【FFTCG】デッキテク:“名人”謹製の「ドロタボーコントロール」デッキを徹底解剖!

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「CRYSTAL CUP LIGHTNING」で第2期名人のぱっつぁんさんが使っていた「ドロタボーコントロール」のデッキテク記事をお届けします。

◆はじめに
皆さん、こんにちは。カードゲーマー編集部の編集(川)です。

9月28日、29日の2日間にわたって京都で「CRYSTAL CUP LIGHTNING」が開催されました。
構築戦とブースタードラフト戦の2フォーマットで合計9回戦の予選を行ない、そこから上位8名に残った選手による決勝ラウンドという長い戦いを制したのは しらたま さんでした。

見事優勝を果たしたしらたまさんについては来週、デッキ選択や大会の振り返りなどのインタビュー記事を掲載いたしますので、こちらを楽しみにお待ちください。

今回は「CRYSTAL CUP LIGHTNING」の会場で見かけた、この「Opus IX」環境末期に突然現れた意欲作なデッキを紹介したいと思います。

大会前から活躍が予想されていた「風単」「風水」「氷単」「火氷」「土単」、そして決勝戦では同型対決となった「アグリアス」デッキなどとあわせて『FFTCG』の多様性をあらわす非常におもしろいデッキなので、ぜひそのポテンシャルを確かめてみてください。


◆名人のデッキテク:ドロタボーコントロール
STEP1:どんなデッキなの?
――というわけで、第2期“名人”のぱっつぁんさん、よろしくお願いします。
ぱっつぁん:よろしくお願いします。

――ぱっつぁんさんは今回【5-088C】《ドロタボー》imageをフィーチャーした土属性のコントロールデッキで予選ラウンドの構築戦では4勝2敗、最終成績9位で終えられました。まずはこの「ドロタボーコントロール」デッキのリストから見てみましょう。

CRYSTAL CUP LIGHTNING使用:「ドロタボーコントロール」

カード番号 カード名 枚数
フォワード(12枚)
9-076H ラーケイクス 2
5-163S ウリエンジェ 1
9-115R ポロム 1
1-158H 暗闇の雲 3
7-129H ガルデス 2
4-147H ケフカ 2
5-148H カムラナート 1
バックアップ(20枚)
5-093C モグ [MOBIUS] 2
9-074C モーグリ -10組- 2
5-082C 採掘師 3
5-091H 星の神子 1
6-079L ミンフィリア 2
8-069R アプルル 1
1-107L シャントット 3
9-097C モーグリ -6組- 2
1-137R シーモア 2
1-184H カオス 1
9-124H ガストラ皇帝 1
召喚獣(5枚)
1-062L ヴァルファーレ 2
3-112H 審判の霊樹エクスデス 3
モンスター(13枚)
4-012C ゴブリン 1
5-071R レヤック 3
8-056R デスゲイズ [IX] 1
5-088C ドロタボー 3
6-070C 巨人 2
8-080C プーマ夜光 2
5-101H オーディンダスク 1

――一見してモンスターを使ったコントロールデッキだな、とはわかるのですが【5-088C】《ドロタボー》imageをはじめ【5-101H】《オーディンダスク》image、【6-070C】《巨人》imageなど、見慣れないカードがたくさん投入されています。

まずは、このデッキがどういう戦い方をするものなのか、簡単に説明していただけますか。

ぱっつぁん:このデッキはモンスターを軸にしたコンボ・コントロールデッキです。序盤は【6-070C】《巨人》imageや【4-012C】《ゴブリン》imageを復活させつつ、ヘイストを得た【5-163S】《ウリエンジェ》imageなどで1~3点くらいのダメージを与えながらモンスターを並べていきます。

そして、フィールドにじゅうぶんな数のモンスターが並んだら【4-147H】《ケフカ》imageを出し、【4-012C】《ゴブリン》imageでヘイストを付与、それにあわせて【1-062L】《ヴァルファーレ》imageでフォワードをすべて手札に戻し、フォワード化したモンスターたちで一気にダメージを与えて勝利します。

