【WAR OF BRAINS】白鳥男也さんインタビュー -世界観設定にまつわる話を聞いてみた!-

「B2」環境が始まり盛り上がりを見せる『WAR OF BRAINS』。攻略記事が掲載された「カードゲーマーvol.40」の発売を記念して、本誌ライターによるタカラトミースタッフ白鳥男也(しらとりおとや)さんのインタビューをお届けします。

全国の『WAR OF BRAINS』ファンの皆さまこんにちは!
流浪のライターIと申します。普段はカードゲーマー誌上で『ウォーブレ』の記事を書かせてもらっています。

皆さま「B2」環境楽しんでいらっしゃいますか。
事故った返しに着地して泣きそうになる《終末のソドム・第二形態》とか、泣くまで殴るのを止めてくれない《永遠の蜃気楼 ペリドット》とかおりますが楽しいですよね、『ウォーブレ』

さて、今回は『ウォーブレ』世界観やストーリーなどを担当されている白鳥男也さんにインタビューを行ない、『ウォーブレ』の魅力の1つである奥深いストーリー・設定についてお話しをうかがいました。
「B2」環境の攻略記事が掲載されている「カードゲーマーvol.40」と合わせてお楽しみいただければと思います。

◆『ウォーブレ』の世界観、作ってます

――まずは自己紹介と簡単な経歴をお願いいたします。
白鳥:タカラトミーの白鳥と申します。もともと学生時代にタカラにてカードゲーム開発の手伝いをしておりまして、その後に入社しました。『ウズマジン』『デュエル・マスターズ』、チャームエンジェルの開発、最近では『WIXOSS-ウィクロス-』の立ち上げなどにも関わらせていただきました。主にトレーディングカードゲームの開発と販促をメインにしており、『ウォーブレ』ではカードの設定やイラスト、キャラクターボイスなどの世界観を主に担当しています。
――かなり長くカードゲームを扱っておられると。
白鳥:そうですね。最近ではキャラクターカードゲームなども手がけています。
――そんな白鳥さんに今回はストーリーに関するお話などお聞きしていきたいと思います。『ウォーブレ』はリリース当初からその独自の世界観が話題になりましたが、多少難解でもあります。まずはその世界観の基本からおさらいしましょう。(現実の)私たちが遊んでいる『WAR OF BRAINS』というゲームは、ゲーム内設定における現実世界(電子技術の発展した2091年)の会社が作ったゲームという認識でよいのでしょうか?
白鳥:そうです。世界が多重構造になっているのが特徴ですね。我々のいる現実世界、『ウォーブレ』が国どうしの戦いに使われている2091年の世界、そしてゲームの世界、そのなかにAシリーズ、Bシリーズといった各エキスパンション毎の世界が広がっていて、各国ごとにストーリーが設定されています。

――かなり細かく設定されているのですね。では、AシリーズやBシリーズ各世界観の基本設定を教えていただけますか
白鳥:Aシリーズは主に2091年世界に存在する各国家の神話を元に作られています。硬派なイラストがメインになっているのはそういった設定があったからです。Bシリーズでは、各国家の神話ではなく、各国で人気のあるフィクションの物語を元に世界観が作られ、その看板にかわいい6人の乙女(※B1から登場した各国の主人公GC)というのを設定し、新規プレイヤーにもイラストで目を引けるようにしました。
また、Bシリーズでは物語性をちょっと強くしたので、カードゲームを作るにあたり、設定や物語からのキャライメージからの逆算で作られたカードがだいぶ増えましたね

世界観模式図

――Aシリーズが「カードゲームとしてのデザインに沿った神話」というデザインだったとしたら、Bシリーズからはまず物語があって、その登場人物をカード化しているようなかたちになっているわけですね。しかし、ストーリーに合ったかたちでのカードデザインというのは大変そうですね。
白鳥:そこはタキニキ(※)との共同作業です。

※瀧村和幸氏。ホビージャパンに所属し、『WAR OF BRAINS』のカードデザインを担当。公式生放送でもおなじみで、『マジック:ザ・ギャザリング』のプロプレイヤーとしても世界的に有名。

