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必殺のダンジョン、全レベル対応―『ダンジョン・デルヴ』 3月5日(土)発売!

はじめに

 ダンジョン・デルヴの初お目見えは、1998年のGencon Game Fair(訳注:北アメリカ最大のゲーム・コンベンションの1つ)だった。デルヴの作成、体系化、運営に当たったのは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のゲーム・デザイナーたちで、D&Dのお披露目を兼ねて、ユーザー参加型イベントとして過去数年間のデモよりは一歩なりとも進化した胸躍る体験にしたい、という想いがあった。それは斬新で、刺激的な趣向だったし、しかも創ったのはこのゲームを誰よりも深く知る達人ばかりだ。蓋を開ければ、その週末でもとびきりの大ヒットだったよ。
 最初のダンジョン・デルヴはいろいろな意味でとても荒削りだった。だけど、Genconが始まった木曜日の時点で、王道を探り当てたことを僕たちは確信していた。手書きのマップ、寄せ集めのメタル・ミニチュア、ダンジョン探査の進捗を記録するための特大のホワイトボード――そんなものでも、当時としては最先端の輝きを放つことができたんだ。デルヴのモンスター勢を打ち破りたい、あと一部屋でも先に進まねば、と死力を尽くす中で武運拙く討ち死にしたキャラクターたちの威名を、実況形式でリストに書き出すことまで僕たちはやってみた。
 ファンはとことん楽しんでくれた。その週末じゅう、デルヴには長蛇の列が途切れなかった。どこかのプレイ枠に空きはないかと、皆が列を作ったんだ。列の先で行なわれているプレイ光景をひと目見ようと、そして次から次へと新たなデルヴが公開されていく中で、モンテ・クック、ブルース・コーデル、エド・スターク(や、その他諸々の当時のデザイン・チーム陣)らがキルマークをまた重ねるのかどうかを、我が目で確かめようとしたんだ。ホワイトボードの前にもファンたちは群がって、次のダンジョンの詳細や、書き出されていくキャラクターの名前に注目していた。やつらはどこまで進んだんだ? やつらは何を殺したんだ? 最後の戦闘を切り抜けられなかったのはどいつだ?――ってな目つきでね。
 それは正真正銘のD&Dで、ウィザーズ社のブースを賑わし、とびきりに爽快な経験だった!
 それから何年もかけて、僕たちはフォーマットに修正を加え、プレイの幅を広げていき、いつしか優秀なボランティアたちの手を借りずには運営できないまでにイベントは大規模になっていった。そのうちに、RPGAの連中はサテライト・ダンジョン・デルヴなんてものを作ってRPGAの会場で運営しはじめた。それほどまでに人気が高かったってことだ。そして僕たちは、他の開催地で催されるGencon以外のショウでもデルヴを出展するようになった。昨年(訳注:2008年)にはDelve Nightプログラムも始まり、小売店やその他さまざまなゲーム会場でもD&Dデルヴ・イベントが体験できるようになった。
 本書のリリースにより、ダンジョン・デルヴのコンセプトがD&Dコア・プロダクトの表舞台に肩を並べることになった。ここまで漕ぎつけるには長い時がかかった。さまざまなアイデアを検証し、新たなフォーマットをとっかえひっかえした果てに、充分な完成度を備えているだけではなく、D&Dゲームが今後さらに発展していくために多くの点で欠かせない製品に仕上げることができたんだ。


DM道場としてのデルヴ

 ダンジョン・マスタリングに手を出してみたいとは思うけど、まるまる1本のアドベンチャーを受け持つのはちょっと気が引けるって? そんな君には、『ダンジョン・デルヴ』がうってつけだ! どのデルヴも短い遭遇の組み合わせで、手っ取り早く、簡単にD&Dを体験することができる。何レベルのデルヴをやるかを決めて、そのページを開くだけでいい。たったそれだけで準備完了だ。
 デルヴの各遭遇は、ダンジョン・マスターとして本格的なアドベンチャーを運営する技術を磨くための実地訓練になるし、キャンペーンへの導入法やストーリーテリング、ロールプレイングのやり方を学ぶことにも役立つ。それか、個々の遭遇を対戦ゲームと考えてもいい。プレイヤー・キャラクターたちがダンジョン・マスターを相手に戦うんだ。ちょっとした時間で、D&Dの精髄に触れて手に汗握る興奮が味わえるってわけだ。

デルヴって何?

