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フォーゴトン・レルム
D&Dミニチュア

 小さな石ころが山崩れを引き起こすのだ。わかるかね。同様に、たった1つの裏切りが“呪文荒廃”を引き起こした。それによってもたらされた災害は今もトリル全域で踊り狂っている。さらには、トリルの外でも。


─シャドウデイルのエルミンスター、老い知らずの年(1479DR)


 いにしえの大いなる財宝を勝ち取るために冒険者が深みへと下りていく世界へようこそ。影の中から出て来た悪魔の悪巧みを英雄が食い止めている世界へようこそ。生命の絶対支配を巡ってアンデッドの死霊術士たちが競いあっている世界へようこそ。貪欲なドラゴンが狩りをしている世界へようこそ。目玉が飛び出るような驚異や心臓が凍りつくような脅威を、魔法が満ちた岩盤が何千年にも渡って生み出してきた土地へようこそ。
 ここには大いなる冒険がある。敢えてそれを求めるなら、だが。恐れを知らぬウィザードは太古の塚で見つかった、崩れゆく石に刻まれている警告を無視している。犯罪者は貴族地区の裏道にもスラム街にも潜んでいる。司祭は仲間を助けるために神の恩寵を呼び下ろして信者を呼び集めている。ウォーロックたちは太古の契約を極めるために競いあっている。そしてそのような契約の出所は知らぬが花だ。戦士は、あまりにも汚れているためお天道様を拝むことができないような敵の軍団から人々を守ることを誓っている。
 だがここには悪もいる。闇の中で計略を練っている。この世界に茫漠と広がる荒野、廃墟と化した都市、どこまでも続く洞窟、水が滴るダンジョンから、自身の版図を拡大したいと熱望している。主要交易路や大都市から離れている田舎は荒涼として恐ろしい。邪悪なゴブリンからなる略奪団がうろついている。復活したネザリルのシェイドがスパイしている。さらには、死霊術の国であるサーイの斥候や魔法荒廃の危険な残滓も隠れている。
 この世界はフェイの美と始原の悪意の場所だ。この世界は君の土地である。この土地を形作り、導き、守り、征服し、統治するのは君なのだ。
 フォーゴトン・レルム・キャンペーン世界へようこそ。ここでは英雄が必要とされている。


この世

 トリルは伝説に謡われているフェイルーン大陸がある世界だ。身を切るような風が“果てなき荒野”の草原を吹きすさんでいる。逆巻く波がソード・コーストの崖に押し寄せては砕け散っている。この2つの地域の間には広大な土地があり、光り輝く諸王国と始原の荒野が広がっている。フェイルーンの神秘、秘密、物語は事実上無限だ。
 アイビアは忘れ去られていた領域である。トリルと対をなす存在であり、かつては融合していたが、この世界の夜明けの時代にアイビアは独自の道を行った。フェイルーンを監督しているのは神々とその従僕だが、アイビアを支配していたのは聳え立つプライモーディアルと長老ワームだった。彼らの支配は残忍だった。そして今、永劫の分離の時を経て、アイビアは再びトリルと融合した。予期せぬ暴力が戻って来たのだ。


フォーゴトン・レルムじゃない? 問題なし!

 たとえ君のキャンペーンがトリルの世界で行なわれなくても、君は『フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド』(およびそれとペアになる『フォーゴトン・レルム・プレイヤーズ・ガイド』)を活用することができる。
 本書に記述されているすべての概念や詳細は、君が自作した世界でも問題なく活用できる。換言すれば、君は本書に記述されているパーツのなかで君が最も興味深いと感じた、もしくは君の現在の世界に最も良く適合するものを選んで使用することができる。そうすれば君は、君や君のプレイヤーが使い慣れている既存の世界のすべての要素を保ちつつ、フェイルーンのびっくりどっきりや陰謀を君のゲームに注入することができる。
 たとえばアンダーダークと呼ばれている領域は初期のフォーゴトン・レルム製品で導入された。それ以降、その用語とそれが包含するすべてがD&D基本ルールに適合されてきた。君が望むなら、君独自のアンダーダークを創造できるのは疑いようもないが、そうでないなら、十分練り込まれた“地下世界”が本書の中で君を待っている。
 忘れないで欲しいのだが、君の世界は常に君だけの世界だ。君と君のプレイヤーが作るものなのだ。本書のような本を隅から隅まで使用するのも良し。君がすでに作った世界の単なる味付けとしてのみ使用するのも良し。どちらでも構わない。

