さてはターボする気だな!? 『クレイジー・カート』


SDJとKSJが発表となりましたが、あれはドイツの業界賞であり、ドイツ市場の「好み」というバイアスがかかるわけです(エッセンの窓口調査もね)。

しかし、国ごとに国民性は異なるわけで、その好みから外れたゲームはSDJやKSJやエッセン窓口調査では見つけられなかったりします。
たとえば、『ポーション・エクスプロージョン』とかちょー楽しいのに、エッセンでは話題にも上がっていなかったでしょ?
今回紹介いたします

クレイジー・カート

もそんな非ドイツなボードゲームです。

デザインはフランス人、出版はポーランド、ゲームの内容は日本の『○リオカ○ト』にインスパイアされて、テキストたくさんのアメリカンスタイル……


さて。

ゲーム自体はファンタジー世界のレース物で、予選の結果でスポンサーからの装備を勝ち取り、本戦ではその装備の力も借りつつチェッカーフラッグ目指して突っ走ることになります。

チームは4チーム……
ドワーフ!

エルフ!

ゴブリン!

ミイラ!

それぞれ上級ルールを使うと特殊能力を使えるのでどの種族を選ぶかはすごく重要……と言うより好み?

このレース、一つだけ問題なのは、2人で1台のカートを操縦すること。しかも、良くわからない分担。

左と右とで操縦分担が異なるのだ。
前席と後席らしい。

ゲームは計画→実行を繰り返して進行します。

各操縦者は自分のカードの山札を持っていますが……

現在のスピードに応じて、そのカードを引きます。

速度6だと1枚しか引けない!
揺れる!


速度2だと5枚も引ける。
カーブの前には速度を落とせ!

つまりスピードが速い=操縦が難しい=引ける枚数が少ない
となっております。

なおゲーム中のパラメーターとしては、他にダメージとパワーアップがあります。
ダメージは、最高速度にかかわってきますので、あまりダメージが溜まりすぎると今度は他のカートをオーバーテイクできなくなります。

パワーアップは10ポイントまで溜まると、消費してパワーアップアイテム(路上に落ちてる場合もある)が貰えるもの。


落ちてる場所。


こんな感じでランダムにいろんな効果が。

さて、速度に応じて引いたカードには操縦値が書かれており、これを自分の分担している操縦の各ジャンルに割り振ります。

(ツクダホビーの戦闘級SLGでおなじみのシステムだ、これ)

こうしておくか……

これを早い者勝ちで配置し、置き終えたチームはカウントダウン5秒……他のチームは置ききれなかったカードは捨て札にして、解決に移ります。

置くジャンルは前席後席で異なります。

プレイヤーAは
1:イニシアチブ:一番ポイントをぶち込んだチームが最初に移動するぞ!

3:パワーアップ:獲得したパワーアップを1個使うぞ!

5:ブレーキ:ポイントの分だけ減速するぞ!

7:方向転換:スピード以上のポイントをぶち込んでいたら1ヘクスサイド方向転換だ!

9:チャージ:パワーアップ獲得のためにぶち込んだポイント分チャージが溜まる!

の奇数番号のアクションを、

プレイヤーBは
2:特殊能力:各チームごとの特殊能力を使うぞ!
 ゴブリン
  ブレーキ→アクセル→移動→方向転換であるところを、
  ブレーキ→アクセル→方向転換→移動とできるのだ!
 エルフは路上に落ちてるパワーアップを拾うぞ!
 ミイラは投げ縄で他のカートを自分に1ヘクス引き寄せるぞ!
 ドワーフは粉砕器で前にあるものを破壊できる!

4:特殊装備(上級):ランダムに引いた特殊装備を使うぞ!
 射撃がチョイ有利になる望遠鏡とか……
 チャージが有利になる追加のスロットとか……
 パワーアップを多くとれるようになったりとか……
 障害物のみならず、敵カートにダメージを出す槍とかがあります。

6:アクセル:ぶち込んだポイントだけスピードアップ!

8射撃:つぎ込んだポイント分の射程で他のカートを撃て!

ダメージはカード。効果があったりなかったり。


曲がるコストが余計にかかるようになる場合も。
両方喰らうと、死ねる。

10:修理:つぎ込んだポイント分だけダメージを修理できるぞ!

の偶数番号アクションを計画します。

相談なしで!!

アクションの解決は、アクションの番号順なので、プレイヤーA、プレイヤーB、プレイヤーA……と解決されていく感じ。
ブレーキとアクセルでスピードが確定したら、今向いていおる向きに、今のスピードに等しいヘクス数だけ前進させて、その後(可能ならば)方向転換できます。

当然さまざまな障害物があり……

……ダメージを受けたり、物を拾ったり、スピードが落ちたりします。

ゲームは予選をやって、1位と2位はスポンサーの好意によりカートを改造してもらえます。

そして、全チームプレイヤーの役割を交代し、本戦へと進みます。

とにかく、勝つために無茶をすればするほど予想外の展開となり、毎ラウンド計画公開時の二人の息のあわなさっぷりが非常に楽しいゲームとなっています。
おまけに何が起きていてどんな状況なのか、ビジュアル的に想像しやすいのも楽しい!

一つ問題があるとすると、3チーム以上でプレイしたほうがおもしろいし、4チームベストである点。さすがに2チームだと競争がつまらない……のは他のレース系のゲームにも言えるか。

なお、奇数人数の場合は1チームが故障癖のある一匹狼チームになるので、偶数人数そろえる必要はありません。

一人はいろいろ大変なのだ……

ゲーム的にはなんも効果のない、勝者のシャンパントークン。

何がダメになるかわからないのでこれはこれで楽しいのだ。

しかし、3チーム、4チームでやるとこれが盛り上がる!
とにかくゲーム的にも悩むところがある上に、そのせっかく悩んだにも関わらず繰り広げられる思わぬ展開が非常に楽しい!
また、英語がわかるのであればそこかしこにある下らない冗談も楽しく、非常によくできたパーティゲームと言えるでしょう。

5人以上集めることができて、比較的短時間で終わり、ゲーム的にもしっかりとしたパーティーゲームをお探しであればかなりオススメのゲームとなっております。

クレイジー・カート(Crazy KARTS)
プレイ人数:3-8人(2チームから4チーム/奇数人数でもプレイ可能)
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:45-60分
製作:Portal Games /
デザイン:シャルル=アミール・ペレ
価格:7,000円+税

あと、端々のくだらないジョークも見どころですのでいろいろ探そう!

“パパはキミを愛しているよ”


ブレーキにメモ:“忘れろ!”


隠しキャラの決闘に忙しいニンジャ。
ニンジャナンデ!?


“ここを読みながらだと運転できないわよ!”

“ボクを見つめてないで運転してくれたまえ”