『秘術の書』サンプルキャラクター
データ作成・文:小野隆介/イラスト:里 大樹
これでもくらえ! とっておきの呪文を |
『秘術の書』 定価:6,090円(本体5,800円+税) 発売中 プレビューを見る |
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ソードメイジは現在存在する防御役の中では、最も移動力の高いクラスと言えます。重い鎧を着用しないため移動速度が落ちないというのもありますが、瞬間移動を伴うパワーが多いのもその要因です。このクラスにエラドリンのフェイ・ステップを組み合わせれば、戦場を縦横無尽にテレポートで飛び回ることが可能になります。
フェイ・ステップは本来、遭遇毎パワーですが、《フェイの突撃》があれば、突撃時の移動としてフェイ・ステップを利用できるようになり、その攻撃が命中すればフェイ・ステップは消費しないので、命中しつづける限り毎ラウンドフェイ・ステップが可能になります。ただし、ソードメイジはマイナー・アクションを使わないと相手をマークすることができないので、必ず突撃する前にマイナー・アクションで自分の近くの敵1体をマークしましょう。なぜならアクション・ポイントを使わない限り、突撃の後にはどんな行動も取れないからです。
そして、フェイ・ステップを使った時に効果を発揮する特技を3つも持っているので、この効果を忘れずに使いましょう。《サン・エルフの気品》、《フェイワイルドの守護》の効果は単純です。前者はフェイ・ステップを使ったら次の自分のラウンド終わりまで全部の防御値に+1(ただし重傷状態になったら、その戦闘中はこの利益を受けられない)、後者は同様に全防御値に+2となります。つまりフェイ・ステップを使った後、このキャラクターのACは32になります。
もう1つの《エラドリン・ソードメイジの残像剣》は、フェイ・ステップで敵の隣接マスに移動した場合、フリー・アクションで近接基礎攻撃を1回行なえるようになります。従ってフェイ・ステップを使った突撃と合わせて2回攻撃できるわけです。
このキャラクターは、フェイ・ステップを使った突撃が最も基本的な攻撃になります。瞬間移動ですから、敵の後衛に突撃したり、川や穴の向こう側、城壁の上に突撃したりすることもできます。嫌らしい攻撃をしかけてくる敵の制御役や砲撃役を積極的に隣接しプレッシャーをかけるようにしましょう。
このキャラクターの運用
ではこのキャラクターの基本となる戦術を見ていきます。ソードメイジのマーク能力は、2マス先までしかマークの対象にできません(1度マークした対象は以後10マス以内にいればイージス・オヴ・アソールトの効果の対象になる)。つまり、まずは敵に近づく必要があります。
戦闘の最初はクイックリング・ストライドの汎用パワーを使って12マス移動して、攻撃力の高い暴れ役などに近づきマークするようにしましょう。防御役として高いACを誇っているので、この時1回くらいは機会攻撃を食らってもいいつもりで移動するとなおよしです。
この時点で標準アクションが残っているので、マークした対象から遠くにいる砲撃役や制御役のモンスターに向かって《フェイの突撃》を行ないます。この突撃が外れると次にフェイ・ステップできなくなってしまうので、《剣術の学び手》の効果を使って命中を1上げておきましょう。また、できるだけ敵の渦中に飛び込むべきです。そうすれば味方の撃破役などが挟撃を取りやすくなりますし、防御役が一身に攻撃を受けるのはパーティ全体としては極めて良い状態です。そして、この時自分の全防御値が+3されていることを忘れてはいけません。
ここまでの動きがうまくいっていれば、今あなたは、マークした暴れ役から5マス離れた位置にいて、砲撃役や制御役に隣接している状態でしょう。この後マークした敵があなたを攻撃できず、他のキャラクターを攻撃した場合はイージス・オヴ・アソールトの効果が発揮されます。その瞬間マーク対象の隣に瞬間移動して攻撃を行なえるのです。通常なら近接基礎攻撃ですが、伝説の道ソード・アソールトの能力で、この時代わりに無限回パワーを使うことができます。もしマーク対象の隣に別の敵がいればソード・バーストを、そうでなければルアリング・ストライクを使いましょう。ブーツ・オヴ・フェンシングマスターを装備しているので、後者のパワーを使いシフトした場合ACと反応防御値が+1されることも重要です。
