名人戦に向けレベルアップ! 開発課愛澤のプレイング講座:序盤編

『FINAL FANTASY Trading Card Game』の公式記事連載。今週からは、12月開催の全国大会に向けて、開発課スタッフ愛澤によるプレイング解説記事を掲載していきます。大型大会での入賞歴もある愛澤によるプレイヤー目線での解説は必見です!

◆はじめに

『FF-TCG』公式記事連載をご覧の皆さん、はじめまして! ホビージャパンゲーム開発課の愛澤と申します。
最近開発課に入った新人ですが、『FF-TCG』は入社する前にプレイヤーとして遊んでいたため、今回記事を執筆させていただくことになりました。
よろしくお願いします!

さて、私の記事のテーマですが12月から開催される全国大会に出場して、ファイナリストを目指すことを目的にした一歩上を目指す『FF-TCG』プレイングガイドとなります。

「デッキを作ってみたので、次は大会に出てみようかな」
「大会には出てみたけど、どうすればもっと勝てるようになるのかな?」
と考えている方にぜひ読んでいただければと思います。

第1回となる今回は「ゲーム開始時と序盤」に焦点をあてて、考えておきたいポイントを解説しつつ、定石とされる行動はなぜ定石なのかといった点についてお話ししていきます。

なお『FF-TCG』がどんなゲームか、もっと基本的なルールやデッキの構築方法を知りたい方は以下の記事がオススメです。

『FF-TCG』を遊んでみよう!
入門編I:『FF-TCG』ってどんなゲーム?
入門編II:『FF-TCG』の始め方
入門編III:『FF-TCG』のルールをおぼえよう!

『FF-TCG』のデッキを作ってみよう!
[From One Card ~1枚のカードから~]【2-051L】《ヴァン》編
[From One Card ~1枚のカードから~]スターターセット「ファイナルファンタジー零式」編
[From One Card ~1枚のカードから~]数字で見るデッキ構築の方法

 

◆序盤の定石:まずはバックアップを2枚プレイするのが理想

『FF-TCG』ではまず、ゲーム開始時にお互い5枚のカードを引き、その後1回手札の引き直しができます。

最初の5枚の手札を見て引き直しをするかどうかですが、その際の判断基準は非常にシンプルで1~2ターン目にバックアップを2枚プレイできるかということだけです。
意図的にバックアップを少なく構築しているデッキでない限りは、基本的にこの条件を満たしているかを考えておけばOKです。

なぜバックアップ1枚ではなく2枚なのかということですが、バックアップを偶数にしておくことで、次のターンに発生するさまざまなパターンのコストの支払い方に対応しやすくなるためです。
たとえば、1ターン目に2コストのバックアップを2枚、その次のターンに2コストのバックアップを1枚追加といった立ち上がりは理想的な展開の1つといえます。

しかし、デッキに2コストのバックアップばかり入れても、展開は安定しますがデッキパワーが不足してしまうことが考えられます。バックアップにはCPを生み出すだけでなく【1-083H】《マリア》や【2-093H】《ラウバーン》のようにゲームを有利にしてくれる仕事をしてもらわなくてはなりません。そして、これらのカードはいずれもコストが重い傾向があり、たとえば1ターン目に2コストのバックアップと【1-083H】《マリア》とプレイすると手札がほとんどなくなってしまいます。

そこで役に立つのが1コストのバックアップをはじめとする奇数コストのカードです。
たとえば、こんな「風単」デッキを使っていたとします。

サンプルデッキ「風単tクラスゼロ」

カードNo. カード名 枚数
フォワード(28枚)
【1-080H】 《バッツ》 3
【1-084H】 《ヤ・シュトラ》 2
【1-199S】 《パイン》 3
【2-063R】 《パイン》 1
【2-065L】 《バルフレア》 2
【2-066R】 《バルフレア》 2
【2-069C】 《見せかけの旅人》 2
【3-051R】 《エイト》 3
【3-056H】 《ジタン》 2
【3-057R】 《セブン》 3
【3-064H】 《トレイ》 3
【3-154S】 《エース》 2
バックアップ(17枚)
【1-068C】 《幻術師》 2
【1-083H】 《マリア》 3
【1-088C】 《弓使い》 2
【1-089H】 《リュック》 3
【2-068R】 《フラン》 2
【3-062C】 《デュース》 3
【3-072R】 《レム》 2
召喚獣(5枚)
【2-049H】 《アスラ》 2
【3-061R】 《ディアボロス》 3

