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精神の力を解放せよ!―『サイオニックの書』 1月14日(金)発売!

更新情報
12月24日 第4章:モンクを掲載しました。
12月13日 第3章:バトルマインドを掲載しました。
12月8日 第2章:サイオンを掲載しました。

はじめに

 サイオニックのキャラクターは精神の力をほしいままにする。それは厳しい訓練によって鍛えぬいたものもあれば、荒々しく制御のかなわぬ衝動に突き動かされて現われるものもある。厳しく律されたモンクやサイオン、奔放なるアーデントやバトルマインド――サイオニックのキャラクターはすべての兵器の中で最も強力なもの、すなわち己の内なる武器を用いて、闇の脅威からこの世界を守る。
 サイオニックのキャラクターはその意識に潜む、思いもよらぬ力を解き放つ。そしてそれを自らが修めた戦闘の技術の中に、あるいは自らが作り出す魔法の効果の中に刻み込むのである。幾世代にもわたって伝えられてきたサイオニックの伝統を学ぶキャラクターたちは己が肉体の限界を超越することを可能にし、最終的にはほんの一瞬の思考にて、あらゆる創造のことわりを理解するに至るのである。
 『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』用のゲーム・データとしてのサイオニック・パワーの歴史は、『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』初版ボックス・セット用のサプリメント『Eldritch Wizardry』が登場した1976年に遡る。それこそが“停滞しつつあるゲームに活気をもたらすこと間違いなしの” サイオニック・システムをオリジナルのセットに導入するものだったのである。『TheAdvanced Dungeons & Dragons』では、サイオニック・システムはルール中の独立したオプションとして体系化され、拡張された。しかし、サイオニックがゲームの中に統合されたパーツとして取り込まれるには、第2版の『Complete Psionics Handbook』を待たねばならなかった。
 サイオニックは第2版の中で人気のあった『Dark Sun』キャンペーン・セッティングでその真価を発揮した。このキャンペーン・セッティングは、サイオニックという独特かつ強力な魔法に恒久的な影響を残している。『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ第3版』においては、サイオニックは基礎から再構築され、サイオニックの使用およびクラスに関する完成されたシステムへと拡張された。
 第4版では、サイオニックのパワー源および4つのサイオニック系クラスは、『プレイヤーズ・ハンドブックIII』で紹介された。その中では、君のサイオニックのキャラクターには何ができるかということが紹介されていた。そしてこの『サイオニックの書』こそは、『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』のゲームにおける精神の秘密を解放するために、君が手にする鍵となるのである。


本書の使い方

 『原始の書』、『信仰の書』、そして『秘術の書』等の既刊の書籍と同様に、この『サイオニックの書』も4種のサイオニック・クラスに焦点を絞り、クラスごとに章分けしてある――すなわち、目に見えぬ支援を与えるアーデント、学究肌のサイオン、直裁なるバトルマインド、そして専心せるモンク、と。個々の章では新しいクラス特徴、新しいパワー、そして新しい伝説の道が紹介されている。また、サイオニックのキャラクターのロールプレイを助ける背景用のコラムも豊富に提供されている。第5章の『サイオニック系キャラクター用追加ルール』では100以上もの新しい特技、サイオニックたちの思想や結社、サイオニックの背景や血統に関する詳細、6種の新しい“神話の運命”、そしてサイオニックのキャラクターたちに特に適する新しい魔法のアイテムが紹介されている。
 『サイオニックの書』の使用方法はいくつかある。君は本書で紹介されている作成オプションやパワーを使って全く新しいキャラクターを作成し、標準的なサイオニックのクラスとは一線を画そうとするかもしれない。あるいは『プレイヤーズ・ハンドブック』に記載の再訓練ルールを利用し、新しいパワーを用いてこれまでのキャラクターを作り変えようとするかもしれない。本書に記載された新しい特技は、『プレイヤーズ・ハンドブックIII』の作成オプションを用いて作成したキャラクターにも、本書の各クラスに関する章に記載された新しい作成オプションを用いて作成したキャラクターにも、同等に有用なものである。新しい“伝説の道”およびサイオニックの血脈は、君のキャラクターの成長に独特の視点を与えてくれるだろう。また、新しい“神話の運命”は、君のキャラクターの冒険者としての人生の全体に、新たな傾向を、そして新たな目標を与えてくれるだろう。


