世界選手権直前! たるほの日本代表合宿帯同レポート

『FINAL FANTASY Trading Card Game』の公式記事連載。今回は、今週末に迫った世界選手権に向けて行なわれた日本代表の皆さんの合宿の模様を、インタビュー記事を担当しているたるほさんがレポートします。

◆今週末はいよいよ世界選手権!

皆さんこんにちは、『FF-TCG』プレイヤーのたるほです。
今週末はついに『FF-TCG』の「世界選手権」が開催されます!

世界選手権特設ページはこちら!(リンク先は英語)

当日、会場ではライブビューイングやサイドイベントが開催され、ネットでは生放送での中継も行なわれて世界中で『FF-TCG』が盛り上がるだろうと楽しみにしています。
そんな「世界選手権」を控えた日本代表選手たちが強化合宿をするという話を聞いたので、それに同行させていただきました。ここではその模様をお届けしたいと思います。
「世界選手権」直前なので、詳しいデッキ選択やプレイの方針についてはお話しすることはできませんが「日本代表ってこんなプレイヤーなんだ」と思っていただき、応援するきっかけになってくれればうれしいです。

◆軽井沢で行なわれた合宿に同行しました

今回、合宿に集まった日本代表はこちらのお三方。

▲左からmasterさん、KUROSAWAさん、閣下さん。残念ながらもう1人の代表であるサワダさんは都合がつかず、不参加でした。

合宿は長野県、軽井沢町にあるペンションで行なわれました。

▲観光名所・白糸の滝で1枚。寒そうですが、空気が澄んでいる様子が伝わってきます。

地元名物のお蕎麦でお腹を満たして、さっそく合宿スタートです。

▲お蕎麦屋さんでの1コマ。

 

▲カードを広げると、皆さん一転真剣な表情になります。

特訓のお邪魔にならないように、休憩中などに少しずつお話をうかがいました。

――今回は「世界選手権」のための合宿ということですよね。
閣下:そうですね。でも、どちらかというと大会前に1回気持ちを落ち着かせる、リフレッシュの目的が大きいかもしれません。こういうところ(軽井沢)でやることで、集中しつつ張りつめすぎないようにできるというか。
KUROSAWA:でも夜になったらガッツリ対戦しますよ。
master:僕はまだデッキが1つもできてないので(笑)、デッキを組まないといけないですね……。
――来週末(この合宿は11月11日から12日にかけて行われました)には「世界選手権」ですが、お話をうかがっていて大丈夫でしょうか。
master:正直マズいですね(笑)。なので、この合宿では集中して、実のあるものにしたいです。

▲合宿には代表選手だけでなく、閣下さんの友人のプレイヤーも参加して調整相手となっていました。

――みなさんは、これまでにも集まって練習会などはされていたんですか。
閣下:結構早くからやっていました。最初に集まったのは「MASTERS Final & the After」の翌週です。「the After」の会場で代表選手には声をかけて、皆でやっていこうという話をして、その翌週に集まって懇親会として食事をしました。
master:その後、皆でヨーロッパ選手権を観ましたね。
KUROSAWA:あれをみんなで観られたのはよかったね。勇気が出たというか。
――勇気が出たというと?
KUROSAWA:海外のプレイヤーは未知の存在だったので、みんなで意見交換しながら観たことで、自分と周りの考えをすり合わせて、海外プレイヤーの思考への考察を深めることができました。1人だったら「なんだこれ?」で終わっていたかもしれません。
閣下:オーストラリアで優勝した「氷雷水ゴルベーザ」もそうだけど、海外のデッキは1回見ただけだと動きが読めないデッキが多いよね。
master:そのあとは、町田や秋葉原で毎週対戦して実戦で調整しましたね。
――今回の世界選手権ではデッキ構築や持ち時間などのルールがちょっと特殊ですよね。そういったところを意識した調整はしましたか?
KUROSAWA:町田で集まったときは、3デッキまとめての調整というよりは、各国で勝ち上がったデッキや、テスト的な意味で作ったデッキでの調整がメインでしたね。もちろん3デッキをそろえての対戦もしましたが。
閣下:masterくん、そのときはデッキ持ってたよね?
master:あのデッキは嘘のようにボロ負けしたので崩しちゃいました(笑)。
KUROSAWA:その次の週、秋葉原で調整したときはサワダさんが友達のプレイヤーを呼んでくれたので結構大所帯での調整になりましたね。
閣下:そのなかで、普通に使う分には3デッキ制でも時間的には問題はないかなという印象でした。
――時間は問題なさそうとのことですが、何か懸念してることはありますか?
閣下:海外の方とのコミュニケーションになるので、思っているよりは時間がかかっちゃうんじゃないかなと考えています。また逆に、時間があいたら、その間どう集中力を持続させるか、とかについて考えてますね。
KUROSAWA:待ち時間もそのまま大会のテンションだと緊張して疲れてしまいそうだから、何か時間のうまい使い方は考えたいですね。