そして、初手ではこの5枚のカードを引きました。

この手札でゲームを始めてしまうと1ターン目に【1-083H】《マリア》をプレイしたあと、彼女が生み出すCPを活用しにくく非常に窮屈な展開になりそうです。もちろん、デッキから奇数コストのカードを引ける可能性はありますが、引けなかったときのリスクが高く危険です。この手札は、先の展開がドローに依存してしまうだけでなく「序盤に2コストのバックアップを2枚プレイする」という理想からも大きくかけ離れているため、これはマリガンしなくてはなりません。

しかし、2コストのバックアップがなくても、こういう手札だったならどうでしょうか。

これなら1ターン目に【1-083H】《マリア》、2ターン目に【1-083H】《マリア》からのCPで【1-068C】《幻術師》をプレイすればよく、2ターン目までにバックアップを2枚プレイできるので十分にいいスタートを切れたと言えるでしょう。その後にバックアップを引けなくてもまだ【2-065L】《バルフレア》や【3-064H】《トレイ》をプレイする選択肢があります。

このように「2コストバックアップを2枚」という理想のパターン以外にも、それに近い動きを取れるようにデッキ構築の段階で意識しておくと序盤の展開が安定します。

また、3コストのカードでフィールドに出たときのオートアビリティでカードをサーチできるものも「実質的に1コストのカード」として運用できます。このアビリティを持ったカードは属性、カードタイプを問わず多く存在しており、風属性なら【1-079R】《ノラ》、【2-063R】《パイン》、【2-066R】《バルフレア》などがあります。

▲なかでもフォワードを出しつつバックアップをサーチできる【2-063R】《パイン》と【2-066R】《バルフレア》は序盤にプレイできれば展開がグッと締まります。好き!

繰り返しになりますが、序盤における理想の展開は1ターン目に2コストバックアップを2枚プレイし、そこからさらにバックアップをプレイすることになります。そうすれば、次のターンには上記の3コストのカードたちも手札を消費せずにプレイできるので、手札というリソースを潤沢にキープしたまま中盤戦に突入できるでしょう。
しかし、いつでもそう好都合な手札に恵まれるわけではないので、奇数コストのカードでそれを補い、なるべく安定した展開を目指せるようにすることが重要というわけです。
ちなみに、1ターン目にバックアップを1枚しか出せなかったときのフォローのための1コストと実質的に1コストとして扱えるカードは、おおよそ5枚前後入れておくのがオススメです。

ゲーム序盤の体勢を整えるために意識しておきたいこと
・まずはバックアップを2枚出すことを目指す
・初手を見て、バックアップを2枚出せなさそうな手札は引き直していく
・プレイしやすい2コストのバックアップ以外の重いバックアップも入れる必要があるので、デッキ構築の段階で1コストや実質的に1コストのカードを入れてフォローする

 

◆常に「次のターン」のことを考えよう

続いて、2ターン目以降の動き方を考えていきましょう。

後攻の1ターン目にバックアップを2枚プレイできた、2ターン目のフィールドです。ここからの選択が『FF-TCG』をプレイしていくなかで悩むことの多いポイントではないでしょうか。
手札の消費なく2コストのバックアップをプレイし、バックアップを3枚にしてターン終了するか、それともさらに手札を1枚コストにしてバックアップを4枚にするか。はたまた手札1枚を使って【2-065L】《バルフレア》や【3-064H】《トレイ》をプレイするか、実に多くの選択肢があります。この選択肢の多さが『FF-TCG』の魅力でもありますが、同時に悩ましいポイントでもあります。

ここで大切なのは、次の自分のターンにどんなカードをプレイしたいのかということです。
次のターンといっても、次のドローフェイズで引くカードや、その前に相手が取ってくる行動しだいで変わるのではないかと思われるかもしれませんが、ひとまずそれらは置いておいて、今ある情報のなかだけで次のターンのベストな行動を決定し、それが実行できるように準備するようにしましょう。

たとえばこの状況の場合、

上図のようにバックアップを1枚だけ展開してターンを終えてしまうと、このターンでのリソースの消耗はおさえられますが、次のターンに奇数コストのカードを引き込めない限り、バックアップを余らせてしまう可能性が高いです。『FF-TCG』では毎ターン2枚ドローできるので、もちろん奇数カードを引き込める可能性もありますが、それに期待していては安定した戦いは望めません。

ここでは、残る手札から考えると、

手札の【3-061R】《ディアボロス》をコストにしてバックアップを4枚にしておき、次のターンに4コストのフォワードを手札を使わずにプレイできる態勢を整えていくほうが最終的にロスのない展開につながるはずです。