第1章:アーデント

 「 貴様の苦悶におれは歓喜し、貴様の恐怖におれは奮い立つ。勝利へ続くおれの道は、貴様の心の中にこそあるのだ
 アーデントにとって、感情は単なる“気持ちの揺れ動き”以上のものである。感情は君が手にする武器であり、世界を作りかえることさえ可能な道具でもある。君は自らの経験から力を引き出し、そうして自らの歓喜、勇気、さらには己の恐怖をも利用する。君は自らの心のありように集中し、感情を複雑な網へと織り上げ、あるいは純粋なる意志の力をもって自らの熱情を燃え立たせることで、サイオニックの力を呼び起こすのである。君はこの力を伝導するのと同時に、その導管ともなる。味方や敵の感情を隔てなく感知すると、君は手際良く精神的な接触を行ない、自らの目的に合致するようにそれらを操る。
 君の傍らに立つ者たちは、君から流れ出す力によって強められる。一方君の敵どもは、その勇気が萎え、計画が混乱し、そうして君の強い意志の力によって自らの希望が粉々に打ち砕かれるのを感じるのである。しかし君の使用するサイオニックのパワーには欠点もある。恐怖と疑惑、暗い思考と怒りはいずれも君の集中を曇らせうる存在だ。
 君は感情と心のエネルギーについて知り尽くしているだろうが、本章にはさらに君のアーデントのキャラクターをサポートする、豊富な情報が記載されている。

  • アーデントをプレイする:この世界におけるアーデントの立ち位置、そして、これらの情報をどのように用いて君のプレイを充実させるかということについて。
  • 新たな作成オプションおよびクラス特徴:“激情のアーデント” は、悲嘆や恐怖の罠を強烈なる意志の力で退け、疑惑や躊躇を圧して戦場での利を奪い取る。“衝動の心衣” は敵の憤怒を君や君の味方の新たな決意へと転換してくれる。
  • 新たなパワー:君は敵の恐怖を読み取り、それを武器として用いたり、仲間を駆り立てて、それまで気づいていなかった力を利用できるようにしたりすることができる。この章ではいずれの作成オプションを用いたアーデントに対しても、味方を強化し、またますます強大になる敵の前にアーデント自身が立ちふさがるためのパワーを提供するものである。
  • 新たな伝説の道:6種の新たな伝説の道を用いれば、君は混沌そのものから力を引き出し、自分や自分の仲間たちの潜在能力を完全に解放したり、あるいは君の敵の肉体と精神を破壊しつくすことができる。


  • アーデントをプレイする

     恐怖。まるで焚き染められた薫香のように、恐怖があたりに満ち満ちていた。
     いや、ただの恐怖ではなかった。この悪党どもは盗賊ギルドの処刑人として、人の身体を損ない、命を奪ってきた。そしてこの場所は連中の縄張りだった。今この時点においてさえ、この談話室の中の様々な実力者達のうち、誰が本物の酔っ払いで、誰が彼と彼の仲間たちを狩りたてている張本人なのか、タルヴォスには判然としないのだった。
     しかし、奴らは確かにここのどこかにはいる。それだけは彼も知っていた。彼は“奴らの存在”を感じ取った。そして、ちょっとした昂揚感のスパイスとわずかばかりの怒りを散らした下に、紛れもない恐怖が横たわっていた。タルヴォスとその仲間達がもうギルドの人間を12人は殺していることを既に彼らは知っていた。彼らはみな腕に覚えがあったが、皆、自分が13人目の犠牲者になるのではないかと怯えていた。連中をがっかりさせるわけにゃあいくまいな。
     タルヴォスは手にしたエールのジョッキに口をつけたが、むせこんでしまった。濃い顎鬚を泡だらけにしながらも、彼は酔いに身を任せたバカ騒ぎに興じたいという衝動を何とかおさえこみ、自制を保とうとした。いっぽう周りの連中はみごとに酔っ払ってしまっていた。
     椅子から立ち上がったときも、彼は連中の恐怖を握り締めていた――ちょうど雪のひとひらを握り締めた子どものように。その恐怖を自分の心の中にかき集めると、彼はそれを味わい、そうしてそれを変容させた。そうしながら彼は考えた――この感情のエネルギーを、取り込んだ時と同様にあっさりと放出したなら、この悪党どもはそれがまさに自らの中にあった恐怖であり、それが刃に覆われて自らに牙をむいてきたものなのだと認識するだろうか。