第4版の戦闘では、プレイヤー・キャラクターはパーティ全体で有機的な戦術を行使することで自分たちよりも強力なモンスターを倒していくのが基本ですから、スタンドプレイは多くの場合下策です。しかし防御能力・移動能力の高いキャラクターであれば、敵陣の奥深くへと浸透して、後列を圧迫しつつ最も戦闘の過密な場所への支援も可能です。戦場を特定させないことは、原則として強襲側であるキャラクターには有利に働くので、いたずらな妖精よろしく、できるだけ戦いの場をひっかき回しましょう。
“クエレンナ”のキャラクターシートはこちらから | |
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ウィザードは、キャラクター作成の自由度が高いクラスです。制御役に求められるのは第一に範囲攻撃で、第二に敵の行動の阻害ですが、ウィザードはどのパワーをどのように選んでもこの2つがそれなりのレベルで実現できます。
秘術の書で追加された新しい秘術装具体得オプションである「騙し撃ちのオーブ」は、同じく秘術の書で大量に追加された[幻]キーワードを持つパワー(幻術)と組み合わせるコトになります。
幻術系のパワーは、敵の行動を阻害する効果を持つものが多く、幻術型ウィザードは制御役中の制御役と言っても過言ではない能力を持つことになります。
今回種族にはノームを使っていますが、ノームの種族パワーであるフェイド・アウェイは攻撃を受けたら不可視になれます。この不可視は本来であれば次の自分のターンの最後か攻撃をした時点で切れますが、特技《霧の魔法》のお陰で攻撃をしても切れなくなっているのが重要です。不可視であれば位置取りは自由にできますし(このウィザードはウォールウォーカーズを装備しているので壁も歩けます)、戦術的優位も得られるので、後衛としての位置取りはせずに中衛のつもりで多少の敵を引き付けつつ戦うのが良いでしょう。
ウィザードをプレイしていると、ついつい敵からの攻撃を受けにくい位置取りをしてしまいがちですが、回復力の残り回数というリソースは個々のものではありません。第4版はゲームシステムの構造上、パーティの誰かの回復力回数がゼロになってしまったらそれ以上の戦闘は極端にリスキーな行為になってしまいます。ですから、ウィザードは自分の回復力回数もパーティ全体のリソースである、という意識を持って行動する必要があります。
このキャラクターの運用
このキャラクターの基本的な戦術ですが、幻のごとく消えるの能力に加えノームの種族能力であるとっさの隠れ身もあるので、チャンスさえあれば隠れるなりして、不可視による戦術的優位を得たうえで攻撃するようにしましょう。戦場で遮蔽や視認困難が得られるならば、高い〈隠密〉を活かして隠れるのも悪くありません。
《亡霊のこだま》、《強化版騙し撃ちのオーブ》の特技があるので、[幻]キーワードのパワーを命中させれば、自分自身も味方も対象に対して戦術的優位を得ることができます。パーティにローグがいる場合、これは非常に重要です。
また《ウォー・ウィザード魔法》の特技があるので、範囲攻撃に1人くらいであれば味方を巻き込むことも考えに入れて行動しましょう。ダメージは減少してしまいますが《呪文威力拡散》の特技を使えば、かなり広い面積を攻撃できるようになります。雑魚であれば与えるダメージは関係ありませんから、雑魚が多い戦場では効果的です。
戦闘をしていると、高いダメージを与えたり敵を屠ったりする行為のほうが目立つので、ついついダメージ効率ばかりに気を取られてしまいがちですが、制御役の真髄はそんな所にはありません。プレイヤー・キャラクターたちに戦術があるように、モンスター集団にも一定の戦術というものがあります。その戦術を行使させないことは、単純な数値には現われない絶大な効果があるのです。
“ポック”のキャラクターシートはこちらから | |
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この二人の戦術 ではこの2人のコンビネーションで、どれくらい戦場をかき回すことができるのでしょうか。簡単に動きを追ってみましょう。
せっかくですから、敵は多数いる状況を想定します。制御役1、遊撃役2、暴れ役1、雑魚4くらいの集団と相対したとします。 |