 本書に限って言えば、ダンジョン・デルヴとは特定のレベルに対応したコンパクトな遭遇のセットだ。本書にはプレイの各レベルに一対一で対応するかたちで合計30のデルヴが収められている。各デルヴは3つの遭遇からなり、一種のミニ・アドベンチャーとなっている。
 本書所収の各デルヴは、さまざまな形で活用することができる。 第一に、そして何より、各レベル対応の遭遇セットはいかなる既存のキャンペーンにでも最小限の手間で落とし込むことができる。今晩のセッションのために9レベルの遭遇1つが必要だって? なら、P.60を開いてくれ。冒険の準備はそれで終わりだ。各デルヴに併記された物語の設定はそのまま使うことも、君が運営中のキャンペーンに合わせて適宜変更して使うこともできる。
 第二に、もしも君が現在ダンジョン・マスターを務めているわけではないが、いつかはDMとして腕試しをしてみたいと前から思っていたのなら、DMの夢をかなえる第一歩として本書の遭遇群を使うってのもいい。デルヴをセッションの練習台にするのでもいいし、君が最初に取り組むD&Dアドベンチャーに組み入れるのも手だ。コンパクトで、かつモジュール形式でもあることから、デルヴの遭遇セットは初心者DMが第一歩を踏み出すのにまたとない手段だと言える。
 第三に、僕たちが最初に取り組んだダンジョン・デルヴのコンセプトを見習って、D&Dをよりガチな真っ向勝負の対戦にすることもできる。DMが調停者兼ナレーターとして中立的な役割を演じ、全員が協力してストーリーテリングとロールプレイングを追求する――という従来のスタイルを脱ぎ捨てて、プレイヤーたちとDMの凌ぎ合い機会としてデルヴを利用することもできるわけだ。冒険者たちがダンジョンに踏み込んで、次々に立ちはだかる障害を克服していくという、まさしく優勝劣敗の世界がそこにはある。このやり方については、後ほどもっと詳しく説明しよう。
 第四の、そして最後のアプローチは、よりプレイヤーに重点を置いたものだ。プレイ・グループのメンバーの1人にDelve NightのDMを任せ、いつものDMを1回休ませてあげよう。これは、常任DMにキャラクターをプレイしてもらい、グループの他のメンバーがたまにはDMに回る機会を設けるまたとない方法だ。Delve Nightを君たちのキャンペーンの挿話として利用し、新しいキャラクター案を試すことや、プレイ・グループの新しいDMたちに腕試しの機会を与えるとよいだろう(訳注:Delve Nightはウィザーズ社がかつて英語版で行なっていた登録制の短編アドベンチャー定期送付プログラム。4遭遇からなるダンジョン・アドベンチャーを毎月発表し、毎週1回ウィークデイの夜に集まるだけで手軽にプレイが続けられるというコンセプトで提供されていた)。