▲調整の合間には森林浴を兼ねた散策などにも行きました。リラックスしながらの調整会にはぴったりの環境でした。

――調整にあたってなにか特別な工夫などはしましたか?
閣下:工夫というか、とにかく海外勢のデッキは片っ端からコピーして持っていきましたね。前にもお話ししましたが、海外プレイヤーには海外プレイヤーの哲学があるはずなので、それを理解しようと思って。
――では、最終的なデッキもそれを踏まえたものになった?
KUROSAWA:なったかどうかはわかりませんが、一応デッキはもう決まっています。もちろん内緒ですが。
閣下:僕は結構早い段階で決まってました。7月に権利を獲得したので、みんなよりいち早く調整を開始できたので。
master:その考えだと僕が一番早くデッキ決まってないといけないんじゃ……。
閣下:master君は逆に権利獲得が早すぎたから(笑)。

▲いろいろなデッキを試行錯誤するmasterさん。一風変わったコントロールデッキを得意とする彼は、当日どんなデッキを持ち込むのでしょうか。

――今回の世界大会ではどんな環境になると思いますか?
KUROSAWA:除去がある火属性と雷属性、それに対抗しうる展開力を持つ水属性が人気があると思うので、それを各々どう使うかだと思います。あとは、その本筋とされるものから外れているもののうち、これが使われるかなってカードは予想できるのでそれにも対応できるようにデッキや採用するカードを考えています。
master:僕も基本的に同じ思考ですね。水は【1-171H】《ミンウ》があるぶん、雷や火に強く出られるのも大きいですね。逆に火と雷側は【1-171H】《ミンウ》に弱くなりすぎないようにどう調整していくのかというのがカギだと思っています。1つはパワーラインで負けないように【1-030R】《レブロ》や【1-150R】《ルールー》を採用して単色に近い構成にすることですかね。
――日本勢の中では環境の認識はほとんど同じなんですね。
閣下:ただ、《ルールー》といえば海外では5コストの【1-149H】《ルールー》を採用した「雷単」もあったりしました。ああいう動きのわからないデッキが出てくるのはやっぱり怖いですね。

▲合宿中はただ対戦するだけでなく、ほかのプレイヤーのプレイングを見ながら最善の一手を考える練習もされていました。

――なるほど。今回普段と違ったメンバーでの調整だったと思うんですが、それでよかったと思うことなどはありましたか?
KUROSAWA:僕は普段、関西のプレイヤーとskypeで調整してるんですけど、そこで考えていたデッキやプレイングの理論が閣下さんやmaster君とシンクロしてたのがうれしかったですね。僕は「強くなるための効率的な練習方法」を考えたりするのが好きなので、違う環境でプレイしていても同じように強くなれるっていうのがわかったのは大きな成果だなと。
閣下:そうですね。KUROSAWAさんとの練習だと2本先取形式でやっても30分くらいで終わることも多かったので、短時間で濃い内容の反復練習ができたのはよかったなと思います。
master:僕は組んできたデッキを完膚なきまでに倒されたので、使わないデッキをあぶり出せたのがよかったです。おかげでまだ納得のいくデッキが決まらないんですけどね(苦笑)。
閣下:master君はそろそろデッキ決めて練習しないと時間の使い方とかも覚えられないでしょ(笑)。
master:この合宿ではデッキを完成させることもまず目標にします!

▲なかなかデッキが決まらず思索にふけるmasterさん。

◆代表選手のカードゲームのルーツを聞いてみた!