     望みと渇望、要求と野心、愛と憎しみ、そして恐怖。世界を動かすのは知性でもなければ信念でもない。感情こそが世界を動かすのだ――そうして感情を操るものこそが世界を操るのだ。君は他人の意図の中に危険を読み取ることを、そして君の唯一の武器であった飢餓感と恐怖とに手綱をつけることを学んだ路頭の孤児だったかもしれない。あるいは自らの学業の成果を自らの衝動が台無しにしてしまって後にようやく頭角を現すことができた、鬱屈した学徒だったかもしれない。ある原始的な部族の守り手で、大自然の脅威に対処するうちに力の引き出し方を身につけたということも考えられる。それともありきたりの人生を拒んだ放浪者で、他人の苦痛を我が身に感じてしまうという呪いを負ったがために世界の苦痛の総量を減少させると心に決めたのかもしれない。
     ともあれ、君は現在の君に至り得る幾つかの道のいずれかを歩んで来たのだ。アーデントである君は、感情に衝き動かされ、感情から力を得る――そして君はもはや、感じることを一切やめる以外には、現在の自分以外の何ものにも変われなくなっている。


    心衣と感情

     サイオニックのクラスの中で君を特徴づけるのは、君が感情を操ることを力の源としていることである。サイオニックたちは皆、ある程度は感情から力を引き出すが、彼らは概ね自らを強化するためにそれを行なう。しかし君は操り糸を手にした人形遣いのごとく感情を用い、自らを取り巻く世界を操るのだ。
     君の力は君が経験した感情の濃密な蓄積を源とする。君は君を取り巻く者たちの感覚を感じ取り、それに君自身の力を付与する。君の恐怖は攻撃に対する鎧となる。君の怒りは精神の力で敵を吹き飛ばす。そうして君の愛といたわりは仲間たちの傷を和らげるのだ。
     アーデントはありとあらゆる感覚を利用するものだが、なかでもある特定の感情―― “心衣” に重きを置いている。君の力はこの特定の感情のみに基づくものではないが、君がもっとも頻繁に力の源とする感情は、君の心衣となる。そしてこの心衣こそが君に他の感情を操り、伝導する能力を与えてくれるのだ。


    これまでの生き方

     アーデントはサイオニックのクラスの中では最も“ありふれたただの人” に見えやすい。サイオンはサイオンになるために、モンクはモンクになるために訓練を積む。バトルマインドは戦闘の熱気や物理的肉体的な緊張状態の中で彼らの力を見出す。一方君はというと、どういう出自ででもあり得る。アーデントが他のアーデントから自分の能力について学ぶということもあることはあるが、ほとんどの場合、アーデントの力は自然発生的に目覚めるのである。基礎的な共感能力とサイオニックの能力がなければ、いくら学んだところでアーデントにはなれないとはよく言われることである。
     君は市場をぶらぶら歩いているときに、突然自分を取り巻く感覚に圧倒されたのかもしれない。あるいは狩から戻ってきたときに、自分の村の人々に対する深い洞察能力を得ていたのかもしれない。あるいは自分の能力が完全に明らかになる前に、それにうすうす感づいていた――つまり、自分の感情が周囲のそれに影響されやすいと気付いていたのかもしれない。君は周囲の感情を操るという自分の能力を上手く利用して、物売りや芸人、詐欺師や博徒として活躍していたのかもしれない。これまで君がどんな人種だったかにもよるが、君は自分が幸せなときには周囲も幸せにするので、きっと人気者だっただろう。それとも君自身の怒りや敵意が周囲に反映されてしまい、憎悪の対象となっていた可能性もある。
     どちらにしろ、操られて感謝する人間は稀である。多くのアーデントは、自分の力が周囲の者たちに気付かれ、そっぽを向かれて、これまでの生活を捨てざるを得ないようになると、ごく早い時期に放浪の冒険者となる。


