【Shadowverse】白悠咲美のコラム:カードに込められた情報から製作者の意図を読み解こう!

『Shadowverse』の記事連載。今回は白悠咲美(はくゆうさくみ)さんが最新カードパック「十禍絶傑」のレジェンドカードを取り上げ、カード能力からデザインに含まれた意図の読み解き方を解説します。

みなさん、こんにちは。「十禍絶傑」の十一(ロストナンバー)こと白悠咲美です。

……のっけからいきなり飛ばしてみましたが、今月末には『Shadowverse』第10弾カードパック「十禍絶傑」がリリースされます。

フォロワーに10のオリジナルキャラクターが登場し、今までの『Shadowverse』の方向性とは少し異なった展開になるようです。この手の「四天王」「十天衆」いったナンバーズ設定が大の大好きな私としてはたまりません!

さて、今回はそんな新弾リリースのタイミングの記事となりますので、私が普段新カードパックがリリース直前の時期に考えていることを文章でお伝えしていこうと思います。

この記事は、新弾リリース直後の環境を予想するにあたって私が普段考えていることを紹介するパートと、実際に第10弾カードパック「十禍絶傑」に対して適用するとどうなるのか、という2つのパートで構成されています。

それではさっそく始めていきましょう!

◆製作者の考えを読め!

相手の考えを読め、というのはカードゲームのみならず対戦ゲームでは古くから言われ続けていることです。相手の思考や手札は非公開領域ではありますが、プレイングやカードを出すまでの間といったこちらに出力される情報からそれらを推測することはできます。

そして、それは実際の対戦だけでなく新カードパックリリースの際にも適用することができます。
カードパックのリリース時において対戦相手とは製作者であり、プレイングや間といったものの代わりに、追加されるカードの情報や背景設定といった情報が我々には与えられます。

これらの情報から、製作者が我々プレイヤーに望んでいること、試していることを推測し、それに沿って、もしくは反することでゲーム攻略に指向性を与えることができます。

早速、今回の「十禍絶傑」に対して適用してみましょう。

 

★十禍絶傑とは?

十禍絶傑が齎す試練を乗り越え、大いなる福音を得る時は、今。

「十の試練が汝を待つ」

『Shadowverse』公式HPより引用)

要約しますと、

「10人のすごいやつらがそれぞれ試練を与えてきて、それを乗り越えればハッピー!頑張れ!」

ということです。

さらに、これをカードゲーム語に翻訳すると、

「特定の条件を満たすとメリットを享受できるコンセプトを10種類用意したので、コンセプトをうまく達成できるように構築とプレイングを試行錯誤しましょう」

ということになります。

そうです。「十禍絶傑」の試練とは『Shadowverse』世界の登場人物に向けられたものであることはもちろん、制作者から我々プレイヤーへの挑戦でもあるのです。頑張って試練を乗り越えて、大いなる福音を我が物としましょう。

 

各絶傑のカード構成
各絶傑は共通して次のようなカードが与えられています。

絶傑(レジェンド)
使徒(ゴールド)
信者(シルバー)
従者(ブロンズ)
武器や必殺技(レアリティ不問)

これら各カードの性質から、各絶傑はどのようなコンセプトでデザインされており、製作者はプレイヤーに何をさせたいのかを読み解いていきます。

 

◆絶傑の能力から製作側の意図を読み解く!

それでは早速絶傑の一から順番に見ていきましょう。

なお、背景設定とカード効果は密接に結びついていることが多いため、公式HPに記載されている各絶傑の紹介文と台詞も記載しています。

 

《唯我の絶傑・マゼルベイン》(ニュートラル)

十禍絶傑の一、絶対信仰。
世界が個として強くなることを望み、
群れ集う者に唯我の試練を与える。
その手に持った信仰剣・「ミヒライテ」は、
天地を両断する力を持つ。

台詞『群生する意思、孤高にて断つ。』

要約すると、「群れずに一人一人強くなろう」ということですね。

この設定は、

・デッキに重複カードを許さない
・効果発動はフォロワーが一体の時のみ

という《唯我の絶傑・マゼルベイン》のカード効果にも強く表れています。

唯我の試練をクリアしたプレイヤーには、とてつもないメリット能力が与えられますが、

その分、試練の達成条件はとても厳しい! 1つずつ分けて見てみましょう。

・デッキに重複カードを許さない
《唯我の絶傑・マゼルベイン》は3枚投入が可能なものの、残りの37枚を37種類のカードで構成する必要があります。
既存のデッキのほとんどは、デッキ表示画面にMAXで表示される16種類以上となることがほとんどであることを考えると追加で20種類以上のカードが必要となります。
デッキ構築をする際に、よく41枚目、42枚目という表現がされるように追加で数種類を足すのは容易ではありますがそこから更に15種類以上追加することを考えると、カードプールを隅々まで見渡す必要があります。
今までカード一覧を見る際に無意識のうちに「〇〇の下位互換だから」と採用していなかったカードもよくよく考えれば十分な強さを持っていた、なんてこともよくあることですので、改めてフラットな視点で1枚1枚のカードと向き合ってみると面白いと思います。

