【FF-TCG】「MASTERS2017 THE AFTER」参加者必見! 強豪プレイヤーに聞くブースタードラフトの極意 前編

『FINAL FANTASY Trading Card Game』の公式記事連載。今回は、先週まで紹介してきたシールド戦に続いて、今週からは「MASTERS THE AFTER」大会の決勝ラウンドで行なわれるブースタードラフト戦を特集。ドラフトにおけるデッキ構築の考え方やカードの評価方法、カードをピックする際の考え方などを強豪プレイヤーに伺います。

◆いよいよ「MASTERS FINAL」「MASTERS THE AFTER」開催迫る!

皆さん、こんにちは。カードゲーマー編集部の編集(川)です。先々週から2週にわたってお届けしたシールド戦特集に続いて、今週からはブースタードラフト戦の基本的な考え方やテクニックを強豪プレイヤーに伺ってきましたので、その模様をお届けしたいと思います。シールド戦の記事とあわせて「MASTERS THE AFTER」に参加される方はぜひ参考にしてみてください。

それではさっそくどうぞ!

◆ブースタードラフト戦の基本的なルール

ブースタードラフト戦では、1人4つのブースターパックを使用してデッキ構築を行ないます。
手順としては、まず各プレイヤーがパックを1つを開封し、出たカードのなかから使いたい1枚を取ります。これを「ピック」と言います。
ピックが終わったら、左隣のプレイヤーに残りのカードを渡し、右隣のプレイヤーからカードを受け取ります。そして、そこからまたカードを1枚ピックします。これをカードがなくなるまで繰り返します。
カードがなくなったら次のパックを開封し、またカードをピックしていきます。ただし、今度はカードを右隣のプレイヤーに渡し、左隣のプレイヤーから受け取ります。3パック目はまた左回りになり、4パック目は右回りになります。
4パックぶんのカードピックが終わったら、ピックしたカード(48枚あります)を使ってデッキを構築し、ゲームを行ないます。

▲1パック目、3パック目は図のように左回りにパックを渡しながらピックを進めていきます。2パック目、4パック目は右回りになります。

 

◆ブースタードラフト戦の、通常の対戦と異なるルール

ブースタードラフト戦でも、シールド戦と同様に一部専用のルールが適用されます。

・デッキの枚数は40枚以上、上限はなし
・同じカード番号のカードを4枚以上デッキに入れてもよい
・対戦相手にダメージを6点与えれば勝利

 

◆ブースタードラフト戦の基本的な考え方、コツを聞く!

今回、お話を伺ったのは「FINAL FANTASY Trading Cardgame Opus Series Opening Tour FINAL」の優勝者でもあるmasterさんです。

master(ますたー)
『FF-TCG』だけでなく、他のカードゲームでも好成績を残しているマルチプレイヤー。
『FF-TCG』では腰の重いコントロールデッキを好み、盤面を掌握して勝利を目指すスタイルを取ることが多い。

 

――ブースタードラフト戦は、構築戦やシールド戦と違ってカードプールの全体像が見えないなかでデッキを考えなくてはならないので、とても難しい印象がありますね。うまいやり方があれば教えてください!
master:確かにカードプールを把握しないまま、それぞれのプレイヤーが自分の欲しいカードを取り合うことになるため、ブースタードラフト戦は駆け引きも含めた戦略がより求められるフォーマットですね。ただし、ある程度の指針を立てることはできます。いくつかポイントを上げてみましょう。

ブースタードラフト戦におけるデッキ構築の指針
・デッキは40~42枚くらいで構築する
・バックアップよりもフォワードを重視してピックを行なう
・デッキは2属性か、多くても3属性までにまとめる

 

master:まず1つ目のデッキ枚数についてですが、これは構築方法というよりも心構えに近いものかもしれません。
――:どういうことでしょうか。
master:シールド戦では12枚×9パックで108枚のカードでデッキを構築できますが、ブースタードラフトではピックが終わったあと48枚しか手元にカードが残りません。つまり、デッキに入らないカードは最大でも8枚しかピックをする余裕がないということです。その点を重視し、一貫性のあるピックをする必要があります。
――:シールド戦ではデッキ枚数を40枚ちょうどにすべきという話があったのですが、ブースタードラフト戦ではその限りではないのでしょうか。
master:ブースタードラフト戦ではカードが足りないことの方が多いので、基本は40枚に収まると思います。カードプールのなかから最大のパワーを発揮するように組むシールド戦に比べて、さらにこう着したゲーム展開になることもあるので、カードパワーがしっかりあり、かつ属性があっているならデッキ切れ対策として1、2枚増やしてもいいでしょう。

