プレイ人数増量1.25倍!『キャメルアップ・スーパーカップ』


みなさんご存知のドイツゲーム大賞の商業的な威力は大変なもので、ドイツ本国ではポーンのマークがつくとゲーム専門店だけではなく、一般玩具として流通するようになるとのこと。流通先が増えるすなわち、山のように販売できる、ということ。

で、大量に流通し長く売れるめどが立つと、今度は拡張セットを作っても大丈夫かなー、と出版社側も判断するわけです……。

今回紹介いたしますのは、そんな人気ゲームの一角を占めた昨年のSDJ受賞作、『キャメルアップ』の拡張セット、
キャメルアップ・スーパーカップ
です。

なお、この「基本セットに対して拡張が売れる率」に関しては、ボードゲームはRPGに比べると少なく、かなり基本セットの数が出ないと拡張が出ない感じ(※個人的な感想です)。
ミニチュアゲームは、基本セットに対して拡張などが売れる率はRPG以上に大きくなります(※フリートコマンダーの受注状況からの個人的な感想です)。
ミニチュアゲーマーって訓練されて忠誠度が高いのな……

さて、今回の拡張は複数のモジュールからなりたっています。

【1.延長コース】
コースが4マス延長され、レースの展開がちょっとだけ伸びます。

そのままだと1~2レグ分の延長になるかな?

しかし、距離が伸びたかわりに、前回のレグで最下位のラクダのために、1と2の目しかない「援護ダイス」を追加で使用しますので、レース展開は逆転と波乱を含んだものに。

なお、この援護ダイスは選択ルールで「援護ダイスをピラミッドに入れるアクション」を使うことにすると、ちょっとだけ展開がスピーディーになります。

あと、報酬2ポンドのレグの投票タイルが1枚ずつ追加されますので、大人数でプレイする時の「やることない」感が若干減ります。
そのため……総合の勝敗の読みは難しくなり、より波乱に富んだ展開が待っています。

【2.カメラマン】
新しいアクションとして、「カメラマン」を選べるようになります。

カメラマンを選んだら、(砂漠タイルのように)カメラマンタイルコマを配置できます。

うまくこの撮影ポイントにラクダが止まったら、その重なった数だけ収入となります。

プレイヤーの選べるアクションが1種類増えるので、大人数でプレイする時の「やることない」感が若干減りますし、展開によっては思わぬ高収入となります。
そのため……思わぬギャンブル性が追加され、よりエキサイティングな展開が待っています。

【3.順位投票】
レグの投票は1位を当てる(そして2位はおまけ)アクションでしたが、あえて2位、3位、4位、5位を当てるアクション。最初からとってもいいし、既に取ってあるタイルを上書きすることも可能。

プレイヤーの選べるアクションが1種類増え、レグ終了までの争奪戦が熱くなるうえに、全体でみると収入が安定する(かもしれない)効果が。

青のレグ1位は無くなった、と見たので先に買っておいた青タイルの順位変更とか……

オレンジのレグ2位確定なので買っちゃうとか……
もちろん、アクションが増えることで多人数プレイ時の(特にレグタイルを買い占められた後の)何もできない感が大幅に減ります(が、1枚ずつしかないので簡単になるわけではない)。
そのため……レグごとの読みや選択肢が複雑化し、より高度な駆け引きが待っています。

【4.協力投票】
こちらは6人以上用のルール。と、いうのも、「投票の協力を結ぶ」アクションで、票を(強制的に)いずれかのプレイヤーとレグのあいだ協力体制を取ることができ、協力者のタイルのいずれか1枚のタイルの報酬を自分も享受できるというもの(ただし、どれか1つのタイルの報酬はシェアしなければならないので、マイナスしかない場合は一緒に損することになるのだ)。

多人数の時に収入方法が先に取られ尽くしていても、相乗りを(強制で)できるため、多人数でプレイする時にはより駆け引きが切迫します。
そのため……収入の平均化が図られ、多人数プレイ時のアクション選択がより複雑になります。

加えて、上のモジュールを総べてくわえることで10人まで遊べるようになるため、追加のプレイヤー2人分のコンポーネントが加わります。
各モジュールで加わる内容物とルールは量的には大したことはなく、ちょっとだけ複雑になる感じですが、それぞれアクションが増えたり得点機会が増えたりすることで、よりゲーム展開は派手になり、選択が悩ましくなります(悩まないでやってもいいですが)。
少しの変更でゲーム性を向上させることができる上に、プレイグループでその使用内容を調整することもできる、かなり優秀な拡張セット。

特に、多人数でプレイする時には威力を発揮するので、すでに入手されている方はもちろん、多人数で遊べるゲームを探している方にはあわせての購入をオススメいたします。

キャメルアップ・スーパーカップ
プレイ人数:2-10人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:30分+
製作:Z-MAN GAMES
デザイン:シュテファン・ボーゲン
価格:3,000円+税