・効果発動はフォロワーが一体の時のみ
デッキの制限と比較すればだいぶ優しい条件ではありますが、小粒のフォロワーを並べるカードとは相性が悪いですね。
高コストのエンハンスを持つカードや、フォロワーとしてカウントされないアミュレットやスペルカードを多く持つリーダーとは相性が良いです。
また、自分でフォロワーを破壊できるカードで数を調整したり、疾走や突進を持つカードであれば場が0体であればフォロワーとして展開し、既にフォロワーがいれば除去カードとして運用できることも注目です。

 

《破壊の絶傑・リーシェナ》(ネメシス)

十禍絶傑の二、殺戮の歌姫。
たった一つの偶像として君臨すべく、
世界に破壊の試練を与える。
白と黒の像・「白の章」と「黒の章」は、
彼女の歌声を破滅の力に変える。

台詞『ボクを崇めて信じて祈ってよ!』

 

ネメシスの絶傑の特性は、破壊です。

何かを能動的に破壊することでプレイヤーはメリットを享受できます。

破壊は祈りであり《破壊の絶傑・リーシェナ》の持つ白黒の像に力を与えるようです。

今回、能動的な破壊効果のデメリットを無効化する破壊不能のカードが何枚か追加されています。
ネメシスは元々《操り人形》やアーティファクトといった軽量フォロワーを生成する能力に長けているため、破壊不能カードを破壊することにこだわる必要はなく、既存のデッキに組み込むことも可能です。

「人形ネメシス」でも「アーティファクトネメシス」も、それぞれ自身のコンセプトを達成するためデッキのカードの枚数や種類には、繊細なバランス調整により黄金比が築かれており、新たに破壊のコンセプトを組み込むためには一旦先入観を捨てる必要がありそうです。

また、既存のコンセプトにこだわらず、破壊を軸に《操り人形》関連のカードとアーティファクト関連のカードを横断的に採用した「破壊ネメシス」なども十分考えられそうです。

 

《沈黙の絶傑・ルルナイ》(ネクロマンサー)

十禍絶傑の三、黙する怨讐。
世界に静寂という名の平等を齎すため、
あらゆる命に沈黙の試練を与える。
巨大な鎌・「轟」を振るったが最後、
撒き散らされる怨讐が、周囲のものを狂わせる。

台詞『音、言葉――消えろ。』

ネクロマンサーの絶傑の特性は、沈黙。
沈黙と聞くとまっさきに浮かぶ「スペル詠唱不能」効果は絶傑本人の《沈黙の絶傑 ルルナイ》が持っています。

ただ、呪文詠唱以外にも、特定のキーワード能力に反応したり、効果そのものを無効化する能力など多種多様なカードが見られます。
これらのカードは受動的な効果のため、環境を見ながら流行しているデッキに対してクリティカルなカードを採用することになるでしょう。

ウィッチが流行ればスペル詠唱不能効果、ロイヤルが流行れば守護破壊効果、といった感じですね。
どのカードも考え無しに採用できる効果ではないため今回のネクロマンサーを使うプレイヤーには環境を分析する能力が求められるかもしれません。

 

《安息の絶傑・マーウィン》(ビショップ)

十禍絶傑の四、永遠久遠。
世界を永遠の眠りにつかせるため、
久遠に続く安息の試練を与える。
四本の槍・「救世主」に突き刺されたものは、
その活動を停止し、静止する。

台詞『眠れ、世界よ。心のままに。』

ビショップの絶傑の特性は、何もしないことによるメリット能力です。
出したターンはそもそも進化をするか突進などがない限り攻撃ができないため、強化版ファンファーレという見方もできます。

相手への攻撃をしてしまうと効果が発動しないため、相手の攻めを食い止めるには小回りが利きづらく、どちらかといえば「天狐ビショップ」のような能動的なデッキと相性がよいと思われます。

