名人戦へ向けレベルアップ! 開発課愛澤のプレイング講座:アタックフェイズ編I

『FINAL FANTASY Trading Card Game』の公式記事連載。今週も開発課・愛澤によるプレイング解説記事をお届けします。今回の記事では、アタックフェイズにおける定石や考え方について解説していきます。

◆今回もよろしくお願いします!

『FF-TCG』公式記事連載をご覧の皆さん、こんにちは!
ホビージャパンゲーム開発課の愛澤です。

前回までの記事に、Twitter上などでさまざまな反響を寄せていただき、ありがとうございます!
これまでの記事でも書いてきましたが『FF-TCG』では完全な正着手は見えにくく、プレイヤーによってさまざまな考え方があると思います。
記事中ではもっとも正着手に近いと思われるプレイングについて述べていきますが、記事を読んで「書かれているプレイより、このプレイの方が正解じゃないかな」「書かれていないけど、こんな理由も考えられるな」など、皆さんのなかでも考えていただければうれしいです。

そういったところで、今回も『FF-TCG』のプレイングについて解説していきたいと思います。
今回はバトルフェイズに関する定石やテクニックについてお話しします。

これまでのプレイング解説記事はこちらからどうぞ。

開発課愛澤のプレイング講座:序盤編I
開発課愛澤のプレイング講座:序盤編II

もっと『FF-TCG』の基本的なことを知りたい方は以下の記事をご覧ください。

『FF-TCG』を遊んでみよう!
入門編I:『FF-TCG』ってどんなゲーム?
入門編II:『FF-TCG』の始め方
入門編III:『FF-TCG』のルールをおぼえよう!

『FF-TCG』のデッキを作ってみよう!
[From One Card ~1枚のカードから~]【2-051L】《ヴァン》編
[From One Card ~1枚のカードから~]スターターセット「ファイナルファンタジー零式」編
[From One Card ~1枚のカードから~]数字で見るデッキ構築の方法


◆アタックフェイズについての基本的な考え方

アタックフェイズについて考えるときに、もっとも基本的な考え方を最初に述べておきます。
それはアタックできるときは、反撃を恐れずアタックするということです。

例題としてこんな状況から見ていきましょう。

今はあなたのターンで、お互いに同じコスト、同じパワーのフォワードを1体ずつ出している場面です。
【1-099C】《空手家》は1ターン前にプレイしていたので、アタックすることができます。

こういった状況は序盤戦でよく見る場面ですが、こういったシーンでは基本的にアタックしていくようにしましょう。
プレイに慣れないうちは、相討ちを恐れて様子見で終えてしまうこともあると思いますが、お互い受けているダメージにあまり差がない状況では、できるだけ攻撃する側に回るべきなのでアタックできるときはどんどんアタックしていきましょう
なぜかというと、これは当たり前の話ですがお互いに0ダメージの状況からアタックを始め、毎ターン1ダメージを与えていくならば、先にアタックした方が勝利するからです。

上記の例は極端ではありますが『FF-TCG』ではフォワードを介さずに相手にダメージを与えることはほとんどできないので、その後の展開で攻守が逆転することはあっても、攻撃に回っている側がより勝利に近い立場にいることは間違いありません。
そのため、戦況が五分か有利に見える、アタックに行けそうな状況では反撃でダメージを受けたくないという理由でアタックしないのは、自ら勝利を遠ざける行動になってしまいます。
繰り返しになりますが『FF-TCG』ではフォワードでアタックしなければ勝てないので、可能な限り積極的にアタックを行なうようにしましょう。

もちろん、例外となるシチュエーションも存在します。
たとえば、相手が出しているフォワードが【3-154S】《ジタン》や【3-144L】《レナ》のような、もう一度プレイすることでアドバンテージを取れるフォワードのときです。
こういったフォワードはフィールドに出たときにすでに一定の働きをしているため、ブレイクされても相手の損害は少ないです。そういう相手に対して、スペシャルアビリティによる除去の役目を果たすために投入した【2-094H】《リディア》でアタックに行くなどするのは、非常にもったいないのでやめた方がいいでしょう。

▲同じパワーでも、フォワードに期待される役割はそれぞれ異なります。フォワードを相討ちされるときなどは、本当にそのフォワードを失ってもいいか、よく考えましょう。

また相手が【3-033L】《ジェネシス》や【3-099R】《アンジールペナンス》のような、プレイヤーにダメージを与えることで発動するオートアビリティを持っているフォワードを出している状況も、アタックに行くべきではないでしょう。

