました。「各分配案は実際の額を超えてはいけない」ではなく、「予算案の合計は配分前の総計を超えてはいけない」でした。ここで、各プレイヤーは実際に宣言された予算と貰った予算が違うかを確認できます)。

そして……その予算案を審議します。
手札の政治カードを1枚出すか、1枚引く。

影響力なら、可決か否決(審議後手札に戻る)。
建物も、可決か否決(審議後もずっと出てる)。

左が可決表示。
右が否決表示。

介入ならその効果が発揮されます(そして捨て札)。

これを逆順でもう1度やります。
つまり、他のプレイヤーの動向を1回うかがってから2週目を出せるわけです。
この時、2週目に出すカードは最初のと逆に投票してもかまいません。

しかも、もちろん、この時大統領は懐から賄賂を出すことが可能。

こうやって予算案が可決したら……

仲介人のカバンの上のお金は入金され、下に。

  ↓

今分配されたお金を、カバンの上に。

平和裏にカードを補充して、来期になります。

しかし、予算案が否決されたら……

クーデター発生です。
『フンタ』より手順が何段かすっ飛ばされておる。

クーデターは、大統領派と、第一反逆者側(一番反対票を投じていた人)に分かれることになります。
その後、各プレイヤーはどっち側につくかを順にカードを裏向きに出して、一斉にオープンします。
この時、反逆者表示のカードが裏返しのカードに含まれていれば反逆者、入っていなければ大統領側です。
つまり、反逆者側はカード1枚分の戦力が少ないので、裏返しだとどっちが優勢か読めません。

お互いの派閥の戦力の合計を比べて、クーデターの成否を確認します。

全員反逆者じゃね―の。
クーデター成功! 大統領は処刑!

反政府勢力の戦力より、軍が味方に付いた政府側が強いのでクーデター失敗!

大統領が勝っても、反逆者が勝っても、勝者はカバンの上の金を入金し、敗者はカバンの上の金を失います。
これが、クーデターの代償。
そして、配分前の予算を、勝った陣営で配分し(負けた側の分も勝った側だけでいただく)、クーデター首謀者は次期大統領となります。

なんだ、この政権の不安定さ。

これを、ODAが停止されるまで(山札が無くなるまで)続けます。

 予算案決議可否
  →可決:次期予算案へ
  →否決:クーデター

を繰り返すだけで、もともとの『フンタ』に比べるとものすごくシンプル。どっちにつくのかブラフと読みと、椅子取りゲーム的競りのゲーム。
交渉部分も薄くなり、予算は気に入らんがクーデターは起こさないなどの選択肢はないけど、キモの部分はちゃんと残った感じ。

フンタが大好きな人には新規のプレイヤーをフンタに引き込む入口に使うのはもちろん、政治ゲーム(汚職?)大好きな人や、ハッタリと交渉のゲームをお探しの方、お金だーいすきと言う人にはぜひともプレイしていただきたい、オススメできる好ゲームとなっております。

フンタ:カードゲーム
プレイ人数:3-6人
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:45-60分
製作:Pegasus Spiele
デザイン:ヨハネス・クレナー
価格:2,000円+税