【FFTCG】今年は「Chapter」シリーズ10周年のメモリアルイヤー! カードで振り返る当時の『FFTCG』#2

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は、今年で10周年のメモリアルイヤーとなる「Chapter」シリーズを振り返る記事の第二回をお届けします。

◆はじめに
皆さん、こんにちは。カードゲーマー編集部の編集(川)です。

2021年2月25日で『FFTCG』は10周年を迎えました!

いまは仕事で『FFTCG』に携わっていますが、当時から遊んでいた1ユーザーとしてもとてもうれしく思います。このまま15周年、20周年と長く続いてほしいですね。

さて今回は、10周年を迎えた『FFTCG』の「Chapter」シリーズを振り返る記事の第二回をお届けします。

過去の「Chapter」シリーズ振り返り記事はこちら!▼

#1(「Chapter I」)

それでは、さっそく始めていきましょう。

◆「Chapter II」登場による変化は……?
『FFTCG』の黎明期、「Chapter I」環境を制したのは「風雷ジタン」デッキでした。効果に選ばれず、コスト4以上のフォワードにブロックされない【1-060S】《ジタン》は当時のカードプールでは対処が困難で、これを【1-051U】《アレキサンダー》や【3-103R】《オーディン》といった優秀な除去でバックアップするデッキが環境を席巻しました。

そして「Chapter II」が発売されてどうなったかというと……なんと変わらずトップを走っていたのは「風雷ジタン」でした。

「Chapter II」では新たに小型フォワードを除去する【2-068S】《カイン》と、手頃なアタッカー兼ブロッカーだった【1-068U】《ホープ》をサーチできる【2-042C】《ノラ》が加わり安定感がより高まっていたのです。

一方「氷雷」や「火風」といった「風雷ジタン」に対抗していた別のデッキたちですが、まず「氷雷」はトップ争いからやや脱落気味に。その理由は新カードの【2-001U】《アーヴァイン》。

このカードによって氷系のデッキを支える柱であった【1-042R】《ティナ》や【1-038S】《スコール》がより簡単に除去されるようになってしまったのです。また、先述した【2-068S】《カイン》も同様に天敵となりました。

こうして「氷雷」が衰退するなか、逆に「火風」は躍進します。

【2-001U】《アーヴァイン》でバックアップが強化されただけでなく、【2-009S】《ティファ》によって【1-005C】《クラウド》がコスト2でパワー6000として運用しやすくなったり、同じくコスト2でパワー4000、ゲーム中盤以降は大型フォワードとの相打ちも狙える【2-006U】《サッズ》が加わったりと、対《ジタン》性能を落とさずにデッキパワーが底上げされました。

そして、それ以外の属性も新カードの登場によってそれぞれに相方を見つけて頭角を現してきます。まず雷属性では【2-073R】《サイファー》と【2-067U】《イデア》。

【2-073R】《サイファー》のスペシャルアビリティは【1-060S】《ジタン》や対《ジタン》用の小型フォワードをまとめてブレイクできます。そして【2-067U】《イデア》は大型フォワードによるブロックを許さないという能力で、この2枚を中心とした「火雷」や「水雷」デッキが誕生しました。

土属性では【2-058R】《スカルミリョーネ》と【2-060S】《プリッシュ》が注目されました。

【2-058R】《スカルミリョーネ》は今でいう「バックアタック」を持ったフォワードで、アタックしてきた【1-060S】《ジタン》を奇襲的にブロックすることができます。

【2-060S】《プリッシュ》は【1-051U】《アレキサンダー》を召喚されても状況によっては平気なフィニッシャーとして重宝されました。パワー9000+ブレイブなので、よく採用されていたパワー8000+先制攻撃の【1-162S】《セフィロス》がいても気にせずアタック、ブロックができる点も評価されていました。

そして土属性からはもう1枚、その後長く定番となるバックアップが登場します。【2-059U】《セルフィ》です。

火、風、土、水の4属性のCPを共有してくれるこのカードの登場により、3属性以上のデッキも登場するようになります。

そして、はじめて環境に現れた3属性デッキはというと「土雷タッチジタン」でした。

ここまで紹介してきた土、雷の優秀な新カードと「Chapter I」環境の「風雷ジタン」を合体させて【1-060S】《ジタン》をはじめとする優秀な風属性のパーツを少し残すといういいとこ取りの構成で、多少安定性に難がありましたが、純正の「風雷」や「土雷」に混じって存在感を発揮し、第1回全国大会では「風土雷」デッキが優勝するまでになりました。

 

◆「Chapter III」で氷、水属性にもスポットライトが当たる!
こうして「Chapter II」までは【1-060S】《ジタン》環境といってもいい状況でしたが、「Chapter III」からは少しずつ新機軸のデッキが登場してきます。

まず、これまで今ひとつ元気がなかった氷、水属性に強力なフォワードが登場します。そのカードとは【3-024S】《ジェネシス》と【3-098S】《レナ》です。

この2枚は現在の「Opus」シリーズでも同じアビリティを持って登場しており、さまざまなデッキに採用されました。「Opus」からのユーザーの方もこれらのカードを使った、使われたという経験はあるのではないでしょうか。