進化前の《封じられし禁忌》などのような全くの攻撃不能なのではなく、効果が発動しないだけで攻撃自体は可能であるため、既存のフォロワーの「誰に攻撃するか」の選択肢に「攻撃しない」という新たな選択肢が加わったことでプレイングの難易度は上がっていますね。

全くの余談ですが、カードのビジュアルを見ると全ての安息のキャラは仮面を装着しています。好きです、仮面キャラ。

 

《侮蔑の絶傑・ガルミーユ》(ドラゴン)

十禍絶傑の五、極天爪。
世界全てを見下しており、
燃やし尽くすために侮蔑の試練を与える。
五本の爪・「覇極」で引き裂かれたものは、
灰になるまで燃え続ける。

台詞『世界はワタシの下に在る!』

ドラゴンの絶傑の特性は、ダメージを受けて生き残ったときのボーナスです。
生き残るダメージを与えてきた=格下からの攻撃で誘発、と考えると侮蔑という設定が理解しやすいですね。

ドラゴンは、全てのフォロワーにダメージを与えるカードや、そもそものサイズが大きいことから、効果発動はさせやすいと思われます。
また、自発的に1ダメージだけ与えるカードも追加されており、一人で格下パンチからの侮蔑ビームというマッチポンプ戦術も可能です。

ステータス強化カードや進化によって自らの格を上げることで、格下の範囲を拡大することもでき、構築とプレイング両方の観点から工夫の余地が広い効果ですね。

本来なら何回も1以上のダメージを与えられたら破壊されていまいますが、おそらく0ダメージでも誘発すると思うので、0ダメージを何回も与えるようなコンボなどがないか探してみるのもおもしろいですね。

あと《侮蔑の絶傑・ガルミーユ》の衣装を見ると、爪をモチーフにした装飾が多くほどこされていますが、ほぼすべてが5本です。
こういうキャラクターのこだわり部分にも注目できると、思いがけず新しいデッキのアイデアがが浮かんできたりします。

《不殺の絶傑・エズディア》(エルフ)

十禍絶傑の六、穿つ煉獄。
あらゆる生命を嬲り、いたぶるため、
世界に不殺の試練を与える。
彼の持つ矢・「むつらの刻印」は、
穿ったものに無限の苦痛を齎す。

台詞『腐敗しろ、命、心。あらゆるものよ。』

エルフの絶傑が持つ能力は、ステータス低下です。
攻撃力低下はもちろん、絶傑本人にいたっては相手リーダーの最大体力というとんでもないものを低下させます

最初、「不殺」という言葉を聞いた時は優しい紳士なのかなとも思いましたが、設定などを読んでみると、まずはステータスを低下させ、そのあとにじわじわといたぶるという、結構怖い人です。最初が不殺なだけで、最終的には殺す気マンマンですね。

攻撃力の低下は戦闘を有利に進めることができるため盤面トレードを有利に進めることができますが、あくまで相手のフォロワーがいて初めてメリットを享受できる効果のため、相手があまりフォロワーを展開してこないコントロールデッキの場合、効果が不発に終わりやすいことには注意しましょう。……あぁ、だから《不殺の絶傑・エズディア》本人は相手のリーダーに直接触れる能力なんですね。合点がいきました。

 

《姦淫の絶傑・ヴァーナレク》(ヴァンパイア)

十禍絶傑の七、愛滅卿。
世界と交じり合い、一つになるため、
全てのものに姦淫の試練を与える。
背中に生えた「抱擁の翼」は、
有象無象を包み込み、生命力を奪い尽くす。

台詞『愛はパトス、テーゼは消える。』

ヴァンパイアの絶傑は、自分にダメージを与えることによるメリット能力です。
……と、新しい能力のように書いていますが、まさかのヴァンパイアの「復讐」に次ぐメインコンセプトの一つ「自傷」が絶傑のテーマとしても採用されています

絶傑のテーマが既存のコンセプトを受け継いでいることは大きなメリットです。
なぜなら、他の絶傑は絶傑自身と、絶傑と相性が良い効果を与えられている信徒たちでデッキコンセプトを構築する必要がありますが、既存のコンセプトであれば、既存のカードパックのカードプールからカードを選択しやすいためです。

ただ、その反面、相性の良いカードの種類が豊富ということは、追加されたカードをそのまま並べるだけでデッキが完成というわけにはいかないため、デッキ構築の難易度は大きく上がっています。デッキビルダー達の腕の見せどころですね。

余談ですが、『世界と交じり合い、一つになる』、『パトス』、『テーゼ』、『翼』という単語を見ていると、ちょっと魂がモゾモゾしてきませんか?