◆『ウォーブレ』のストーリーはこうやって作られている -LAPIS編-

――続いて、Bシリーズの物語を紹介していただければと思います。すべてを紹介すると長くなってしまうので、代表例としてLAPISのストーリーをお話しいただけますか。
白鳥:LAPISの物語の中心になるのは「超国家パルプティコン」です。このパルプティコンは発展しすぎた文明によって資源が枯渇し苦境に立たされています。窮地にあえぐ大統領《女傑総裁 ミア・ハリスン》にもたらされたのは、無限かつ無害のエネルギーの情報でした。古の大戦によって地の果てに撤退した「獣人」と融和を果たした「風の民」、その村落に「風の石」なる夢の動力源が存在すると。早速ミアは盟友《無窮の英雄 ギルダン》以下、精鋭に調査を命じ、果たしてその情報は真実であることが証明されました。

――エネルギー問題が解決してハッピーエンド……に見えますね。
白鳥:ですが、ここで登場するのが「風の村」までの案内を買って出た《邪智商 ジミー》と、大財閥の総帥《狡賢財閥 アルノー》です。ジミーはミアのやり方では己の利益にならないことを知っていました。よってこの「風の石」の情報を事前に財閥へと横流しします。総帥アルノーはこれを受けて調査団の一部を買収、「風の石」を奪うことを命じます。

――まさか……
白鳥:副団長である《狂犬美貌 ファビアン》など買収されたメンバーは「風の石」を奪取。大財閥へと「風の石」がもたらされてしまいました。BシリーズでのLAPISは、こういった設定を元に作られています。「風の石」を取り戻そうとする《風の村のナミ》と各陣営の思惑が絡み合うストーリーと言えますね。

――LAPISらしい王道のストーリーですね。では、一見LAPISらしく見えない《最終兵器魔神 ハンニャ》にも細かい設定があるのでしょうか。

白鳥:あの機関車は「風の石」を使い財閥が作り上げた兵器なんですよ。超国家、資本主義の果てのような世界をパルプティコンでは表現したかったので、まずは「産業革命」である「蒸気機関車」をイメージしてイラストをお願いしました。

――カードのフレーバーに書かれた「伝説の獅子王」という単語や「メタモール」と「ソルジャー」がお互いに参照することなど「B2」から登場した要素も気になりますね。
白鳥ナミは獅子王・白獅子の末裔という設定があり、それが故にアルノーに狙われたりします。ギルダンは「風の村」での狼藉の濡れ衣を着せられ、蟄居謹慎、後にナミらとともにアルノーへと反旗を翻すことになります。それらをカードで再現するとあのようになります。
――先ほどおっしゃられた設定から作られたカードとなっているわけですね。それでは、今後は《獅子王の記憶》のようにAシリーズとBシリーズをつなぐカードも増えるのでしょうか。
白鳥一部のNEUTRALはゲーム世界を俯瞰する位置に存在し、各国の物語世界を渡れる存在です。そのため明言はできませんが、どこかでその設定が活かされることもあるかもしれません。

◆お気に入りのカード

――ここまで『ウォーブレ』の世界観についてお話を伺ってきましたが、白鳥さんのお気に入りのカードなどはあるのでしょうか。
白鳥:設定されたストーリーも含めるなら《希望の使徒 イム》がお気に入りですね。

――イムはE・G UIONのダークな雰囲気を象徴するようなカードですよね。私も好きです。
白鳥:BシリーズのE・G UNIONは手塚治虫先生の作品やアメリカンコミックにも影響を受けています。私自身、暗い世界観の作品が好きで、その好みが特に強く反映されているのがE・G UNIONですね。
――ヒーローの苦悩というか人としての葛藤が描かれているように感じました。
白鳥:味方や父代わりの《希望の科学 ドクターテンマ》が死んでいき、さらには普通の人類からも迫害されイムはどんどん追い詰められていきます。B2では、イムは父親と思っていたドクターテンマが殺され社会からも疎外されました。絶望の果てに第2の覚醒をしてしまった彼女の今後にも注目してください。
――ストーリーを考慮しなければ、どのカードがお気に入りでしょうか?
白鳥:イムとは真逆になるんですが《不笑水女 シラユキ》がB2になってから好きになりました。最初は普通の美少女キャラだったんですが、B2でアイドル用語を乱発するような弾けたキャラに育って、とても愛着がわいております。

