氷を愛する心が呼んだ勝利 「MASTERS」千葉大会優勝者インタビュー

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回は「Opus V」環境の開幕戦である「MASTERS 2018」千葉大会で優勝したサノ選手のインタビューをお届けします。どのようなデッキが流行するかわからない環境に対して、チャンピオンとなったプレイヤーはどう挑んだのか。続くチャンピオンを目指す方は必見です。

◆はじめに
皆さん、こんにちは。『FF-TCG』プレイヤーのたるほです。

4月1日に「MASTERS 2018」千葉大会が開催され、いよいよ「Opus V」環境が開幕しました。
私は『FF-TCG』をChapterシリーズのころから遊んでいますが、この「Opus V」では『メビウス ファイナルファンタジー』出典のカードをはじめとする、かつてのシリーズにはなかった新カードが多く、とても新鮮な気持ちで未知の環境を楽しんでいます。

さて、今回はそんな「Opus V」環境の幕開けとなった「MASTERS 2018」千葉大会で優勝されたサノさんにお話をうかがい、始まったばかりの新環境で勝ち抜いたデッキにはどんな秘密があったのか、カード選択や大会への取り組み方などを聞きました。

サノ
今回の「MASTERS 2018」開幕の地である千葉が地元のプレイヤー。
氷属性好きで、大きな大会では必ず氷属性を含んだデッキを使うこだわり派。
物語の陰で活躍するキャラクターのファンで、「ファイナルファンタジータクティクス」のディリータがお気に入り。

 

◆好きを極めた筋金入りの氷使い
――「MASTERS 2018」千葉大会、優勝おめでとうございます。
サノ:ありがとうございます。
――優勝された「氷単」ですが、サノさんといえば以前から氷属性のデッキを愛用するプレイヤーだなという印象がありました。やはり今回も氷属性を使うと決めて調整されていたのでしょうか?
サノ:はい。「MASTERS 2018」千葉大会に向けて組んだデッキは「氷単」と「土雷」だったんですが、「Opus V」環境での最初の大会ということもあり、どんなカードやデッキを警戒すべきかわからなかったので、それなら一番好きなデッキで楽しもうと思い「氷単」を選択しました。「Opus V」の発売が年度末だったこともあり忙しかったというのもありますが(笑)。
――確かに発売から1週間という短い期間で、流行するデッキを推測するのは難しいと思います。それなら好きなデッキ、使い慣れたデッキで挑むのが正解かもしれませんね。では、今回の「氷単」はどんなコンセプトで構築されたのですか。
サノ:デッキを作る際に大きく影響を受けたのが、友人のMK.2さんが「名人位決定戦」で準優勝したときに使っていた「氷風」デッキで、「Opus V」発売後に自分でも組んでみたんです。風属性は【3-056H】《ジタン》が非常に強く「氷風」というデッキの強さを実感しました。

――もともと手札破壊のできる氷属性にさらに【3-056H】《ジタン》を加えるメリットはどういうものなのでしょうか。
サノ:【3-056H】《ジタン》を加えることで手札破壊の「量」と「質」を高められます。氷属性のカードによる手札破壊はCP効率や手札破壊要員がそのまま戦闘要員にもなるという点では優れていますが、捨てるカードを相手が選ぶため強力なカードを手札に残されてしまうことがあります。【3-056H】《ジタン》は普段は戦闘要員にはなりにくいですが、出した時点で相手の一番強いカードを捨てさせられます。また、相手の手札をたくさん捨てさせれば【3-056H】《ジタン》のパワーが上がりやすくなる点も好相性です。

サンプルレシピ:「風氷」手札破壊デッキ

カードNo. カード名 枚数
フォワード(30枚)
【2-026L】 《ヴェイン》 2
【2-047L】 《リノア》 2
【3-033L】 《ジェネシス》 3
【4-036H】 《セッツァー》 1
【4-038L】 《セリス》 3
【4-048L】 《ロック》 3
【5-029L】 《オーファン》 3
【5-040C】 《呪術士》 2
【5-152S】 《セラ》 3
【3-056H】 《ジタン》 3
【5-050H】 《アデル》 3
【5-068L】 《ヤ・シュトラ》 2
バックアップ(16枚)
【1-048C】 《導師》 1
【1-196S】 《モグ [XIII-2]》 3
【1-193S】 《ジル・ナバート》 3
【4-026H】 《ガストラ帝国のシド》 2
【1-083H】 《マリア》 3
【2-062C】 《ノノ》 3
【5-053R】 《エコー》 1
召喚獣(4枚)
【3-032R】 《シヴァ》 2
【3-037H】 《死の天使ザルエラ》 2