10の重要な事実

 以下の諸点はフォーゴトン・レルム・キャンペーン世界の以前の版以降になされた、トリルの世界に対する最大の変更点を説明している。もし君が以前の世界を良く知っているなら、1374DR(稲妻嵐の年)以降にこの世界で起きた主要な出来事が以下の諸点にまとまっている。もし君が初めてこの世界に触れるなら、この世界の住民の大部分が知っているような基本的な背景情報が以下の諸点にまとまっている。
 1.このキャンペーン世界の以前の版から約100年が経過している。現在は1479DR、老い知らずの年である。
 2. “呪文荒廃”によってこの宇宙は劇的に変化した。“呪文荒廃”は1385DR(青火の年)に発生した。ミストラ女神の死によって魔法が暴走し、それによって発生したのである。たくさんの国々が消滅した。特にひどかったのは落星海の南にある地域だった。それまでは何の変哲もない土地だった場所が異様な魔法の土地になった。“地片”と呼ばれている、岩でできた島が天空を漂っている。石でできた不気味な塔があちこちに屹立している。壮大な地割れや滝はいたるところにある。
 “呪文荒廃” はその飽くなき貪欲さをもってあらゆるものを呑み込み、生物、石、魔法、空間、次元界障壁を攻撃して形質変化させた。トリルの外に広がる宇宙すらその影響を受けた。永遠に失われたと考えられていた太古の領域が帰還した(たとえばフェイワイルド)。あるいは次元界全体が新たな宇宙観に遷移した(たとえばアビス)。
 3.アイビアの一部がトリルと融合した。“呪文荒廃” は次元界の境界を越えて荒れ狂った。何万年も前に切り離され、長きに渡って失われていた、トリルと対をなす世界もまた、この大渦に呑み込まれた。フェイルーンの巨大な一部がそれと同質量のアイビアと入れ替わった。それによってアイビアの住民がトリルにやって来た。この失われた領域の大陸が1つ丸ごと“迷いの海” の向こうに再出現した。現在、そこは“復活アイビア”と呼ばれている。
 4.神々の数が劇的に減少した。神々でさえ、過去100年間に発生した神と悪魔の抗争や“呪文荒廃”の混沌に呑み込まれた。たくさんの神々が死んだ。一部の神々は去った。数柱の神々は、実際には既存の神々のアスペクトであることが判明した。あるいは、あまりにもたくさんの力を失ったためエグザルフに成り下がってしまった神々もあった。エグザルフはその他の神々に仕える下位の神的存在である。
 5.“呪文荒廃”はクリーチャーに印を残した。“呪文荒廃”の効果の一部は現在も残存している。なかでも特に、いわゆる“荒廃地域”では今でも暴走魔法が荒れ狂っている。“荒廃地域”に滞在したクリーチャーのなかには身体的な印を得た者もいる。そのような印は“呪痕” と呼ばれている。“呪痕” クリーチャーは独特の能力を有するが、もちろんただで手にいれたわけではない。
 “呪文荒廃” に直接晒されたクリーチャーはおぞましい変化を遂げた。単に“呪痕”を得ただけでなく、そのからだが想像を絶する形に歪んでしまったのだ。“呪痕”クリーチャーの能力は、独特ではあるが、“荒廃”クリーチャーの能力ほどおぞましかったり強力だったりすることは絶対にない。幸運にも、そのような“荒廃”モンスターは少ない。そしてそのなかでも、自由意志と機動性を有する脅威はほんの僅かしかいない。
 6.アンダーダークが広範囲に渡って崩落し、それによってフェイルーンの地上が変化した。大地の崩落によって落星海の水位と位置が劇的に変化した。アンダーダークに通じる巨大な穴がチョンダル森の南に開いた。この大地に開いた国家規模の穴に加えて、地下の構造が変化したことにより、地上世界からアンダーダークへとても行きやすくなった。
 7.サーイが恐ろしいアンデッドの脅威になった。かつてのサーイはレッド・ウィザードの土地だったが、現在では権力欲に取りつかれた1人のリージェントの支配下にある。ザス・タムだ。彼は不滅の存在になるための儀式にほとんど成功しかけた。結局は失敗したものの、それによってサーイは悪夢の土地と化した。死の土地になったのだ。現在、このリージェントはサーイの国境線を拡大しようと考えている。そうすれば再びその儀式を試みることができるから。
 8.太古の帝国であるネザリルが復活した。アノーラック砂漠から新たに奪還した土地に浮かぶ、首都であるシェイド居住地において、“シェイド十二プリンス会議”が統治している。ネザリルは再び主要勢力になった。そして北方にあるすべての国に対する脅威になった。
 9.太古のエルフの血筋がフェイルーンに帰還した。フェイワイルドの再出現に伴い、その原住民が再び“この世”の探検を開始した。これらのフェイは自分たちのことをエラドリンと呼んでいる。また自分はエラドリンの血を引いていると自称するフェイルーン・エルフもたくさんいるが、そのような者といえども、伝統的文化的な特徴や名前を忘れてしまったわけではない。砕けた会話で用いられる“エルフ”という言葉は、これらのフェイの集団であるエルフとエラドリンの両方をまとめて指している。
 10.大部分のポータルは現在機能していない。“織り” が破壊されたことによって、トリルに張り巡らされていたポータルの大部分も破壊された。なぜなら“織り”が破壊されたことによって、秘術使用者たちが命懸けで獲得してきた知識も破壊されたから。“呪文荒廃”以降、秘術使いたちはその技を再獲得したが、それでも大部分のポータルは依然として機能していないか、もしくは危険なまでに誤作動している。過去の伝説の壊れた遺物なのだ。