さらに、この状況では1対1でにらみ合うことも危険です。
なぜかというと【3-033L】《ジェネシス》や【3-099R】《アンジールペナンス》を投入しているデッキには、必ず彼らのアタックを通すための手段が搭載されているからです。

▲プレイヤーにダメージを与えたときに発動するオートアビリティを持つフォワードのアタックにはダメージ1点以上の価値があります。

「【3-033L】《ジェネシス》がいるからパワー7000のフォワードで攻撃するのはやめておこう」というのは正しい判断です。
しかし、ここで思考が止まってしまってそのままターンを終えたり、バックアップを追加するだけで終了してしまった場合、そのフォワードを除去されて【3-033L】《ジェネシス》のアタックを受けて手札が減り、そこからズルズルと負けてしまうことも珍しくありません。

先ほど、勝つためには攻め手に回っておく必要があると言いました。しかし、上記の状況のように攻めを止める必要が出てくることも対戦中はよくあります
そのときは中途半端に立ち止まるのではなく、返すターンで相手に攻めさせない状況にして立ち止まるようにしましょう。
上記の例では、相手フォワードを1体除去されてもまだ【3-033L】《ジェネシス》ではアタックできないように、追加のフォワードも出しておくのがいいでしょう。そうすればこう着状態を維持したまま、次にアタックに行く機会をうかがうことができます。

アタックフェイズにおける基本のまとめ
・五分の状況では反撃を恐れずアタックに行くべし。攻撃しなければ勝利はない!
・フォワードの相討ちを恐れてはいけないが、失うフォワードの価値が釣り合っているか、損していないかということはよく考えよう
・攻めを止めるときはただ立ち止まるのではなく、相手も攻められないこう着状況を維持し、相手を攻める側にしてしまわないように!

 

◆対戦相手の選択肢を狭めて見えないアドバンテージを稼ぐ!

まず、アタックフェイズの定石として『FF-TCG』では攻め手に回る意識が重要なので、基本的にアタックできるときはアタックするというお話しをしました。
それを踏まえて、次の状況を見てください。

あなたのターン、お互いのフィールドにフォワードが4体ずつ出ている状況で、こちら側の4体はすべてアタックできます。
さらに、あなたのフォワードは対戦相手のフィールドにいるフォワードのパワーを超えている大変有利な状況です。
まだお互いのプレイヤーにダメージが入っていない状況だとしたらあなたはこのターン、何体で攻撃しますか?

  1. 1体だけ攻撃
  2. 2体攻撃して、2体は防御に回す
  3. 3体攻撃して、1体は防御に回す
  4. 全員攻撃
  5. 全員防御

では、それぞれの選択肢の解説をしていきましょう。

「1」と「5」の選択肢はさすがに消極的過ぎますね。お互いにダメージが入っていない状況なら、相手のデッキアウトを狙うような特殊な戦術のデッキをプレイしているわけでなければ実際の試合でも選択されることは滅多にないでしょう。

「2」の選択肢は攻撃と防御のバランスを半々にした選択で、防御に回したフォワードの片方が除去されても防御することができて一見すると良策に見えます。しかし、これもまた取るべき選択ではありません。

その理由は勝てるターンが遠くなっているためです。

確かに「2」の選択肢を取れば、次のターンの自分へのダメージの多くは抑えることができるでしょう。
ただし、自分へのダメージを抑えることと負ける可能性が減ることはイコールではありません
ダメージを受ける機会を減らしていけば、それだけ敗北が遠ざかるようにも見えるかもしれませんが、上記の場面で2点のダメージを相手に与えてターンを終了してしまうと、次の自分のターンに4体のフォワードすべての攻撃が通っても勝つことができません。

そのため相手は次のターンの敗北を気にすることなく(【1-181H】《オニオンナイト》などは警戒するかもしれませんが)行動することが可能で、もしかしたら【3-012L】《ザックス》などを出してこちらのパワーを上回り、全軍でアタックを仕掛けてくるかもしれません。そうしたら、こちらは深刻なダメージを受けるか、あるいはフォワードを失うことになり、せっかく攻める側に回っていたのに攻守が逆転してしまいます。
「2」の選択肢は、このターンの間は有利なまま進められるかもしれませんが、相手ターンに逆転される可能性もある、潜在的に危険な選択肢なのです。

次に「3」の選択肢ですが、実際のゲームではこの選択肢を取る方も多いのではないでしょうか。
次のターンの総攻撃が通れば勝てる状況は変わらず、かつブロッカーも残しているので万が一の不測の事態にも備えてあるように見えます。