    世界におけるアーデント

     ありとあらゆる魔法の存在が当然となっている世界においても、アーデントは完璧に理解されているというわけではない。これは、彼らのパワーが自発的にあふれ出てくるものであること、また彼ら自身がサイオニックとしては比較的新しい存在で、モンクやサイオンほどには知られていない(さらにネラス帝国の崩壊後の厳しい時代においては、アーデントを知るものがその知識を広めることも難しくなった)ということによる。
     多くの人々――秘術のわざに通暁しているものも含めて――は、アーデントを完全に体系立ったサイオニックの一形態とは考えていない。アーデントなど奇妙なパワーを生半可に身につけた変わり者の一個人としか思っていないのである。人里離れた地域ではアーデントたちは、もう少し拓けた場所ではほぼ失われたような根深い迷信じみた疑念の対象となっている。そのせいで、アーデントという存在は今日までまともに認識されずにきたのである。


    今日のアーデント

     近年、アーデントの数が増加するにつれ、人型生物の中ではアーデントはより受け入れられやすくなっている。孤立した共同体の中には未だに彼らに対して不信を抱くものも少数ながら存在するが、ほとんどの地域で、アーデントはその他のサイオニックの使い手と変わりなく歓迎されると考えてよい。
     アーデントは未だに、他のサイオニック系クラスにくらべて理解されていない。アーデントが偶然集まったような徒党以上の集団を形成することはほとんどないし、ウィザードやサイオンが公衆に対して彼らの存在を認識させている存在である、大きなギルドや学院などもアーデントは持たない。アーデントは多くの場所で自由に振る舞えているが、これは彼らがより多く受け入れられるようになったからではない。むしろこれは、平均的な一般人はアーデントなどというものが存在することすら気づきもしていないからである。
     他のサイオニックの使い手でさえ、時にはアーデントを不信の目で見る――彼らの能力を見くびっているわけではないが、彼らの自制心がどの程度のものか疑わしいと思っているのだ。力を修得するために厳しい修行を積むモンクやサイオンは、感情と衝動につき動かされるアーデントについて、自分たちのような力を修得するだけの自律に欠ける、何をやらかすかわからない人物であるとみなす。特にサイオンは本能よりも知性と論理に価値を置くことが多いので、この二つのクラスの間で哲学的な討論が交わされると、彼らはしばしば真っ向から対立することになる。
     それに比べると、バトルマインドはアーデントの能力に対して許容を示す方である――というのも、彼らもまた本能に従って動くところが大きいからである。しかし多くのバトルマインドたちは肉体にばかり関心を向けており、アーデントたちには理解できないやり方で自身の感情を排除してしまう。
     このようなクラス間の対立は、冒険者のパーティの中ではほとんどみられない。そこではキャラクターの行動や仲間に対する態度が、言葉よりもよほど多くを語るからである。また、アーデント人口が増え、人々が彼らの能力をより認識するようになるにつれ、アーデントに対する態度はゆっくりとではあるが確実に、嫌々ながらも尊敬せざるを得ないというふうに変わりつつある。


    新たな作成オプション

     本章は『プレイヤーズ・ハンドブックIII』に記載の作成オプションに加えて使用できる、アーデントの新たな作成オプションについて紹介するものである。この作成オプションでは、アーデントのキャラクターの作成時に選択可能な、新たな心衣も1つ紹介する。