本書には何が書かれているのか

 本書はダンジョン・マスターである君に、フォーゴトン・レルム世界におけるアドベンチャーを運営するのに使用できる情報を提供している。あるいは君のゲームの舞台がフォーゴトン・レルムでないとしても、本書を使用して君のキャンペーンをより豊かなものにすることができる。詳しくは4ページに記述されているサイドバーを参照のこと。
 本書の最初の章には、キャンペーンの開始地点であるラウドウォーター村が記述されている。この章にはまた、プレイヤー・キャラクター・グループをこの世界に引き入れるために使用する一連の遭遇も記述されている。
 第2章以降には広大なトリルの世界のさまざまな話題が詰め込まれている。最初から最後まで通して読もうとも、あるいは最も気になる場所の拾い読みから始めようとも、この世界に生命を吹き込むために知る必要があるすべての情報が本書に記述されている。


他には何が必要?

 D&Dキャンペーンは皆そうであるように、本書に記述されている情報を完全に活用するには『プレイヤーズ・ハンドブック』(PH)、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』(DMG)、『モンスター・マニュアル』(MM)が必要だ。それらに加えて君と君のプレイヤーは『フォーゴトン・レルム・プレイヤーズ・ガイド』も必要とする。そちらの本には地域的な利益、特技、新しい種族、新しいクラス、そしてフォーゴトン・レルム・キャラクターを作成して運営するのに有用なその他の情報が記述されている。本書に記述されている用語類のうち、『フォーゴトン・レルム・プレイヤーズ・ガイド』に詳述されているものには PG の印がつけられている。


既刊一覧
フォーゴトン・レルム
キャンペーン・ガイド

定価:7,980円(税込)
フォーゴトン・レルム
プレイヤーズ・ガイド

定価:6,090円(税込)
冒険シナリオ集
スペルガルドの笏塔
定価:3,999円(税込)