それだけこの2枚が優れたデザインということだと思いますが、「Chapter」の当時もこれらのカードを見て「これだよ、氷(水)使いが求めているモノは!!」と興奮した覚えがあります。

どちらのカードも【1-103R】《オーディン》や【1-051U】《アレキサンダー》で除去されてしまうのですが、オートアビリティによってアドバンテージの損失を防いでおり、「じゅうぶんなカードパワー」と「除去されたときのスキの少なさ」を併せ持つカードとして高く評価されました。

氷属性はこれ以外にも「Chapter III」で一気に新戦力を充実させます。それが【3-018R】《ヴァイス》と【3-031U】《ネロ》のコンビです。

【3-018R】《ヴァイス》は「Chapter II」で登場した「リンク(フィールドに出たとき、対応した属性・コストのフォワードを手札から出せるアビリティ)」を持っており、1枚で複数のフォワードを展開できます。

このころはまだ全体除去カードが少なく、フォワードの同時展開はそれだけで強力でした。このアビリティで【3-031U】《ネロ》を出せばパワー8000で出てくるというのも優秀でしたね。

さらに【3-018R】《ヴァイス》は単体で見ても高コストフォワードの天敵である【1-051U】《アレキサンダー》が効かず、アタック時はパワー10000になるので【2-060S】《プリッシュ》にもパワー負けしないという、環境的に評価される要素をいくつも持ったフォワードでした。

一方の【3-098S】《レナ》もフォワードを複数展開できるアビリティを持っており、単体除去に耐性があるだけでなく、【1-133S】《ティーダ》のような、フォワードが並ぶと強くなるという水属性の特性に非常にマッチしていました。

そして水属性にはもう1枚、頼もしいカードが加わります。【3-083R】《アーシェ》です。

このカードは火属性の除去を受け付けず、さらに氷や雷属性のカードでダルにされても自力でアクティブになるというディフェンス面の優秀さが際立つフォワードでした。

さらにスペシャルアビリティを使えばほとんどのフォワードを一方的に打ち取れるパワーになるため、このカードがいるときにアタックやブロックをするときは「もう1枚《アーシェ》を持ってるのかな……?」と恐る恐るプレイしていましたね。当時はまだこの1種類しか《アーシェ》がなかったのも逆に悩ましいポイントでした。

「Chapter III」は他にも優秀なカードが目白押しでした。
風属性では【3-043S】《バルフレア》と【3-044U】《バルフレア》、そして【3-045U】《フラン》。「Chapter III」の発売記念大会のプロモーションカード【PR-020】《フラン》とあわせてよく見かけました。

【3-044U】《バルフレア》は当時まだ珍しかったバックアップをサーチできるカードで、序盤の展開を安定させてくれる(くどいですが、コスト3なので【1-060S】《ジタン》対策にもなります!)とともに、あるときはスペシャルアビリティのコストに、またあるときはアタッカーの補充にと活躍しました。“いぶし銀”という言葉がピッタリでしたね。

また【3-053S】《ヴィンセント》の登場も大きな反響を呼びました。

【1-103R】《オーディン》や【1-112U】《シーモア》といった定番の除去を受け付けず、かつパワーもコスト相応にあり、スペシャルアビリティを使えば複数のフォワードを除去できるというハイスペックぶりで、「Chapter I」から続いてきた「単体除去で対処されにくい優秀なフォワードをサポートして攻める」という王道の戦略に待ったをかける新境地のカードでした。

さらに、召喚獣では【3-086U】《暗黒の雲ファムフリート》と【3-094C】《不浄王キュクレイン》などが登場。

どちらも汎用性の高い除去手段でありながらEXバーストを持ち、手札からの召喚も現実的、ただし効果を活かせるように多少デッキ構築を工夫する必要があるという絶妙なバランスのカードで、水属性デッキでは長く定番カードとして愛されました。

コストや効果が違うバリエーションものちに複数登場し、水属性の除去はこの2枚をベースに「フォワードをブレイクゾーンに置かせる」、「パワーをマイナスする」という方向性が決まっていった感があります。

こうして【1-060S】《ジタン》から始まった『FFTCG』のメタゲームは、優秀な低コストフォワードや「リンク」をはじめとする単体除去への耐性を持つフォワードの増加により、様変わりしていきます。そして“第2のジタン”が登場する「Chapter IV」へと続いていくのでした。

◆おわりに
『FFTCG』の「Chapter」シリーズ昔話、「Chapter II」、「Chapter III」編をお届けしました。

「Chapter IV」以降は新しいセットが出るたびにまったく新しい戦術を採るデッキが誕生し、『FFTCG』は激動の時代を迎えることになります。「MASTERS」などの競技性の高い全国大会が定期的に開催されるようになるのもこのころですね。

次回はそんな「Chapter IV」以降の環境について、振り返っていきたいと思います。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!