この選択肢は不正解ではありませんが、正解でもない選択肢で、この状況ならば1体だけ残さずに攻撃に回すべきです。
「このターンに3点、次のターンに4点なら勝てるのだから、1体をブロックに回すことで4点をそのまま受ける危険も防げてよい選択なのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、それは対戦相手の攻撃が自分の思惑どおり止まったときだけ有効な算段なのです。
たとえば、返すターンで相手が除去効果のある召喚獣などを引いた場合、残したフォワードを除去されて相手のフォワード全員がアタックしてきてしまうと自分に与えられたダメージは4点、次の自分のターンに残ったフォワード全員でアタックしても相手に与えられるダメージは、前のターンと合わせて6点にしかならずダメージが足りません。
当然そうなると残った3体全員でアタックするわけにもいきません。やはり攻める側から守る側に回らされてしまうことになるのです。

これが「4」の全員アタックを選択すると、対戦相手が次のターンに除去できるカードを引いても残った3体のフォワードのアタックを受けてしまうと負けてしまうので、相手は全員でのアタックができず、ブロック用にフォワードを残さなくてはいけません。

対戦相手が除去ではなく追加のフォワードをプレイしてくる可能性も高いですし、除去とフォワード両方プレイするかもしれません。しかし、ここで相手が4体でアタックして、さらにあなたのフォワードを1体除去し、追加でプレイしたフォワード1体をブロックに回して……といったプレイをするのであれば、上記の「3」の解説で触れた、返しのターンでブロッカーを除去されたら敗北するというリスクを相手が背負うことになります。
結果的に対戦相手の4体のフォワード全員がアタックしてくるリスクを抑えつつ、勝つために遠回りしない選択肢としては「4」の全員でアタックするのがもっともオススメということになります。

もちろん実際のゲームで、上記のようにお互いに4体のフォワードを並べてにらみ合っている状況は多くはないでしょう。
しかし、ここで理解していただきたいのは、ダメージを与えることそのものにも大きな意味がありますが、それ以上に相手の取れる選択肢の幅を狭めていくことが重要ということです。
上記の状況では、こちらが全員でアタックすることで相手の「全員でアタックしてあと1ターンで勝つ」という選択肢を潰すことができています。相手は唯一の「勝つ」選択肢を失ったため、必然的に守りに回らざるを得なくなっており、こちらはすぐ勝てないまでも負けることは絶対になく、攻勢を維持することができます。

このこちらは負ける可能性がなく、相手は負けないように必死にならざるを得ない状況は、手札の枚数やフォワードの数といった直接目に見える要素ではありませんが、勝敗のカギを握る非常に重要なポイントになります。

『FF-TCG』は7点のダメージでゲームが決着します。
フィールドの状況は同じでも、あと7点ダメージを与えなくてはならないときもあれば、あと3点、あるいは1点で勝てることもあります。それぞれの状況で、どうアタックすれば相手の「勝つ」選択肢を潰して攻勢を維持できるか、ということを考えてプレイすることが大切です。

◆アタックに行くときは順番も大事!

続いて、アタックフェイズで実際にアタックしていくときの順番について解説していきたいと思います。
このアタックの順番は、効率よくダメージを与えていくうえでとても大切な要素になります。

まず、この例を見てください。

相手のフォワードは【1-167C】《バイキング》のみで、こちらにはそれをパワーで上回るフォワードが2体います。
もちろん、この状況ではアタックに行くべきで、かつ【3-017L】《ビビ》と【1-189S】《ティファ》のどちらからアタックしても通りそうです。
この状況で【3-017L】《ビビ》と【1-189S】《ティファ》どちらからアタックするか、あなたならどうしますか?

  1. 【3-017L】《ビビ》からアタック
  2. 【1-189S】《ティファ》からアタック

では、解説していきましょう。

このようにフォワードが複数アタックできそうな場面では相手のデッキの属性と、そこからEXバーストしそうなカードを予測してアタックの順番を決めるようにしましょう。たとえば対戦相手の方に一言断ってブレイクゾーンにあるカードを確認させてもらったりするとより予測が立てやすくなるでしょうあ。もしかするとそのブレイクゾーンには、対戦相手のデッキに残っているEXバーストを持つカードがあったり、警戒していたEXバーストを持つカードが既に3枚とも捨てられていたりすることもあるかもしれません。

そうやって得られる情報を確認したら、次はそのEXバーストで狙われるのはどちらかを考え、そして狙われそうなフォワードから先にアタックするようにしましょう。
これは、対戦相手がEXバーストしたときに、狙いたいフォワードがまだアタックしていない状況だと、こちらにとって重要なフォワードとアタックする機会の両方を失ってしまう可能性があるためです。