DMと冒険者パーティの対決

 たいていのD&Dキャンペーンにおいて、ダンジョン・マスターが受け持つ役割はアドベンチャーにおける中立的な語り手だ。ルール裁定者、ナレーター、そしてプレイヤー・キャラクター(PC)たちへの公明正大な挑戦者としての役割に徹するのだ。しかし、D&Dのプレイのあり方は必ずしもそれだけではないはずだ。
 デルヴのフォーマットを利用して、手っ取り早く簡単に、より対戦色を強めたゲームをプレイすることもできる。この場合、PCたちはチーム一丸となってダンジョン・デルヴが投げかける困難に挑戦する。DMは、一時的に公明正大さを脇へのける――と言っても、ルール裁定のことじゃなく、ストーリーテリングやモンスターの動かし方のことだ。デルヴのフォーマットでは、DMは対戦相手に徹し、モンスターやダンジョンの地形などを利用して最大限の困難を差し向けようとする。PCたちにとって、ダンジョン・デルヴの部屋部屋を切り進んでいくことは、まさしく殺すか殺されるかの体験になる。
 デルヴのフォーマットなら、DMはナレーションやストーリーテリングから解放されて、ルールとモンスターの運用だけに専念することができる。つまり、ほとんどボードゲームのようなやり方になるわけだけど、それこそが、D&Dを短時間で濃密にプレイするやり方を新米ダンジョン・マスターに教え込むにはもってこいの方法なんだ。モンスターを動かすことだけに専念することで、新米DMはこのゲームの基本を身につけることができる。そのうちに慣れてきたら、ナレーションやストーリーテリングをすこしだけ加えてみるといい。この方式でやる場合には、君たちがプレイしたいレベルのデルヴを選べばいい。プレイヤーたちがそのレベルのキャラクターを用意していることを確かめよう。そうでないなら、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』P.142.143の『高レベル・スタート』の記述を参考に、PCを作成してもらおう。それができたらプレイ開始だ。背景ストーリーの設定や手間のかかる準備は一切必要ない。PCたちにドアを蹴破らせ、ゲームを進めよう。
 PCたちの目標はデルヴの最深部に到達し、その過程でできうる
限り多数のモンスターを殺害することだ。まずは生き延びること、そして己のパワーと能力を示すことが彼らの望みで、デルヴが投げかける挑戦の数々を切り抜けることに喜びを見いだす。
 いっぽうDMの目標は、個々のデルヴで用意されたあらゆる手段を使ってPCたちに立ち向かうことだ。ズルをしたり、DMの立場を悪用したりすることはすべきじゃないが、デルヴを対戦型イベントとして位置づけることは積極的にやるべきだ。モンスターたちをできうる限りに巧妙に操り、PCたちがどれだけ巧みに共闘し、デルヴを生きて出られるかどうかをとくと観察するといい。
 いつものキャンペーンを一休みしたい時や、手っ取り早く何かをプレイしたい時、これまでにない新しい何かをやってみたい時なんかに、このフォーマットを利用することができる。デルヴのフォーマットは、やったことのない人にDMをやらせてみるのに最適だし、D&Dに興味を示した友達や知り合いのために一席設けるのにも申し分ない。もちろん、完全なスタイルのD&Dゲームに比べれば深みや満足度の点で及ばないのは確かだけど、ダンジョンに潜ってモンスターを血祭りにあげるだけというこの単純なやり方にも、実に多くの楽しさがあるんだ。ぜひ、プレイして確かめてくれ!


この本はどう使えばいい?

 本書には、D&Dの各レベルに対応した30種類のダンジョン・デルヴが収録されている。個々のデルヴは特定のレベルに対応した3つの連続する遭遇からなり、そのレベルのPC5人からなるパーティを想定してデザインされているんだ。  プレイするには、『プレイヤーズ・ハンドブック』、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』、『モンスター・マニュアル』の3作が必要だ。また、それ以外にも、『D&Dダンジョン・タイル』や『D&Dミニチュア』があれば、プレイはいっそう盛り上がる。
 どのダンジョン・デルヴも、『D&Dダンジョン・タイル』がマップとして活用できるようになっている。どのタイル・セットが必要になるかは、個々のデルヴの項目で説明されている。
 どのデルヴにも独自の背景ストーリーがあり、3つの連続した遭遇の枠内では上手く機能しているが、複数のデルヴを連結することを想定した本格的な仕組みは用意されていない。個々のデルヴは独立したものとしてデザインされ、既存のキャンペーンに必要に応じて取り込んだり、単発の番外編的なセッションに使ったりするものとして作られている。ダンジョン・マスターがちょっとした手間をかければ、すべてのデルヴを1つのストーリーとして結び付けることもできるだろうが、本書をそうやって使うやり方については、そうする意志のあるDMたちに委ねることにした。


デルヴを拡張するには

 個々のダンジョン・デルヴは短い一連の遭遇からなっている。背景設定やストーリーの中にこれは面白いというものがあったら、たいした手間はかからないのでデルヴを拡張してみるといい。遭遇をいくつか付け加えるのもいいし、まるまる1つのアドベンチャーに仕立て上げるのもいい。そのために、本書に記された遭遇エリアの外に何が待ち受けているのかや、背景ストーリーを膨らませる案などがどのデルヴにも併記されているんだ。ただしその実作業はダンジョン・マスターに一任されている。個別のデルヴや一連のデルヴから想像力をかき立てられたDMの創意工夫次第というわけなんだ。いろいろなアイデアを検討して、僕たちがここにまいた種からとびきりの傑作を生み出してくれ。


デルヴをカスタマイズしたいなら

 アドベンチャーのカスタマイズってのは今も昔もダンジョン・マスターの専売特許だ。その精神は本書所収のデルヴ群にも受け継がれている。個々のデルヴを君のキャンペーンなどの必要に応じてカスタマイズするための提案を以下にいくつか列挙する。