合宿の2日目。練習を終えて帰路につく前の皆さんに、カードゲーム歴をたずねてみました。

――皆さんのカードゲーム歴や、今までどんな風に遊んできたかをお聞きしてもいいですか?
KUROSAWA:僕のカードゲームとの出会いは小学校のときに雑誌の懸賞であたった『ポケモンカードゲーム』でしたね。そのときに《パソコン通信》っていう結構強いカードが当たったんですが、当時は友達のあてた《リザードン》のほうがうらやましくて。それから小学校~中学校の間は『遊戯王OCG デュエルモンスターズ』『デジタルモンスターカードゲーム』『デュエル・マスターズ』『マジック:ザ・ギャザリング』などを友達とやってたんですが大会には出ていなかったですね。ただ、当時からオリジナルのコンボを考えるのが好きだったので、そこは今と変わってない気がします。大会に出るようになったのは、大学に入ってカードゲームを再開したことからですね。『ポケモンカードゲーム』で再開したんですけど、日本に4枚しかないカードを借りたりしながら京都の大会で優勝したこともあるんですよ。大学院に行ってたんですけど、そのころ『FF-TCG』のchapterシリーズが出てルールを覚えて、「chapter V」から本格的に大会に出るようになりました。もともと関西に住んでいたので、仕事で関東に来てからはskypeで対戦することが多いですね。あと新しいセットが出ると友達とアイデアを出し合って、それぞれ持ち帰ったアイデアをデッキにしてそれをmixiの日記で友人公開してコメントを付け合って意見交換をしています。

閣下:僕は3人兄弟なんですが、兄の影響でカードゲームを始めました。最初は兄弟の中だけで遊んでいたんですが、中学校くらいから友達とも遊ぶようになりましたね。ただ高校に進学して友人と離れてしまったので、しばらくカードゲームから離れていました。大学で入ったゲームサークルで先輩に『ディメンション・ゼロ』を教えてもらい、カードゲームを再開しました。僕も大学院のころに『FF-TCG』のchapterシリーズが発売されてプレイするようになりました。今でも横浜で遊んでいるんですが、いま一緒に『FF-TCG』を遊んでいるメンバーは当時は別々のゲームをやっていて、『FF-TCG』を通じて一緒に遊ぶようになりました。

master:僕は幼稚園の時に少しだけ入院したことがあったんですけど、そのときにお母さんが『遊戯王OCG デュエルモンスターズ』を買ってくれたのが出会いでしたね。そのあと、小学校2年生のときに当時大好きだったアニメのカードゲームが出て、最初は友達と遊んでたんですが近所にカードショップがあったので、そこに行くようになりました。周りが自分より年上の相手が多かったので、デッキの組み方やプレイのテクニックを磨く環境があってカードゲームによりハマりましたね。大会にも自然に出るようになりました。大きなイベントにも参加して、ゲームに勝つ楽しさを知ったのもこのころでした。そのゲームが5年ほど続いたんですが、残念ながら展開が終了してしまって、それ以降はいろんなゲームのルールを覚えるのが趣味になって、中学生のときに僕も『FF-TCG』のchapterシリーズに出会って、それからOpusシリーズまで続けています。

◆いくぞ日本代表! 世界選手権への意気込み

最後に、日本代表の皆さんに「世界選手権」にかける意気込みを聞きました。合宿に来られなかったサワダさんにもSNSを通じてコメントをいただいたので、合わせて紹介します。

――では最後に、皆さんの世界選手権にかける意気込みを教えてください。
閣下:世界のいろんな人とできる機会なので楽しんできたいと思います。目指すは優勝です!

master:初めての「世界選手権」ということで海外の強豪と戦える機会なので、自分のベストをつくして全力で楽しみたいです。

KUROSAWA:世界中のプレイヤーと『FF-TCG』で遊べるのが楽しみです! 本気でぶつかっていきます!

サワダ:周りの友人に支えられてここまで来ることができたので、友人たちの期待に応えられるようにがんばります!

▲2日間の合宿を終えてパワーアップした日本代表の皆さん。世界選手権での活躍を楽しみにしています!

◆終わりに

というわけで、世界大会に臨む日本代表選手の様子をお届けしました。
初の「世界選手権」、日本代表のなかから世界一の栄光に輝く選手は出るのか、今から目が離せませんね。
僕も当日はスクウェア・エニックス本社で開催されるライブビューイングでその行く末を見届けたいと思います。

それではまた次回の記事でお会いしましょう!