――聞く限り非常に強力なデッキだと感じますが、なぜ今回使用されなかったのでしょう?
サノ:いいデッキだったんですが【5-152S】《セラ》を軸にデッキを組んだため、デッキ内にジョブ【モーグリ】を多く採用しなければならなくなり、そのぶん採用をあきらめなくてはいけないカードが多かったというのが理由の1つです。また、2属性のデッキなのでカードの取捨選択が難しく、プレイ中に「どのカードをコストにすればいいんだろう?」と迷ったり、後々になって「あのカードを残していれば……」と後悔することが多く、プレイングを満足のいく水準に仕上げられなかったので今回は使用しませんでした。
――迷いがプレイのブレに繋がってしまうということですね。
サノ:はい。特にコストの支払いでミスをすることが多かったのでコストにするカードの選択で迷うことを減らすというコンセプトで「氷単」を使おうと決めました。

「MASTERS」千葉使用:「氷単」デッキ

カードNo. カード名 枚数
フォワード(27枚)
【1-195S】 《セラ》 2
【2-026L】 《ヴェイン》 2
【2-047L】 《リノア》 2
【3-030L】 《クジャ》 1
【3-033L】 《ジェネシス》 3
【4-036H】 《セッツァー》 1
【4-038L】 《セリス》 3
【4-048L】 《ロック》 3
【5-029L】 《オーファン》 3
【5-036L】 《皇帝》 2
【5-037R】 《ザイド》 1
【5-040C】 《呪術士》 3
【4-148L】 《闇の王》 1
バックアップ(17枚)
【1-036C】 《吟遊詩人》 1
【1-048C】 《導師》 3
【1-057R】 《ラーグ公》 3
【1-193S】 《ジル・ナバート》 3
【4-026H】 《ガストラ帝国のシド》 2
【5-028C】 《裏魔道士》 2
【5-031H】 《ギルバート》 3
召喚獣(6枚)
【3-032R】 《シヴァ》 3
【3-037H】 《死の天使ザルエラ》 3

――この「氷単」でキーになったカードはずばり何でしょう?
サノ:キーカードは実は3枚あって、【5-029L】《オーファン》と【5-031H】《ギルバート》と【2-026L】《ヴェイン》です。
――それぞれのカードについてお聞かせください。
サノ:まず【5-029L】《オーファン》ですが、今まで氷属性のフォワードは【3-033L】《ジェネシス》【4-048L】《ロック》や【2-047L】《リノア》などパワー7000のフォワードに強力な効果を持つカードが多く、その分他の属性と比べてパワー負けすることが多いのが弱点でした。そのため僕は【1-042R】《スコール》【1-059R】《ラグナ》を採用するなどしてパワー不足を補っていたのですが【5-029L】《オーファン》はパワーが9000あって、かつ【3-033L】《ジェネシス》や【4-048L】《ロック》のサポートもできます。デッキの方向性に合致したアビリティを持ちつつ単体でも戦えるフォワードが追加されたことで「氷単」は弱点を1つ克服したと感じています。また「火氷」が人気だった「Opus Ⅳ」から環境が変わり【2-026L】《ヴェイン》を使うプレイヤーが減ったというのも【5-029L】《オーファン》にとっては追い風だったと思います。

――パワーを意識されたカードというと【5-037R】《ザイド》も印象的な1枚でした。こちらもそういった意図で採用されたんですか?
サノ:今回お試し枠で採用したのですが、相手に除去を要求するという点で非常に強力でした。ただ自身を強化するアビリティを使う機会があまりなかったので、【2-039C】《たわむれの死神》でもよかったかもしれません。彼のスロットをどうするかは今後の研究かなと思います。
――なるほど。しかし少なくとも【5-029L】《オーファン》はこれからも氷系のデッキの切り札として目にする機会が多そうですね。次にこちらも新カードの【5-031H】《ギルバート》についてお聞きしたいです。
サノ:単に手札破壊ができるバックアップというだけでなく【5-029L】《オーファン》を後押ししてくれるカードとして、【5-031H】《ギルバート》の存在は非常に大きかったと思います。「氷単」を使ううえで【5-029L】《オーファン》をブレイクされたり、ダルにしたフォワードがアクティブにされてしまう【5-062L】《ディアボロス》が天敵となるため、当初は高コストのフォワードを使うのをためらっていたのですが【5-031H】《ギルバート》と【4-038L】《セリス》を3枚ずつ採用することで対策できるようになりました。「Opus V」では強力な召喚獣が増えましたが、効果が強いぶんCPも相応にかかるため無効にしてしまえば相手に大きく損をさせられます。こちらがスペシャルアビリティを使える、使えないは相手からすると読みにくく、いるだけでもけん制の役目を果たしてくれていたと思います。