モンスターの入れ替え

 たとえば、君が今やっているアドベンチャーに5レベルの遭遇を1つか2つ追加したいけど、アンデッド・モンスターは冒険のテーマにそぐわないのだとしよう。だったら、5レベルのデルヴのマップと状況設定をそのまま使って、そのデルヴの部屋部屋にいるアンデッド・クリーチャーたちを『モンスター・マニュアル』に載っているダイア・ウルフやバグベアに置き換えてしまえばいい。すると、アンデッドの墳墓がバクベアの住み処に一変するというわけだ。そこにはホブゴブリンのウィザードがいて、たとえば、人間の死霊術士に代わってボス・キャラを演じるわけだ。それか、人間の死霊術士のデータ・ブロックをそのまま流用する手だってある。それなら、単に名前をホブゴブリンの死霊術士に変更して、死霊術士のパワーの[死霊]キーワードを[電撃]、[火]、[冷気]なんかに入れ替えるだけで事足りる。


プレイヤーが多い時、少ない時

 すでに述べたように、個々のデルヴは同レベルのプレイヤー・キャラクター(PC)5人からなる冒険者パーティに最適なようにデザインされている。それじゃあ、プレイヤーが6人以上だったり、4人以下だったりする場合にはどうすればいいんだろうか?
 冒険者パーティが6名以上である場合に、遭遇をスケールアップするのはわけないことだ。PCの人数に見合うようにモンスターの数を増やすだけでいいんだ。たとえば、7レベルのティーフリングの闇の剣士5体が出てくる遭遇なら、PC6人のパーティに見合うようにティーフリングを6体にするといい。『ダンジョン・マスターズ・ガイド』には、PCの人数に合わせて遭遇を構築するやり方や、元々の遭遇の趣向におおむね沿いながらXPを変更する方法が案内されている。ただし、遭遇にモンスターを追加するなら、全員が充分に動き回れるように遭遇エリアを拡大する必要が生じることも考えられる。
 人数の多いパーティに対処するもう1つのやり方は、モンスターの数は変えないままで、そのレベルを変更してXPの値を同等にすることだ。ただし、この方法を採る場合にはよくよく注意してかかろう。手間も余計にかかるし、遭遇が元々の意図よりも困難な挑戦になってしまう恐れもあるからだ。このアプローチを取ることにしたのなら、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』をよく読んでそこにある指針を参考にするといい。
 PCが4人以下である場合にどうやって遭遇を修正するのかは、君がどんな形でデルヴを利用するかにかかっている。前述のような1回限りの対戦イベントとしてデルヴをプレイするのなら、プレイヤーの何人かに複数のキャラクターを受け持たせて、パーティの合計人数が5人になるように調整すればいい。デルヴの楽しみ方の1つとして戦闘に特化したこのプレイスタイルに対しては、これはたいへん手っ取り早い解決策だ(訳注:上記の方法以外にも、『ダンジョン・マスターズ・ガイドU』には同行キャラクターのルールが追加されている)。
 ただし、君が一般的なD&Dキャンペーンを運営しているのなら、遭遇をそれに応じて変更してしまった方がたいていはうまく行く。ところで、プレイヤー4人のパーティの多くは、5人パーティ用の挑戦だってきっとこなせる。遭遇がより手強いものになるにしてもだ。そしてそのパーティに防衛役や指揮役が欠けている場合には、手強いどころか致命的な困難さになるとは思う。とは言ったけど、人数が多いパーティに対処するための方法はここでも同じく生かせると思うよ。モンスターを追加する代わりに、パーティの人数が5人に満たない1人ごとに、モンスター1体を除外すればいいんだ。


レベルの調整

 レベルを上げたり下げたりすることで、特定のデルヴをより困難なものや容易なものに作り替えることができる。『ダンジョン・マスターズ・ガイド』の第4章にあるアドバイスに従って、報酬経験点(XP)の出し方を調整しよう。手強い遭遇の歯ごたえを少々和らげるには、モンスター1体を除外したり、高レベルのモンスターを低レベルのものに入れ替えたりすればいい。容易な遭遇をより骨のあるものにするためには、モンスター1.2体を追加したり、低レベルのモンスターを高レベルのものに入れ替えたりすればいい。遭遇の作り方の全般に関わるガイドラインをここで思い出してみるとよい:

  • “簡単な遭遇”はパーティのレベルよりも1.2レベル低いレベルの遭遇である。
  • “標準的な遭遇”はパーティのレベルと同レベル、あるいは1レベル高いレベルの遭遇である。
  • “困難な遭遇”はパーティのレベルよりも2.4レベル高い遭遇である。