    激情のアーデント

     恐怖、悲嘆、憎悪が狂気と敗北を招くのなら、これらの害毒となる効果から身を守る唯一の確かな手段は、精神の中からこれらのものをすべて追い出すことである。知的クリーチャーと称されるものはこれらの感情の前には脆弱だ。そして知的な高潔さをまとい、正気の後ろに隠れ、これで自分達は居心地の悪い世界から守られているなどと信じている。が、君はそんな考えを拒否し、自らの真の本質を見出す。
     周囲の人々や文化から影響を受けた経験や学習に拘泥することを止め、君は自分という存在の中心の鋼鉄の核を見出した。その確固たる壁の後ろに引っ込んだ君はあらゆる疑念と不安を黙らせ、躊躇も恐れもなく振舞うのだ。その結果がすぐさま役に立つものではないという場合でも、君が自分を省みることはない。君を無謀と評するものもあろう。が、君は自分の真の本質に従い続ける――自らの好戦的な態度についてひとことも弁解せぬ頑健の戦士、これこそが君の本質なのだ。


    新しいパワー

     本章に記載された新しいパワーは、アーデントがこれまでに使用できたパワーの幅をさらに拡大するものである。新しいパワーの多くは“激情のアーデント” の作成オプションに適したものであるがそれ以外のアーデントにとっても有用なものは多数記載されている。


    新たな伝説の道

    アウェイクンド・ヴィジョナリィ
    Awakened Visionary/目覚めたる幻視者
     「たくさんの道が未来に続いてるけど、私の歩いてるこの道を行けば、あなたの探してる勝利が見つかるわ


     “彼方の領域” からの侵略は長年にわたって世界中に爪痕を残し、定命の領域の表面は穴や迷い道だらけになった。君のサイオニックの力により、君は異形の侵入によって生じたダメージに敏感になり、そうして君はそのダメージを使って自分を優位に持ち込む才能を身につけたのである。
     夢の中で、あるいは白昼の幻影の中で君にもたらされた記憶は、君に今では失われた戦術を教え、外界からの侵略とよりうまく戦えるようにしてくれる。このように“見える”ことによって、君は世界に対する独特な視点を手に入れ、時空の中に隠れた道をも見いだすようになった。古代の戦いによって刻まれたこの見えざる傷痕を通って君はある地点から別の地点へと一瞬のうちに移動し、また“門”を開いては戦場じゅうに敵を追い散らすこともできるのだ。
     “彼方の領域”の脅威による破壊が大きければ大きいほど、君もまた強力になる。が、最重要なのは、この知識が君に、異形の脅威はいつか討ち滅ぼされると告げているということなのだ。


    アナーキック・アデプト
    Anarchic Adept/無秩序の使い手
     「私は不確定性の中に規則性を見出す――そして秩序の中に混沌を。私は規則と無規則に通ずる者として、二つの世界の両方に居るのだ


     君のサイオニックの才能が成熟するにつれ、君は自身の修得した技法が持つなにやら異質な性質に、自分の意識が集中していくことに気づいた。訓練に際して自らの思考を不確定性の境界領域に集中させるうち、君は自らの魔法の中を流れる隠れた混沌を見いだしたのである。試行錯誤を繰り返し、君は自分のパワーの中に潜む混沌を支配し、敵へと解き放つすべを身につけた。混沌の力を引き出すことは危険かもしれない――が、君は降りかかる危険ならすべて引き受けるつもりなのだ。


    インキャンデッセント・チャンピオン
    Incandescent Champion/輝かしき光の英雄
     「定命の魂の中に存在する完璧なる美と無限の力――神々でさえこれは支配できぬ


     定命のものたちは不完全な被造物で、過ちや誤算も多い。しかし定命のものは等しく、あるひとつの賜物を授かっている――すなわち魂である。サイオニックのエネルギーは君の魂の力を露にし、長い学びと内観を通して、君は自分という存在の迷宮じみた道筋を正しく歩くすべを手に入れた。
     このエネルギーは輝く光で君を満たし、君を包んでいる。君は自らの内なる光を消すこともできるが、君自身も周囲の人々も、その光が好ましいものであると知っている。必要に応じてこの光は、君の命令ひとつで敵どもを燃やし尽くし、その一方で仲間たちを力づける。あるいは魂のために自らの肉体を敢えて損なうことさえも、この光は可能にする。君が魂の力に通じれば通じるほど、君はこの精髄は守られねばならぬと知るようになる。魂をおろそかにするものは自らを歪め、暗い末路に墜ちる。人生の旅路において魂を大事に扱うものは、肉体が損なわれた後、そこから自由になる。そうして人生を終えられることを目指し、君は魂を使役しあるいは悪用する無数の悪党どもと戦い続けるのである。