 

《簒奪の絶傑・オクトリス》(ロイヤル)

 

十禍絶傑の八、簒奪腐食。
形あるもの、形ないもの、全てを奪うため、
世界に簒奪の試練を与える。
蛇腹剣・「アヴァリティア」に絡め取られたものは
彼女に全てを奪われてしまう。

台詞『満ちた世界は、今日で餓える。』

ロイヤルの絶傑は、財宝カードの取得と、相手能力の奪取です。
単なる無効化ではなく、その能力を自分のものとします。まさに簒奪ですね。

4種類の中から手に入る財宝カードは、1コストのスペルでどれも効果は微々たるものですが、余ったPPを使い切ることでゲームを有利に進めていくことができます。
特定のカードとの相性云々ではなく、単体で完結している能力のため、コンセプトカードをまとめて採用する必要がなく、既存のデッキに少し組み込むなど構築に柔軟性があるのもメリットです。スペル使用による誘発能力を持つカードがないか、今後追加されるかにも注目ですね。

 

《真実の絶傑・ライオ》(ウィッチ)

 

十禍絶傑の九、視えざる真実。
人々の本性を晒すために、
世界に真実の試練を与える。
輝く小剣・「誠実なる友」は、
命を侵し、その本能を強制的に呼び覚ます。

台詞『これが世界のまことの姿』

ウィッチの絶傑の特徴は「スペルブースト」です。
ヴァンパイアと同様、既存のコンセプトを受け継いでいるため要注目リーダーです。

追加の特徴として、スペルではなくフォロワーに何らかの形でスペルブースト能力が付帯しているため、ネクロマンサーに追加された《沈黙の絶傑・ルルナイ》の効果を回避することも可能になっています。

全体的にフォロワーのサイズが平均サイズ以上であるため、スペルブーストを狙うだけでなく、フォロワーを並べてサイズで押し切る、といった動きも可能になっています。

《飢餓の絶傑・ギルネリーゼ》(ニュートラル)

十禍絶傑の十、飢餓の領域。
あらゆるものを貪り尽くすため、
世界に飢餓の試練を与える。
周囲に浮かぶクリスタル・「グリザレイ」は、
天地を呑み込み、咀嚼する。

台詞『無垢な純情、貪り尽くす。』

最後の絶傑の特徴は、10ターン目以降の効果発動となります。
効果自体は飢餓というイメージから少し離れていますが、考え方を変えて10ターン目になるまで耐えることが飢餓の試練であり、試練を乗り越えた場合にメリットを享受できる、と考えると合点が行きますね。

基本的に『Shadowverse』には9ターン目から10ターン目に勝負を決めるコンボデッキが環境に存在していますが、お互いアグロデッキやミッドレンジデッキの場合は、泥沼の消耗戦になることも多く、そういった場合に10ターン目以降の効果発動は光ってきますね。

《飢餓の絶傑・ギルネリーゼ》単体で見ると、試練を乗り越えた場合の効果は自分だけではなく相手も受けることができるため、最初の効果発動で勝負を決められるようにデッキ全体の平均コストを軽めにするなどが工夫として考えられます

 

◆絶傑、注目のコンセプト

さて、一通り触れたところでまとめに入ります。

今回、注目のリーダーは、ずばりヴァンパイアとウィッチですね。
絶傑を紹介したときにも触れましたが、既存のコンセプトをそのまま受け継いでいるためです。
既存のコンセプトがそのまま絶傑のコンセプトにも使われているため、カードプールを広く使うことができます。
逆に、今回新規追加されたコンセプトについては、カードが1種類追加されるだけで大幅強化される伸びしろがありますので、アディショナルや第11弾のカードにも要注目です。

◆終わりに

いかがただったでしょうか。

今回は少し視点を変えて製作者の気持ちを考えながら攻略をしてみました。
もちろん、コンセプトとは別にカード単体が強いのか弱いのか、という話もあるとは思いますが、あくまでコンセプトに触れるだけにとどめ、各カードの効果やその強弱にはあまり触れずに評価をするようにしています。

『Shadowverse』は新弾リリースの3週間ほど前から少しずつ新カードの情報が追加されていきますが、全カードの公開を待たずとも、少ない情報から製作者の意図を読み解き攻略に活かすことも可能です。

この記事が、皆さんのデッキ調整における引き出しの一つにでもなれたら幸いです。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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