――:パックアップとフォワードではフォワードを優先するというのは、シールド戦と同じですね。
MASTER以前もお話しさせていただいたのですが、デッキ全体の1/3をバックアップにしたいので、各パックごとに3枚はバックアップをピックするようにして、さらにどこかで1、2枚バックアップをピックしましょう。つまり1パック12枚のうちフォワードと召喚獣を8~9枚、バックアップを3~4枚ピックするのが一つの理想となります。

――ブースタードラフト戦でピックするべきフォワードとバックアップというのは、どういう基準で評価すればいいのでしょうか。
masterフォワードはパワーが高く、ブレイブを持つものを優先しましょう。
――シールド戦で重要な能力はヘイストといわれていましたが、ブースタードラフト戦ではブレイブに着目すべきということですか。
master:フォワードの数をそろえにくいことと、属性がバラつきやすいためパーティアタックにいきにくいことに加えて、与えられたカードプールから強いカードを選りすぐってデッキを組むシールド戦にくらべてブースタードラフト戦では除去手段がさらに限定される傾向にあるため、高パワーのフォワードの価値はさらに高まると考えています。そして、召喚獣での除去ができないならば、攻めだけでなく守りもフォワードに頼ることになるわけですが、その際にはブレイブが活きます。【3-080R】《玄武のルシ ギルガメッシュ》などは見かけたら優先的にピックしましょう。

――高パワーとブレイブの次に重視することはなんでしょうか。
masterフィールドに残ることで戦闘を有利に進めさせてくれるカードです。高パワーのフォワードで押していければいいのですが、いつもそうできるとは限りません。また、相手の高パワーフォワードに負けない戦い方をさせてくれるカードも重要になります。たとえば高コストのフォワードにブロックされない能力を持つ【3-057R】《セブン》や、フォワードを除去の弾にできる【3-013R】《サラマンダー》などですね。特に【3-013R】《サラマンダー》は自身のパワーも高く、1ターン生き残ることができれば盤面に大きくプレッシャーをかけられます。

――相手の高パワーフォワードに押し切られないようにする工夫が大事ということですか。
master:はい。また、これらのフォワードはフィールドに残っていると大きな脅威となるため、相手の除去を引きつけられます。結果、こちらの主力となる大型フォワードが生き残りやすくなるのも見逃せない長所です。
――能力が強いフォワードは、主力を活かす布石にもなるということですね。
master:そして、高パワーフォワードをめぐる戦いが中心になる以上、除去カードもそれに応じた基準で評価する必要があります。具体的に言うとコストが軽くEXバーストもあって一見使いやすそうな【3-061R】《ディアボロス》よりも、コストが重くて一時的な解決手段であっても【3-035H】《シルドラ》のようなカードを優先しましょうということです。
――コストよりも効果の強さを重視するべきということですか。
master:はい、ブースタードラフト戦は6点のダメージで決着がつくため、たとえ一時的な効果であっても、相手をしっかり無力化できるかということが大事になります。同じ理由で【3-032R】《シヴァ》なども高く評価しています。
ブースタードラフト戦では、ゲームの中心となる大型フォワード以外はほとんどが相討ちか、相手の主力となる大型フォワードを倒したあとのダメージ要員となることがほとんどです。なので、コストが重いなど多少のデメリットがあっても、相手の主力への対策手段はしっかり確保しましょう。
――大型フォワードとそれに対抗する手段、そして除去が重要ということですが、パワーを操作するカードの評価はどうでしょうか。
master:それらのカードも能力が強力なカードとして考えていいでしょう。【3-008C】《クラウド》などが該当しますね。ただし、これらのカードも強いのですが、たとえばアビリティの起動に除去をあわせられるなどすると、効果が不発になって想定外の被害を受けてしまうことがあります。複数のカードを組み合わせることになるので、単体で強いカードほど信頼すると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあることは忘れないようにしたいですね。