たとえば、あなたのフィールドにいるフォワードが【3-008C】《クラウド》と【3-154S】《ジタン》で、【1-023R】《ブリュンヒルデ》がEXバーストしてしまった場合を考えてみましょう。
この2枚ならば、フィールドに残したい重要な役割を持つフォワードは【3-008C】《クラウド》で間違いないでしょう。
このとき、もし【3-154S】《ジタン》から攻撃して【3-008C】《クラウド》がまだアタックしていない状況なら、対戦相手の【1-023R】《ブリュンヒルデ》は【3-008C】《クラウド》を嬉々として狙うでしょう。
しかし、【3-008C】《クラウド》から攻撃していた場合、対戦相手にとって脅威となるフォワードを狙うか、追加のダメージを危険視してアタックしていない【3-154S】《ジタン》を狙うかを天秤にかけることになります。

結果的には、このように戦略を立てても後回しにしたフォワードがEXバーストで狙われてしまう場合はもちろんありますが、フォワードとアタックする機会の両方を失ってしまうことは避けられるようにプレイしましょう。

さて、上の例の場合、対戦相手はどうやら「水単」の可能性が高そうです。であればEXバーストしそうなカードは、【1-178R】《リヴァイアサン》を筆頭に【1-176H】《ユウナ》など、手札に戻すカードが思い浮かびます。

そう考えると、狙われる可能性が高いのは手札に戻されてしまうと損失の大きい【1-189S】《ティファ》ですね。
よって、「2」の方がリスクが低いと言えるでしょう。

正解、ではなくリスクが低いという答えには違和感を感じるかもしれませんが、実は「1」の選択も絶対間違いというわけではないのです。
読んでいる方の中には、ここで【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》がEXバーストする可能性についても考えた方もいらっしゃると思います。

この【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》がEXバーストしてしまうと【1-189S】《ティファ》からアタックした場合は、次に【3-017L】《ビビ》がアタックするためには彼女がブレイクゾーンにいくことになってしまい、大きな損をしてしまいます。この状況ではさすがに【3-017L】《ビビ》よりも【1-189S】《ティファ》の方が大切なので、ここは【3-017L】《ビビ》をブレイクゾーンに置くことを選択するでしょう。しかしそうなると、先ほど解説したアタックする機会を失っています。

あくまでEXバーストを気を付けるうえで重要なことは、EXバーストで狙われる可能性があるフォワードの攻撃を後回しにしないことです。
そして、それは重要なフォワードと攻撃の機会の両方を失ってしまう、最悪の状況を回避するためです。
ちなみに【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》がEXバーストしたときのように、必ずどちらかを失わなくてはならない場合は、大体の場面でアタックする機会のほうを諦め、重要なフォワードを残すようにするのがオススメです。

 複数のフォワードでアタックしていくときの順番の定石
・相手のデッキの属性から、EXバーストしそうなカードを予測する
・その予測に基づいて、狙われそうなフォワードからアタックしていく
・EXバースト自体は防げないので、EXバーストされたときにフォワードと、アタックする機会の両方を失わないように注意することが大事!


◆次回はさらにアタックフェイズのテクニックについて、さらに踏み込んで解説!

というわけで、今回の記事ではアタックフェイズにおける定石について、勝つためにはまずアタックすることが重要ということを主題にどのくらいアタックしていくべきか、どういう順番でアタックするべきかということを解説しました。

ここまでお話ししたことを踏まえて、1つ忘れないでほしいことがあります。
それは対戦相手のフィールドやブレイクゾーン、ダメージゾーンにある情報を読み取って、定石とは違うプレイをすることは決して悪いことではないということです。
プレイの指標として定石を大きく外れ続けるのは問題ですが、勝負所でそれを超えた選択をすることで相手の読みを外し、大きなリターンを狙うのは十分に戦略と言えます。

これまでにあげた例では論点をわかりやすくするため、あえてダメージやブレイクゾーンについての情報が実際のゲームより少なくなっています。
この記事を読んで「たとえばこのような状況なら、この定石だけでは対応しきれないのではないか」といった思考を巡らせていただけるようになれば、ここまでお話ししてきた定石についてはマスターしているといえます。
大切なのは定石を妄信して行動することではなく、目下の状況に対して定石が有効なのかを判断できるようになることなので、この「定石に収まる状況かどうか」を考えることは普段の対戦などでも意識してみてくださいね。

次回は、パーティアタックのしかけ時など、アタックフェイズに関しての定石を引き続き解説していきます。
それではまた次の記事でお会いしましょう!