――今回注目されるであろうカードにも回答を用意しやすいのも「氷単」を使ううえでの大きな利点だったんですね。では【2-026L】《ヴェイン》についてもお聞きします。こちらは以前から氷属性の入ったデッキでは活躍していた1枚ですね。
サノ:先ほども言ったように「Opus IV」までの環境では「火氷」が人気だったこともあって5CP以上のカードは使われるデッキが限られていましたが「Opus V」では【5-145L】《ヴァン》や【5-148H】《カムラナート》、【5-147L】《エルドナーシュ》など5CP以上の強力なカードが登場し、いろいろなデッキで使われるだろうと想像していました。なのでそれらをまとめて対策できる【2-026L】《ヴェイン》はこれからの環境のキーカードの1枚だと考えていました。実際、大会中は【5-145L】《ヴァン》を凍結させ続けてそのまま勝てた試合もあったので、彼の投入は正解でした。
このように【5-029L】《オーファン》によって攻撃面が強化され、【5-031H】《ギルバート》と【4-038L】《セリス》で強力な召喚獣に対抗、大型フォワードにも【2-026L】《ヴェイン》で対応可能と、今回の「氷単」はみんなが新カードを試してくるような大会によくマッチしたデッキになっていたのかと思います。

――反対に、今回使われて相性が悪いと感じたデッキやカードはありましたか?
サノ:今回の大会では直接当たる機会はなかったのですが、土属性が絡むデッキはかなり厳しそうだと感じていました。もともと土属性はフォワードのパワーが高いデッキなのでこちらのパワーが上がったといっても単純なパワー勝負で勝つことは難しいですし、【5-075L】《ウォル》や【5-094R】《モモディ》が登場したことでブレイブを付与するのが容易になったため、「高パワー+ブレイブ」というかたちで攻められると厳しいと思っていました。またデッキ内に4CPのフォワードが多いデッキなので、こちらの【3-037H】《死の天使ザルエラ》が効きにくいというのも手ごわい理由の1つです。
「MASTERS 2018」千葉大会では土属性のデッキが予選ラウンドを全勝しています。土属性の強さが証明されたことでプレイヤーのデッキ選択が変われば、この「氷単」もまた調整が必要になるでしょう。もし、このデッキを使おうという方がいらっしゃったら、その点には気をつけてもらえればと思います。
――特に土属性には要注意ということですね。

◆勝利のカギは“好きなデッキ”で“楽しむ”こと!
――千葉で活動されているサノさんですが普段遊ぶのも千葉であることが多いのですか?
サノ:そうですね。普段は毎週土曜日にイエローサブマリン千葉店にみんなで集まって大会に出て、そのあとまた遊んで、という感じです。平日は僕も周りも忙しいのでプレイする機会はあまりありません。
――今回、調整するときはコミュニティ内で「氷単」などデッキはシェアして調整されたんですか?
サノ:いえ、千葉のコミュニティはあまりデッキを共有することはなくて自分の遊びたいデッキを持ち寄って対戦することが多いですね。人のデッキで感動したデッキを組んでみたりはありますが。
――調整のときは誰かが仮想敵を使ったりするんですか?
サノ:千葉勢は環境で流行しているデッキを使うより自分が好きなデッキを使う人が多いので、調整のときも仮想敵を作って対戦することがあまりないんです。そこが千葉勢のちょっと悪いところかもしれません(笑)。たとえば、僕は「水単」はかなり強化されたと思っていたんですが、誰も使っていなかったため対戦したのは今日が初めてでした。

――千葉コミュニティの魅力はどんなところでしょうか?
サノ:魅力というか“遊ぶのが楽しい”という気持ちが強いと思います。大会などももちろんですが、普段から遊んでいるみんなで毎週集まるのがやっぱり楽しいです。なので大会で勝ち続けていくとプレッシャーのほうが強くなってみんな表情が険しくなってますね(笑)。
――好きなデッキを使って、全力で楽しむという姿勢が今回地元での優勝につながったのかもしれないですね!

――最後に「MASTERS 2018」では1人目の優勝者として名乗りを上げたわけですが「MASTERS Final」の目標をお聞きしていいですか?
サノ『FF-TCG』は「Chapter」シリーズからやっていますが、「MASTERS Final」は初めての出場なので大好きな氷属性を使って楽しみたいと思います。
――ありがとうございました。

◆終わりに
“好きなデッキ”を使い続け、地元千葉での「MASTERS 2018」優勝を果たしたサノさんのインタビューでした。
“好き”を追求することも『FF-TCG』の強さの1つですね!

「Opus V」も発売され、今年も「MASTERS」シリーズが始まりました。これからどんなデッキが活躍するか今から楽しみですね!

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

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