――BシリーズのMAGNAとE・G UNIONは真逆の雰囲気ですよね。楽しそうに水着ではしゃいでいるMAGNAと、生きるのが苦しそうなE・G UNIONとは対照的です。
白鳥:MAGNAは今回水着のキャラを出したいからウォーターワールドにしましたからね。
――え、そんな軽いノリの設定だったんですか!?
白鳥:さすがに冗談です(笑)。各国の個性をそれぞれ見せたいと思っていたなかで、もっともMAGNAらしく見えるのがああいう世界なんじゃないかなと思って作りました。

◆『ウォーブレ』のカードに隠された秘密を聞く

――『ウォーブレ』のストーリーがかなり細かく設定されていることが今までのお話で明らかになってきたと思いますが、それ以外にも実はカードには何かネタが仕込まれていたりするのでしょうか。
白鳥:これは意外と知らない方もいるかと思うんですが、ストーリーにおける敵・味方は実はカードを見ればわかるようになっています。
――どこを見ればいいのでしょうか?
白鳥学問です。各国家はそれぞれ2つの学問を持っていますが、どちらに属しているかは設定上の主人公側、ボス側で分かれています。
例えば《希望の科学 ハルベニー》は、ぱっと見、化学に属していそうですが、設定上の主人公側なので生物学になっております。
――なるほど。言われてみればわかりやすいですね。
白鳥:ちなみに同国家の効果をメタるようなカードが多いのは、こういった対立構造をカードに落とし込んだ結果ですね。先ほどの国家どうしにはつながりがないこともあって、ある勢力にとっての最大の敵はその国のなかで対立している勢力になりますから。
――確かに《エージェント ヴァネッサ》などは「キメラ」への強烈なアンチ効果を持っていますね。
白鳥:そうです。そういったカードを見つけるのも楽しんでいただければうれしいですね。

◆クリエイターとして影響を受けたものは?

――先ほどE・G UNIONの世界観についてさまざまな作品の影響があるとおっしゃっておりましたが、白鳥さんが影響を受けた作品やクリエイターなどについてお話いただけますか。
白鳥:学生時代から映画が好きで、特にSF映画などには大きく影響を受けました。特に「バットマン」シリーズですね。ティム・バートン監督の作品群も、クリストファー・ノーラン監督のダークナイトシリーズも大好きです。
――言われてみると随所にそれらしいカードが……
白鳥:「プログレス」たちなんかは、もう趣味が思い切り出ていると思います(笑)。
――日本の作品で影響を受けたものはありますか?
白鳥:新房昭之監督の美麗ながらも暗い演出は昔から好きです。
一部の映画ファンなら反応する、市川崑やヒッチコックをやっていたりしてついつい反応してしまいます。
――国内外問わず最近の作品だと、どうでしょうか?
白鳥:最近だと「シン・ゴジラ」にハマりました。また「CURE」や「散歩する侵略者」などの黒沢清監督が大好きです。
あとは近ごろははっちゃけた作品も観るようになってます。具体的には「キック・アス」や「キングスマン」などですね。ティム・バートン監督の作品にも通じるものがあって楽しんでます。

◆ユーザーへのメッセージ

――最後に、『ウォーブレ』ユーザーへ一言メッセージをいただけますでしょうか。
白鳥:いつも『ウォーブレ』を遊んでいただき、ありがとうございます。引き続き世界観含めゲームを楽しんでいただけますようお願いいたします。
――ありがとうございました。

◆終わりに

今回は、普段なかなか触れることができない『ウォーブレ』の世界観にまつわるインタビューをお届けしました。
何気なく使っているカードにも1枚1枚、秘められた設定があるのですね。今回の記事が、カードにより愛着を持っていただくきっかけになればうれしいです。

冒頭にも述べましたが「カードゲーマーvol.40」では「B2」こと「Force of Axion」の新カードや、新環境に対応したデッキレシピを掲載しています。こちらもぜひチェックしてみてください。

それでは、皆さまよい『ウォーブレ』ライフを!

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