このように、今の手札で次のターンに実行できるベストな行動を思い浮かべ、それができるように準備するプレイが『FF-TCG』では重要です。
そして、当然ですが次のターンになったら相手がどう動いたか、そしてドローステップを何を引いたかによってベストな行動は変化することもあります。そうなったら、再び次のターンを意識してカードをプレイしていきましょう。

ちなみに、これは「序盤にバックアップを1枚ではなく2枚プレイする」という基準にも通じるのですが、フィールドのバックアップの数を偶数にするか奇数にするかで迷ったら、偶数にしておく方が裏目を引く可能性が低いのでオススメです。
なぜかというと、バックアップが偶数の状態なら奇数コストのカードを2枚プレイするときに無駄なくコストの支払いができるからです。
先述の状況では4コストのフォワードをプレイするためにバックアップを4枚にしましたが、こうしておけば、もし仮に次のターンのドローで奇数コストのカードを2枚引いたときにも無駄なく対応ができます。

もちろん、ゲーム中は奇数コストのカードを1枚だけプレイしてターンを終えることもよくあるので、常にバックアップを偶数にしておくことが正しいわけではありませんバックアップは5枚までしかフィールドに出せないので、プレイできるからといってバックアップを出していくと、アビリティが強力なバックアップを置けない状況に陥ることもあります。
しかし、どちらというとバックアップは偶数にしておいた方が次のターンの選択肢を広くとれるということは、悩んだときの判断基準にはなるのではないでしょうか。

いいスタートを切れたときに、その体勢を維持するために意識すること
・今ある手札で次のターンでベストな行動は何かを考える
・そのベストな行動をもっとも無駄なく行なえるようにバックアップなどをプレイし、準備する
・相手の行動や、次のターンのドローでベストな行動が変わったら、また次のターンのことを考えてベストな行動を決める
バックアップの枚数を偶数にするか奇数にするかで悩んだら、偶数にしておく方が裏目が少ない

 

◆「ドローは助けてはくれない」と考えよう

さて、ここまで「安定」や「無駄なく」と、口をすっぱくして言ってきましたが、私がもっとも『FF-TCG』で対戦するうえでもっとも大切だと思っていることは次のターンのドローは自分を助けてはくれないと思ってプレイするということです。『FF-TCG』は『FINAL FANTASY』シリーズの魅力的なキャラクターが多数登場するとても楽しいゲームですが、一方で競技的なカードゲームとしては、リソースを効果的に使い切ることがダイレクトに勝利につながるシビアな側面もあります。

そのなかで次ターンのドローがあるから何とかなるだろうという考えでカードをプレイするのは(ついついやってしまいがちですが)できる限り避けたほうがいい行動だと私は考えています。
なぜかというと、これは特にバックアップについて言えることですがコストを支払って出したカードを使えないことによる損失が非常に大きいからです。
たとえば、手札を1枚使って出した2コストのバックアップには、その時点でカード2枚ぶん、つまり4CP相当のコストがかかっています。そのバックアップのアビリティを考えない場合、このコストを回収するためには4ターンかかるわけです。そのため、期待したカードが引けず、プレイするカードがなくてバックアップを使わずにターンを終えるとものすごく損をしてしまいます。もちろん、カードの引きしだいではどうしようもない場面もありますが、支払ったコストを回収できないリスクはできるだけ避けるべきです。

『FF-TCG』では、光・闇属性でなければどのカードも手札からコストにあてられるので、今とその次のターンを考えれば、ひとまず損をしない道筋は高い確率で見つかるはずです。「今こう動いておけば、次のターンに有効なカードを引けなくてもこれを無駄なくプレイできるな」と計画を立ててプレイすることが『FF-TCG』のプレイングでは非常に重要になります。


◆次回は序盤のメインフェイズについて解説!

というわけで、今回はゲーム序盤やそれ以前の段階から始まっているプレイングについて解説しました。
『FF-TCG』では完全な正着手というものはわかりにくく、そもそも存在しない場合すらあります。今回あげたさまざまな状況も、対戦相手のデッキやフィールドの状況によっては必ずしも正解になるわけではありません。
非常に選択肢が多く、プレイしていて考え込んでしまうことも珍しくない『FF-TCG』ですが、これからの一連のコラムがそんなときに判断を下す際の助けになればと思います。

冬季大会に向けたステップアップコラムは、これからもどんどん更新していく予定です。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう!