【FF-TCG】「名人戦」成熟した環境を貫いた雷単 ~東京予選優勝者インタビュー~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回は、先週開催された「第2期名人戦」東京予選で優勝したひれひれさんのインタビューをお届けします。

◆はじめに

こんにちは。
おそらく日本で一番「第2期名人戦」に参加している『FF-TCG』プレイヤーのたるほです。

今回は「第2期名人戦」最後の予選である東京予選に参加してきました。
最後の予選ということで、「絶対に名人位決定戦の出場権を獲得するぞ!」と意気込んでの参加でしたが、結果は2勝4敗と無念の結果で、僕の「第2期名人戦」は力不足を感じて幕を閉じることになってしまいました。

今回は、この東京予選で優勝されたひれひれさんにインタビューし独自のデッキチョイスの理由を聞いてきました。

ひれひれ
東京のプレイヤーで、秋葉原にあるカードゲームショップ「グランドパンダキャニオン」の店長も務めている。『FF』シリーズは「FFIII」から遊んでいる長年のファン。「FFXI」ではオンラインゲームの魅力にのめり込みすぎてしまったため、同じオンラインタイトルの「FFXIV」は現在自粛中らしい。
鋭い環境読みから多彩なデッキを使うことの多いプレイヤー。

◆成熟した環境を逆手に取り、意識の外から攻める

――「第2期名人戦」東京予選大会、優勝おめでとうございます。

ひれひれ:ありがとうございます。

――今回使われたデッキは「雷単」ですが、このデッキを使うことにした理由をお話しいただけますか。

ひれひれ:今回このデッキを使った理由ですが、一言で言うと「あまり活躍していないデッキだった」からです。

――どういうことでしょうか。

ひれひれ:正直に言ってしまうと、私は「雷単」というデッキは、そこまでポテンシャルが高いデッキだとは思っていません。今のメタゲームには「土風」「水単」「水風」「氷単」など強力なデッキが数多く存在しますが、それらのデッキと比べても「雷単」はデッキパワーという点において一歩およばないデッキだと認識しています。しかし海外では活躍しているらしく、一体なぜこのデッキが勝っているのだろうと思ったのが最初に組むきっかけになりました。

――たしかに「雷単」は『FF-TCG』ではメジャーなデッキタイプの1つですが「第2期名人戦」の予選大会では、あまり上位で見かけることはありませんでした。

ひれひれ:メタゲーム上で意識されていないということは大会における仮想敵の選択肢から外されやすく、現環境で対「雷単」の経験値をしっかり積んだプレイヤーは少ないだろうと予想しました。それならば「雷単」を使ってみようと考え、東京予選ではこのデッキを選択しました。

――伏兵や奇襲のようなイメージだったわけですね。

ひれひれ:はい。しかし、そういった奇襲的要素だけではいずれデッキパワーの高いデッキに押し潰されてしまいますので、そうならないようにいくつか工夫をしました。先ほど少し触れたように、現環境では「土風」「水単」「水風」「氷単」などが有力なデッキとしてあげられます。そして、これらのデッキに共通する特徴として「アドバンテージを獲得するのが得意なデッキである」という点があります。序盤はしっかりとバックアップを置き、たくさんのCPを使えるようにしてからカードパワーの高いカードを展開するいうのが現環境における戦略のトレンドだと考えられます。それは逆に言えば序盤戦用のカードが少なく、体勢が整うまではダメージを受けがちだと解釈できます。そのため今回の「雷単」は「序盤から低コストのフォワードを展開し、ダメージレースを優位に進めていく」ことを主軸に構築しました。

雷単 (第二期名人戦 東京予選:優勝)

カードNo. カード名 枚数
フォワード(23枚)
【7-104H】 《ラムザ》 2
【1-211S】 《リグディ》 2
【7-093C】 《サンダ》 2
【5-099H】 《イルーア》 3
【1-125R】 《オニオンナイト》 2
【6-095R】 《サイファー》 1
【6-100C】 《ユエン》 1
【2-097H】 《アルシド》 3
【5-108L】 《ゼムス》 2
【6-088L】 《エスティニアン》 2
【2-099L】 《イデア》 3
バックアップ(17枚)
【7-095H】 《シド・プリヴィア》 3
【1-150R】 《ルールー》 3
【5-120C】 《ルイゾワ》 2
【1-134R】 《ゴルターナ公》 1
【2-106R】 《グラミス》 1
【4-110R】 《ブルメシア王》 1
【5-103R】 《ガリークランのシド》 1
【2-108C】 《黒魔道士》 3
【5-162S】 《アルフィノ》 2
召喚獣(7枚)
【7-103C】 《ラムウ》 3
【6-102R】 《ラムウ》 3
【5-117C】 《ラムウ》 1
モンスター(3枚)
【7-098R】 《プリン電機兵》 3

――たしかにデッキを見てみると低コストのフォワードを中心に構成されています。雷属性は低コスト帯のフォワードが優秀な属性ですが、これらはどういった基準で採用されたのでしょうか。

ひれひれ:採用のポイントになったのはコストが軽くて相手の除去に有利にトレードをされないカードということです。代表的なカードはなんといっても【5-099H】《イルーア》imageで、彼女は3CPでパワー6000のヘイスト持ちであるため序盤から相手を攻められるだけでなく、各ターンに初めてこれを選んだ対戦相手の召喚獣やアビリティを無効にできるため、EXバースト以外の要素で除去することが困難です。さらにこのカードのスペシャルアビリティは「雷単」の弱点であるパワー不足を1時的に克服できたり、【2-097H】《アルシド》imageなどの除去の火力を補ったり、展開したフォワードにヘイストを与えて総攻撃をかけたりとこのデッキのコンセプトと非常に相性がいいです。

――序盤に出てきた【5-099H】《イルーア》imageを止めることができず、そのまま要所で「シェイオル」を使われて負けてしまうというゲームは僕も体験したことがあります。【5-099H】《イルーア》imageを意識していないデッキでは彼女を止めるのは難しいですよね。

ひれひれ:【5-099H】《イルーア》imageの天敵になるのが対象を選ばずに除去ができる【3-123R】《暗闇の雲ファムフリート》です。また【2-146H】《フースーヤ》imageも、このデッキのフォワードをほぼすべて除去できます。この2つのカードに使ってくる「水単」に対抗するため、除去されても損をしない【7-093C】《サンダ》imageと【7-098R】《プリン電機兵》imageを採用しました。
特に【7-098R】《プリン電機兵》imageは除去に強いだけでなく【3-123R】《暗闇の雲ファムフリート》で相手が自身の【4-133C】《バイキング》imageや【3-125C】《うたかたの召喚士》imageをブレイクゾーンに置いたときもフォワードになることができるため、相手の安易なプレイを許さないという点も強力でした。フォワードになると7000というパワーで【3-144L】《レナ》imageと相打ちできますし、【1-150R】《ルールー》imageがいればパワーが8000になり【2-146H】《フースーヤ》image1枚では除去できなくなったりとも対「水単フースーヤ」への強力なアンチカードでした。

――「Opus VII」で収録されたカードでは【7-104H】《ラムザ》imageも目を引くカードです。

ひれひれ:【7-104H】《ラムザ》imageは非常に器用なカードで、基本的にはヘイストを与えて序盤からアタックしていくのがおもな仕事ですが、バックアップが並んだ中盤以降はブレイブを活かして攻防に活躍してくれますし、パワー8000以上になると先制攻撃を持つため相手のアタックやブロックをけん制できます。また、このカードは1CPと非常にコストが軽いため【3-123R】《暗闇の雲ファムフリート》を使われても損をしにくく、仮に倒されても【5-108L】《ゼムス》imageのアビリティでの再利用も容易で、活躍の機会が多いカードでした。

――デッキリストを見ると1枚、あるいは2枚採用のカードが多い印象を受けます。あえてフォワードはかぶらないよう分散させて採用したのでしょうか。

ひれひれ:「雷単」はフォワードのパワーが低いデッキなので、戦術としてパーティーでアタックをすることがたびたびあるため、デッキに採用するフォワードの種類を増やしたいと思って同名のフォワードがかぶらないように意識しました。【5-099H】《イルーア》imageや【2-099L】《イデア》imageのような役割が多いカード以外は2枚以下におさえ、なるべく多くフォワードを出せるようにしています。

――フォワード化に条件がある【7-098R】《プリン電機兵》imageを除くと、このデッキのフォワードは23枚と多くありません。手札に残すカードの取捨選択に悩むということはありませんでしたか。

ひれひれ:入っているフォワードのコストが全体的に軽いため、このデッキではそこまで急いでバックアップを置く必要がありません。そのため、フォワードをコストにしなければならないことが少なく、必要なフォワードを手札に残すのはそれほど難しくないですね。

――そのバックアップの構成ですが、2コストのものは5枚のみで残りは全部3コスト以上という思い切ったかたちになっています。この意図について教えてください。

ひれひれ:「Opus VII」で「雷単」が獲得したカードのなかでも有力な1枚が【7-095H】《シド・プリヴィア》imageです。このカードはオートアビリティでブレイクゾーンから3CP以下の雷属性のバックアップをフィールドに戻せます。この効果でサーチ能力を持つバックアップを復活させればバックアップを1枚Oコストで出せていることになります。

そのため、今回の「雷単」ではこのカードのアビリティを活かせるようにサーチ能力を持つ3CPのバックアップを多めに採用しています。特に【5-120C】《ルイゾワ》imageを戻して【5-162S】《アルフィノ》imageをサーチする動きは強力で、最高と言えるスタートを切れます。そのためこのコンビだけは1枚ではなく2枚ずつの採用となっています。

――召喚獣に関しては【7-093C】《サンダ》imageとの兼ね合いで《ラムウ》のみの採用にになったんでしょうか?

ひれひれ:もちろんそれもありますが、【7-103C】《ラムウ》imageは相手のパワーをマイナスできるので本来「雷単」の苦手なパワー勝負をひっくり返せます。合わせ技での除去と違い、こちらのフォワードをフィールドに残せるのが便利です。【6-102R】《ラムウ》imageは終盤で相手のフォワードをダルと7000ダメージで相手のフォワード2体に対応したり、【5-108L】《ゼムス》imageにヘイストを与えて【6-100C】《ユエン》imageをブレイクゾーンから出すことで強引に1ダメージを狙ったりと終盤に攻防における価値が非常に高いカードでした。
召喚獣の構成については、本当なら【1-124R】《オーディン》imageを採用して、もう少しEXバーストによる逆転要素を増やしたいと思っていたのですが諸事情で採用できませんでした。

――デッキのスペース的に厳しかったのでしょうか。

ひれひれ:いえ、入れるのであればどのカードと入れ替えようというのは決まっていたんですが、あいにく【1-124R】《オーディン》imageのプレミアムカードが用意できなかったんです(笑)。私は『FF-TCG』でデッキを作るときはすべてプレミアムカードでデッキにしたいというこだわりがあって、そのこだわりを曲げることはできませんでした。誰か持っていませんか(笑)。

――そのこだわりあってこそ、この「雷単」はひれひれさんを優勝に導いたのかもしれませんね。デッキの構成については序盤を意識した構築をされたということをお話しいただきましたが、プレイングの面で心がけたことなどはありますか。
ひれひれ:マリガンの基準は自分のなかで明確にしていました。まず先攻の場合、初手に【7-095H】《シド・プリヴィア》imageがあるかどうかが1つの基準になっていたので、

・【7-095H】《シド・プリヴィア》image+サーチ能力持ちのバックアップがある
・【7-095H】《シド・プリヴィア》image+【1-150R】《ルールー》image+【5-099H】《イルーア》imageor【7-093C】《サンダ》imageがある

これ以外の場合はマリガンしていました。後攻の場合は手札が1枚多くなるので【7-095H】《シド・プリヴィア》imageを優先せず、

・2CPのバックアップ+【5-120C】《ルイゾワ》imageがある
・2CPのバックアップ+【5-120C】《ルイゾワ》image以外のサーチ能力持ちバックアップ+【5-099H】《イルーア》imageがある

という内容を意識して初手の判断をするようにしました。このデッキは「ユ・リ・パ」をそろえたり、バックアップ5枚に【7-128H】《ユーリィ》imageというような決まった「ゴール」がないため、逆に「スタート」の時点で欲しいカードをしっかり決めていました。

――初手で悩むというのは、多くのプレイヤーが共感できるポイントだと思います。事前に判断基準を用意して心が揺れないようにしておくのも重要なことなんですね。今回、ひれひれさんは見事優勝されたわけですが、途中のマッチングもおおむね事前の予想どおりだったということでしょうか。

ひれひれ:「風単」は予想より多かったですね。もしかしたら1回も当たらないんじゃないかと思っていたのですが、実際は「風単」ともマッチングしたので環境は私の想像より進んでいたのかもしれません。最後の予選大会ということもあってか、実績のあるデッキを選んでいた方が多かったというのも印象に残っています。多くのプレイヤーが堅実な選択をしたからこそ想定外のデッキである「雷単」が活躍できた、今日の勝因はそこにあるんじゃないかと思います。

――みんなが「一般的に考えたら正解」の選択肢を選んでいて、それが見事にひれひれさんの策にはまってしまったわけですね。

ひれひれ:もちろん環境予想だけで勝ったわけではなく、幸運だったという面もあります。たとえば今日は「氷単」に当たらなかったのですが、これは非常にラッキーでした。

――この「雷単」は「氷単」が苦手ということですか。

ひれひれ:「雷単」は【5-029L】《オーファン》imageや【7-034L】《セフィロス》imageといったフォワードに対して有効なカードが少ないんです。また、この2枚はアタック時のオートアビリティでフォワードを選ぶため【5-099H】《イルーア》imageの除去耐性を簡単に無効化されてしまいます。また、単純なフォワードのパワーで負けているので【5-108L】《ゼムス》imageのようなギミックでパワーで対抗しようにも、ほとんどのフォワードが相手にとって脅威にならないため、それらのフォワードだけピンポイントでダル、凍結されて手も足も出ないということがよくあります。

実際、東京予選のあと「EDAMAME Arcade Channel」さんの企画でカブキンさんの「土氷」と対戦させてもらいましたが、そのゲームでは氷属性の強みに押し切られて完敗してしまいました。

――成熟した環境を逆手に取ったデッキですが、すべてに対して有利ということではないということなんですね。

 

◆カードショップの店長だからこその取り組み方と、やみつきになるデッキ構築の魅力

――ひれひれさんは秋葉原にあるカードショップ「グランドパンダキャニオン」の店長さんということでいろいろなカードゲームを遊んでいると思いますが、『FF-TCG』ではどのように練習や調整をされているのでしょうか?

ひれひれ:仕事柄いろいろなタイトルのカードゲームで遊んでいて、さらにもともと多趣味なこともあり、実は『FF-TCG』だけに絞って調整する時間はあまり多く取れていないんです。しかし、大変ありがたいことに私のお店には『FF-TCG』を始めたての方から「世界選手権」に出るような方まで、さまざまな層のお客さまが遊びに来てくださっています。皆さんのプレイを間近で見ることで、たとえば流行しているデッキや強力なコンボなどの知識を得られたり、あるいは自分でプレイするときもアドバイスや刺激をもらえたり、そういった恵まれた環境にいることが今回の結果につながったところは間違いなくあると思います。

――先日行なった、たまごまんさんのインタビューでは、ひれひれさんの「デッキを組んで崩してを繰り返して、その中から生き残ったデッキが強いデッキ」に共感したというお話もありました。今回の「雷単」もそういった試行錯誤の末に選ばれたのでしょうか。

ひれひれ:「名人位決定戦」に出たいと思っていて、東京予選の前には毎日1つずつデッキを作っていました。最終的に選んだ「雷単」はもちろん、有力な候補であり、また仮想敵にもなる「土風」「水単」「水風」などのデッキも作りました。そして、いろいろと試した結果「バックアップを5枚置いてじっくり戦うこと」が自分には合わないと気づいたんです。自分でしっかり検証したうえでベストと思われる選択肢を選んで実践し、その結果もちろんうまくいかないこともありますが、今回のようにいい成績を残せたり、あるいは検証の段階でも「あっ、自分ってこういう傾向があるんだ」と気づけたりしたときはうれしいですね。デッキ構築にはそういう体験、発見のおもしろさがあって、やみつきになります。

――自分たちでショップを開いてしまうだけあって、深いカードゲーム愛が伝わってきました。それでは最後の「第2期名人戦」予選優勝者として、「名人位決定戦」に向けて一言いただけますか。

ひれひれ:正直、作品単のデッキ構築に関してはこれからなので自信があるとは言えませんが、いつもと変わらず楽しむ気持ちで挑んでいきたいと思います。また「グランドパンダキャニオン」では毎週金曜日の20時から公認イベントを開催していますので『FF-TCG』をやりたい方はぜひ遊びにきてください!
――ありがとうございました。

◆終わりに

「第2期名人戦」東京予選で優勝されたひれひれさんへのインタビューでした。
デッキの限界を認めながらも環境を見きわめ、そのポテンシャルを発揮し優勝に導く実力に脱帽です。「名人位決定戦」でも、ひれひれさんがどんな視点からデッキを選んで持ち込んでくるのか、これまでのチャンピオンとの戦いが今から楽しみです。

この東京予選をもって「第2期名人位決定戦」のすべての出場選手が出そろいました。全国各地の実力者たちが2月23日に「第2期名人位」の称号をかけ、最後の舞台に挑みます。
その舞台に立てなかったのは残念ではありますが、僕も当日は会場でその様子を見届けたいと思います。インタビューさせていただいた方はじめ、参加される皆さんはベストをつくしてがんばってほしいです。

そして3月には「Opus VIII」の発売がひかえており、さらに4月からは「MASTERS2019」が始まり、さらには「JAPAN CUP」「Crystal Cup」という大型イベントも開催されるなど、次のシーズンもまた『FF-TCG』を楽しんでいけそうです。次の全国大会では「名人位決定戦」に出られなかった悔しさをバネに一皮むけたいですね。

それではまた、次の記事でお会いしましょう!

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