◆バックアップ、そして3属性のカードを無駄なくピックするには?
――フォワードについてのピック基準は少しわかってきた気がします。次に、バックアップの評価基準についてはどうでしょうか。ピックをするタイミングなどについてもあわせてお話しいただけますか。
master:除去として機能するものや、代わりの効かない強力なアビリティを持つ【3-047C】《砲撃士》や【3-132R】《クイーンアチョ》などは、純粋にカードとして強力なため、属性があっていれば優先してピックしましょう。
それに対して、通常の2コストバックアップは他に欲しいカードがなくなってからピックしても遅くはありません。たとえば4人でドラフトする場合、自分が開封したパックは1手目、5手目、9手目で回ってきますが、属性があっているという理由で投入するバックアップは2週目以降でピックしていきましょう。先ほども言いましたが、1パックのうちに3~4枚バックアップをピックできれば数は足りるはずなので、バックアップに関しては急ぎすぎないで大丈夫です。

master:ほかのプレイヤーと属性が重複して奪いあいになったり、パックから出てきたバックアップの属性に偏りがあった際は工夫が必要となることもありますが、慣れないうちは折り返し地点となる2パック目までに、自分の使いたい属性のバックアップを6枚ピックすることを目安にしておけばいいでしょう。バックアップはデッキの屋台骨になる部分なので早めに整えたくなる気持ちもわかりますが、フォワードをしっかりピックしていかないと「しっかり回るけれど勝てない」というデッキになってしまいがちなので注意してください。

――構築の最後のポイントである、デッキの属性を2~3属性に抑えるためにはどのようなことを意識すればいいのでしょうか。
masterカードが少なくなってくると選択肢がなくなるというのが、デッキの属性をまとめるうえでの課題になります。つまり、逆に言えば余っているカードがデッキに入るようなら無駄なピックを減らせるわけです。なので、パックの序盤は単純に強力なカードをピックしていきますが、パックが1周したあたりからは逆に「次にこのパックが回ってきたときに何が残ってそうか」ということを考えていくといいでしょう。たとえば能力を活かせない2コストバックアップや、低コストのフォワードなどが余りがちです。それを予見できれば「じゃあ先に、この属性のそこそこ強いフォワードをピックしておいて、最後に来たものはCPを出すためのカードとして考えよう」というようなプランが立つわけですね。
理想的な流れとしては、序盤は単純に強力なカードを2属性くらいに絞ってピックしていき、中盤になったら終盤に余りそうなカードを予想して3属性目に手をのばし、終盤はその余ったカードをピックする、ということになりますね。また、3つ目の属性としてピックするカードは偶数コストを優先するといいでしょう。
――それはどういう理由でしょうか。
master3つ目の属性はバックアップをピックできるかどうかが不確実だからですね。サブとなる3つ目の属性のために、早い巡目でメイン2属性のカードをピックせずにその属性のバックアップをピックするのは本末転倒です。なので、サブの属性に関してはバックアップがなくても無駄なくプレイできる偶数コストのカードを優先しましょう。さらに偶数コストでも2コストのカードは盤面におよぼす影響が小さいため、なるべく4コスト以上のカードをピックするようにしたいです。

masterさんによるブースタードラフト環境解説まとめ
・ゲームの中心は大型フォワード。特にブレイブを持っているものは攻防にわたって活躍する
・自分も強力な大型フォワードを用意するか、あるいは相手の大型フォワードに対処できるデッキにすることが重要。コストの重い、軽いよりも効果が強いかを重視しよう
・ほかのカードと組み合わせて真価を発揮するカードを使わざるを得ないこともあるが、過信は禁物。あくまで単体でどれほど仕事ができるかを考える
バックアップはフォワードや召喚獣より優先順位は低い。一部の強力な能力を持つもの以外は後回しでもOK
デッキは基本的に3属性になるので、目立って強いカードがなくなったあとは、3属性目が何になりそうかを意識してカードをピックしていこう。

 

◆来週の後編では実際にカードをピックしてデッキ構築の道のりをたどります!

というわけで、今週はmasterさんにブースタードラフト戦の基本的な考え方を伺いました。
来週の記事では、実際のカードパックから具体的にどういうことを考えてピックするカードを決めるのか、masterさんと一緒にその過程をたどっていきますのでお楽しみに!

ではまた、来週お会いしましょう!