    カタリスト
    Catalyst/触媒
     「俺は鍵だ。あんたが忘れてるあんたの能力の鍵だ


     知識と訓練はすばらしい美徳だが、それに専心することは時に障壁となる。知識は自己満足を育て、よりよい道を見いだす目を閉ざしかねない。専門性を深めていくにつれ、特定の分野に関してより深い理解を得るために時間をかけるようにはなるが、専門分野以外の知識を得ることはおろそかになる。過度の専心は視野を狭めることになりかねぬ。
     ひとつのことにこだわりぬくよりも、君は精神を解放し、思い込みを拒否することを選んだ。そうすることで、君は探求すべき新たな可能性を見いだした。君が学んだことは君が様々な挑戦や困難を克服することを助け、そうすることでいかなる状況においても君はうまく対応できるようになった。
     君が得た自由の恩恵に、君の仲間たちもまた与りうる。君は彼らの精神に触れ、彼らの真の本質を揺さぶり、彼らを縛っている先入観から彼らを解放する。今やいかなる疑いも恐れも、彼らを再び捕らえることはない。
     彼らは自由に努力を重ね、彼らがこだわっていた過去の制約を押しのける。君は彼らの触媒なのだ。ただ心に触れるだけで君は変化を起こし、彼らが欲するところのものになるのを助けるのだ。


    サイフォン
    Siphon/吸い尽くす者
     「貴様の恐怖、憎しみ、希望、夢はすべて俺が頂戴する。俺の宴の後に残るのは貴様の抜け殻だけ


     吸血鬼と呼ばれる存在のすべてが、触れただけで命あるものの血を啜り、魂を吸い取るアンデッドというわけではない。恐怖や愛、怒りや幸福感のような強い感情を糧とするものもいるのだ。彼らは油断のならないクリーチャー――まったく気に留められることなくすべてを貪る寄生者なのだ。自分のしていることを自覚せぬものさえいる。サイフォンが自身の能力を自覚しているかいないかによらず、このようなキャラクターのパワーの影響は容易にわかる。犠牲者はひどい倦怠感にとりつかれ、無気力になり、疲弊しきるのだ。
     サイフォンである君は、犠牲者から思考のエネルギーを吸い取り、彼らの感情や感覚を飲み干して自分の力を増すためにサイオニックの力を用いる。君の精神はすなわち、他人の思考を捕らえ、それを自分の力を補充し傷を癒すのに使ってしまう大渦である。いったん君が他のクリーチャーとの間に絆を結んだなら、君は犠牲者が疲れ果てて動けなくなるまでそのエネルギーを吸い取ることもできる。また、吸い取ったエネルギーを自分自身のために取っておくこともできれば、仲間たちにそれを移し、彼らと利益を分け合うこともできる。


    フレニック・インヴェーダー
    Phrenic Invader/精神侵入者
     「あなたの秘密は私のもの、私のいいように使わせていただくわ


     君はあらゆるものを聞き取る。あらゆる思考、あらゆる思いつき、あらゆる口に出されない会話は混沌とした騒音となって、君の精神の中の受容体に届く。君は自身の正気を保つため、この不協和音をかすかなざわめきにまで減らす方法を身につけた。しかし、これらの思考には使い道があると君は知っている。そうして精神を集中させることで、これらの雑音の中から自分の助けとなる、もっとも力強い声をつかみ取るのである。
     君はフレニック・インヴェーダー――意識を持つ精神の中であればどこにでも入り込み、その秘密を盗み取る思考の戦士である。無秩序な混乱の中から君が必要とするものを探し出すのに必要なのはほんの一瞬――特に戦場においては。敵の精神はその意図するところをあらわにし、そこから君は相手の攻撃を予測する。別の敵が君に近寄ろうとしても君はそれを感知し、もっとも攻撃に対処しやすい場所に立ち位置を移してしまう。君が盗み取った思考は君の攻撃を導き、君を害から守り、君に刃向かう敵を破壊し尽くすための戦闘の中で、君を生き延びさせてくれるのである。