コストのかかるコンボに見えますが、【5-091H】《星の神子》imageを含むバックアップ5枚があれば、【5-091H】《星の神子》imageのアビリティで【4-147H】《ケフカ》imageを出す→【4-012C】《ゴブリン》imageをサーチして出す→【1-062L】《ヴァルファーレ》imageを召喚する、という一連のアクションを手札1枚のコストだけでできます。

――手札が【4-147H】《ケフカ》imageか【1-062L】《ヴァルファーレ》imageのどちらか1枚だけでも、ドローフェイズに2枚カードを引いてコンボパーツがそろえば始動できてしまうわけですね。


STEP2:投入された各カードの意味
――では次に【5-088C】《ドロタボー》image以下、投入された各カードの役割についてお話しいただけますか。

ぱっつぁん:このデッキに入っているカードは、おおむね以下の3つの要素にわけられます。

・コンボパーツ:【4-147H】《ケフカ》image、【4-012C】《ゴブリン》image、【1-062L】《ヴァルファーレ》image
・コントロール手段:【5-088C】《ドロタボー》image、【1-158H】《暗闇の雲》image、【3-112H】《審判の霊樹エクスデス》image、【1-107L】《シャントット》imageなど
・アドバンテージ源:【5-163S】《ウリエンジェ》image、【9-115R】《ポロム》image、【5-071R】《レヤック》image、【8-080C】《プーマ夜光》imageなど

コンボパーツについては先ほどお話ししたので、コントロール手段の解説をすると、このデッキのコントロール手段は【5-088C】《ドロタボー》imageによる妨害と全体除去という2つになります。この2つでコンボがそろうまでの時間を稼いだり、フォワード化したモンスターがアタックに行ける体勢を整えます。

全体除去として入っているカードはいずれもモンスターと相性がよく、こちらには被害を出すことなく相手のフォワードをまとめて倒せます。

【5-088C】《ドロタボー》imageは直接除去ができるカードではありませんが、相手の選択肢を狭めることで、こちらに有利な展開へ運んでいってくれるカードです。

たとえば、相手のフォワードがアタックしてくるときに【5-088C】《ドロタボー》imageを使うと、

・コストを支払って攻撃してきた → 後続のフォワードを展開できず、またこちらの反撃にも対応しづらくなる
・コストを支払わず後続を展開してきた → 全体除去で一掃

と、どちらの結果でもこちらに有利な展開に持ち込むことができます。

また、コストの支払いが苦にならないようバックアップを並べてくるようなら、そのぶん向こうの攻めが遅くなるので、こちらのコンボ発動が間に合うといった具合ですね。

そして、ここに【5-071R】《レヤック》imageが絡むことで、アタックやブロックにかかるコストをさらに増やせるので、より強力に相手の行動を制限できます。

このデッキには【5-163S】《ウリエンジェ》image、【9-076H】《ラーケイクス》image、【7-129H】《ガルデス》imageと、【5-071R】《レヤック》imageを回収できるカードが3種類入っているので【5-088C】《ドロタボー》imageと【5-071R】《レヤック》imageで相手を足止めしつつ、これらのカードでダメージを与えていくこともできます。

【5-071R】《レヤック》imageはアタックに行った【6-070C】《巨人》imageもアクティブになるので、強気な攻めも可能になります。【5-088C】《ドロタボー》imageに次ぐキーカードと言ってもいい存在です。

最後にアドバンテージ源についてですが【8-080C】《プーマ夜光》imageが軸になっています。モンスターを回収できるフォワードと【8-080C】《プーマ夜光》imageでループしますし、そこに【9-115R】《ポロム》imageなどが混ざれば召喚獣も再利用できます。

この【8-080C】《プーマ夜光》imageや、コンボパーツとなる【4-147H】《ケフカ》image、【1-062L】《ヴァルファーレ》imageなどコストの重いものが多く、コンボを発動させるときも【5-091H】《星の神子》imageがなければ結構CPがかかるので、バックアップを20枚投入して確実に並べられるようにしています。

構成も除去ができるもの、アドバンテージを獲得できるもの、CPの供給を安定させてくれるものなど、いずれも役立つものばかりです。

そのぶんデッキに投入できるカードは減りますが、いまお話ししたようなループ性のある再利用エンジンを組み込むことで、同じ役割のカードを何枚も引かなくても戦線を維持できるようになっています。

――コンボパーツ、全体除去の被害を受けないコントロール要素、ループできるアドバンテージ源という役割を果たせるのがモンスターというカードタイプなわけですね。ちなみにまだ話に出てきていない【5-101H】《オーディンダスク》imageですが、これはどういう働きをするのでしょうか。

ぱっつぁん:このカードは【5-088C】《ドロタボー》imageによるブロック阻害と非常に相性がいいカードです。この2枚がフィールドにあると相手はCPを使い切ることができなくなり、非常にきゅうくつな戦いを強いられます。

まず、自分のターンに全部バックアップを使ってしまうと、手札を捨てない限りコストが払えないのでブロックができず【5-101H】《オーディンダスク》imageのアビリティでフォワードがブレイクされてしまいます。

手札を捨ててコストを支払ったら【5-101H】《オーディンダスク》imageの攻撃は受けませんが、こちらにとってはほぼノーコストでの手札破壊になるので、じゅうぶんお得なアクションになります。

【5-088C】《ドロタボー》imageが1枚しかなくても、これだけ相手に嫌な選択をつきつけられます。2枚以上【5-088C】《ドロタボー》imageがあって【5-101H】《オーディンダスク》imageもいる、という状況では本当に相手はやりにくいと思います。

いまのデッキリストでは1枚ですが、2枚に増やしてもいいと思うくらいデッキコンセプトと相性のいいカードで、正直このカードを見つけたときは「俺は天才か……」と思いました(笑)。


STEP3:デッキ成立の背景を聞く
――ここまで「ドロタボーコントロール」についてお話しいただきましたが、そもそもこのデッキを作ろうと思い立った経緯はどういったものなのでしょうか。
ぱっつぁん:もともとは3人チーム構築戦で行なわれた9月の「MASTERS 2019 東京」用に作ったものだったんです。
デッキに入っているカードを見てもらえばわかりますが、「風単」や「風水」、「氷単」や「火氷」とはカードが重複しないので、変化球なデッキでありつつチームのデッキ構成にあまり負担をかけないんです。
――確かに、影響がありそうのは「土単」くらいですね。

ぱっつぁん:そんな可能性を感じていたところ、Twitter上で冗談で「次の大会、どのカード使えばいい?」とアンケートを取ってみたら、みんな「《ドロタボー》」「《ドロタボー》」というので本腰を入れて組んでみた、という感じですね。

また、【1-089H】《リュック》imageが禁止になったこともデッキの成立に影響しています。
以前は、こういう遅いデッキはコントロールデッキどうしの対決において【1-089H】《リュック》imageによるデッキ切れ負けに持ち込まれてしまっていました。

【1-089H】《リュック》imageが禁止されたことで、こういう重いコントロールデッキも組めるようになったんだなと、今回このデッキを使ってみてあらためて思いました。

――チーム戦用の隠し玉から始まって、最終的には新しいコントロールデッキの可能性が見えたということなんですね。
ぱっつぁん:そうですね。しかし、もしこれが重コントロールデッキとして流行したらとんでもないことになると思います(笑)。このデッキのミラーマッチとか試合時間がむちゃくちゃかかるので、トーナメントの進行が心配になりますね(笑)。

私は製作者ですから愛着もありますし、10月12日の「MASTERS EVE」などでもこのデッキを使おうと思っています。しかし、もしこの記事を読んで「おもしろそうじゃん」と思ってもらった方がいたら、それはうれしいことではありますが、「本当に使う気ですか?」と言いたくなります(笑)。

――それも含めて、まさに名人の専用デッキということなのかもしれませんね。どうもありがとうございました!


◆おわりに
「CRYSTAL CUP LIGHTNING」に参加していた第2期名人、ぱっつぁんさんに「ドロタボーコントロール」のデッキテクをうかがいました。

【5-088C】《ドロタボー》imageや【5-101H】《オーディンダスク》imageといったカードに着目し、それを強力なデッキに組み上げるテクニックは、デッキビルダーを志す方には参考になったのではないでしょうか。

公式記事連載では来週以降も「Opus IX」環境をしめくくるデッキ紹介やインタビューを掲載しますのでお楽しみに!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!